編集者の言葉
月刊誌『慈済』の四月号を印刷する前日が丁度二十四節気の「春分の日」にあたり、春はすでに半分過ぎたことがわかった。これからは昼間が徐々に長くなり、春の暖かさで花が咲き始め、早起きして気を養うのに適した時期となる。人体という小宇宙の調和が崩れると病気になるが、大宇宙の不調和に至っては災害を引き起こすことになる。四大元素の地、水、火、風から構成されている大小の宇宙は、相互に影響し合っているからだ。
万物が蘇るこの頃に合わせて、今号の『慈済SDGsシリーズ』では、慈済がどれほど環境の持続可能性と食糧安全を重視しているかを取り上げた。この十数年間、慈済は慈善志業資源で以て、花蓮にある五つの主な原住民の村落を支援して農民が農業生産販売グループを立ち上げられるようにしたり、農地の活性化と環境に優しい有機農法である「友善耕作」への転換を指導したりして、励ましを行ってきた。一方、慈済の教育志業資源は、農耕法のコンセプト、農産物の加工、販売経路戦略などの面で、農家の収入と地域のバランスをとることにも協力してきた。
これら長期的な取り組みは、国連の持続可能な開発目標SDGs2のターゲット3「小規模の食料生産者、特に女性、先住民、家族農家、牧畜や漁業をしている人々の生産性と収入を倍にする」及び4「食料の生産性と生産量を増やし、同時に、生態系を守り、気候変動や干ばつ、洪水などの災害にも強く、土壌を豊かにしていくような、持続可能な食料生産の仕組みをつくり、何かが起きてもすぐに回復できるような農業を行う」を実践することに繋がる。
證厳法師は、大地は母親のようなもので、衆生を載せて、長きにわたり万物を育むと考えておられる。農業が大量生産ばかりを重視するなら、環境に悪影響を与えるだろう。人々は母なる大地から資源を得ているのだから、大地が栄養補給をし、体力を取り戻す機会も与えるべきである。私たちは地球を大切にし、労わると同時に、農耕の経験を伝承し、伝統的な智慧が失われないようにしなければならない。
国内外の多くの慈済大愛農場での取り組みにも、生態系に対するボランティアの心遣いが見て取れる。今年一月の月刊誌『慈済』(慈済ものがたり340号)に掲載された「農禅生活㊟:静思精舎の穀倉ー志学大愛農場 天地の恵みに感謝」を読んでみると、畑の生き物に危害を加えず、農薬や化学肥料で環境を汚染しないようにして有機米を豊作にすることは、農民にとって大きな試練であることが分かる。これは人々に食事を提供するだけでなく、将来の世代のために土地の生命力を維持することでもある。
世界での慈済慈善の足跡を見ると、今年に入ってまだ三カ月だが、深刻な天災が頻繁に発生していることが分かる。カリフォルニア州ロサンゼルスの山火事は、一カ月以上燃え続けた。復旧には数年かかるだろう。オーストラリア東海岸はサイクロン・アルフレッドに襲われた。この半世紀で初めて当地を襲ったサイクロンの風速は、時速百キロメートルに達した。ラマダン期間中のインドネシア西ジャワ州ブカシ県では豪雨となった。冠水した場所は深さが最大三メートルに達し、三万世帯が被災した。四大元素の不調和によって引き起こされる災害は、必ずしも遠く離れた場所だけで発生するわけではない。春節を目前にした嘉義県大埔郷で強い地震が発生し、住宅が大小様々な被害を被り、現在に至っても復旧作業が続いている。
四季が順序よく循環し、万物が成長することを願うばかりだ。人々の生活が豊かになるように、先ず足元の土地に感謝し、大切にすることから始めたいものである。
㊟農業で生計を立てながら褝を修めること。
(慈済月刊七〇一期より)

編集者の言葉
月刊誌『慈済』の四月号を印刷する前日が丁度二十四節気の「春分の日」にあたり、春はすでに半分過ぎたことがわかった。これからは昼間が徐々に長くなり、春の暖かさで花が咲き始め、早起きして気を養うのに適した時期となる。人体という小宇宙の調和が崩れると病気になるが、大宇宙の不調和に至っては災害を引き起こすことになる。四大元素の地、水、火、風から構成されている大小の宇宙は、相互に影響し合っているからだ。
万物が蘇るこの頃に合わせて、今号の『慈済SDGsシリーズ』では、慈済がどれほど環境の持続可能性と食糧安全を重視しているかを取り上げた。この十数年間、慈済は慈善志業資源で以て、花蓮にある五つの主な原住民の村落を支援して農民が農業生産販売グループを立ち上げられるようにしたり、農地の活性化と環境に優しい有機農法である「友善耕作」への転換を指導したりして、励ましを行ってきた。一方、慈済の教育志業資源は、農耕法のコンセプト、農産物の加工、販売経路戦略などの面で、農家の収入と地域のバランスをとることにも協力してきた。
これら長期的な取り組みは、国連の持続可能な開発目標SDGs2のターゲット3「小規模の食料生産者、特に女性、先住民、家族農家、牧畜や漁業をしている人々の生産性と収入を倍にする」及び4「食料の生産性と生産量を増やし、同時に、生態系を守り、気候変動や干ばつ、洪水などの災害にも強く、土壌を豊かにしていくような、持続可能な食料生産の仕組みをつくり、何かが起きてもすぐに回復できるような農業を行う」を実践することに繋がる。
證厳法師は、大地は母親のようなもので、衆生を載せて、長きにわたり万物を育むと考えておられる。農業が大量生産ばかりを重視するなら、環境に悪影響を与えるだろう。人々は母なる大地から資源を得ているのだから、大地が栄養補給をし、体力を取り戻す機会も与えるべきである。私たちは地球を大切にし、労わると同時に、農耕の経験を伝承し、伝統的な智慧が失われないようにしなければならない。
国内外の多くの慈済大愛農場での取り組みにも、生態系に対するボランティアの心遣いが見て取れる。今年一月の月刊誌『慈済』(慈済ものがたり340号)に掲載された「農禅生活㊟:静思精舎の穀倉ー志学大愛農場 天地の恵みに感謝」を読んでみると、畑の生き物に危害を加えず、農薬や化学肥料で環境を汚染しないようにして有機米を豊作にすることは、農民にとって大きな試練であることが分かる。これは人々に食事を提供するだけでなく、将来の世代のために土地の生命力を維持することでもある。
世界での慈済慈善の足跡を見ると、今年に入ってまだ三カ月だが、深刻な天災が頻繁に発生していることが分かる。カリフォルニア州ロサンゼルスの山火事は、一カ月以上燃え続けた。復旧には数年かかるだろう。オーストラリア東海岸はサイクロン・アルフレッドに襲われた。この半世紀で初めて当地を襲ったサイクロンの風速は、時速百キロメートルに達した。ラマダン期間中のインドネシア西ジャワ州ブカシ県では豪雨となった。冠水した場所は深さが最大三メートルに達し、三万世帯が被災した。四大元素の不調和によって引き起こされる災害は、必ずしも遠く離れた場所だけで発生するわけではない。春節を目前にした嘉義県大埔郷で強い地震が発生し、住宅が大小様々な被害を被り、現在に至っても復旧作業が続いている。
四季が順序よく循環し、万物が成長することを願うばかりだ。人々の生活が豊かになるように、先ず足元の土地に感謝し、大切にすることから始めたいものである。
㊟農業で生計を立てながら褝を修めること。
(慈済月刊七〇一期より)
