コロナ禍に明け暮れた一年

アフリカ南部に位置するジンバブエは感染予防物資が不足しており、マスウィンゴ県のムレレクヮ小学校の子供たちはマスクの代わりに様々な布を使って、鼻と口を覆っていた。慈済ボランティアは11月下旬に千個の医療用マスクと赤外線型額体温計を学校に寄付した。(撮影・ Hlengisile Jiyane)

新型コロナウイルス感染症は二回目の冬を迎え、世界の感染者数は増え続けており、未だ落ち着いてきていない。欧米諸国では感謝祭の休暇の後、感染が更に広まり、 アジアの日本、韓国、香港の新たな一波は以前よりもひどくなった。
人々はこの、世紀のウイルスに対処した新しい生活様式を作り出しているが、それでも彼らはできるだけ早く異常から通常に戻ることを願っている。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が2019から2020年にかけてパンデミックを引き起こした。
世界保健機関(WHO)は2020年の2月、その感染症を「2019新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」と名づけた。略して「新型コロナ」とも言う。

この一年のコロナ禍の変化

▶ 2019年冬

中国湖北省武漢市に「原因不明の肺炎」が報告され、2020年1月23日、中国政府は緊急に武漢市の感染地域に封鎖隔離措置を取った。それは近代の公共衛生史上初めて取られた、千万人規模の大都市のロックダウン措置である。

▶ 1月13日以降

コロナ禍はタイ、日本、韓国などに広がった。1月21日に台湾で初例が見つかり、同日にアメリカのシアトルでアジア人以外の初例が確認された。

▶2月

東北アジアで感染症が爆発的に広がり、数多くのクラスターが発生した。3月には、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、中東、アフリカなどでも瞬く間に広がり、アメリカ、イタリア、スペインの感染者数が中国を超えた。多くの国で鎖国や都市封鎖、行動規制などを行なったが、4月の世界の感染者数は3百万人を突破し、死者は20万人を超えた。

▶5月

ロシア、ブラジル、インドで爆破的に広がり、世界の累計感染者数は6百万人に達した。ヨーロッパは3月から4月にピークを迎えた後、落ち着きを取り戻したため、各国で封鎖が解除された。台湾でも連日、新規感染者がゼロで、国内感染者が出なくなったが、感染予防の新しい生活様式として、人と人の距離を保ち、マスクをつけ、手をよく洗って、良好な衛生習慣を維持するよう呼びかけた。

▶6月

世界の感染者数が1千万人を突破し、7月には情勢が制御不能な状態に陥った。理由の1つとしては、制限が解除された国での感染再拡大である。8月中旬、WHOはコロナ禍が新たな段階に入ったと発表した。若者の感染率が高まり、その多くは無症状で、免疫力の弱い人々に危険をもたらしていた。

▶ 9~10月

新型コロナ感染症が出現してから10カ月、世界で亡くなった人の数は百万人を超えた。気温が下がると、人々は屋内にいることが多くなるため、ウイルスが広がりやすくなり、北半球は正に大流行の分岐点にいるとWHOが警告した。10月の統計では、アメリカ、インド、ブラジル、ロシア、スペイン、アルゼンチン、フランス及びコロンビアの感染者数がそれぞれ百万人を超えた。

▶11月

僅か30日で感染者数が千7百万人に劇的に増加したアメリカは、世界で初めて1千万人を超えた国になった。ヨーロッパでも再び感染が拡大し、各国がロックダウンを実施したため、再び人々の生活と経済にダメージを与えた。都市封鎖に耐えられなくなった一部の民衆が抗議活動に出たため、感染拡大は迅速に制御不能となった。台湾も新たに海外帰国の感染者が百人余り増え、全国民が「コロナ対策秋冬プロジェクト」に歩調を合わせた。

▶ 12月15日

世界の感染者が7千万人を突破。イギリスとアメリカでワクチンの接種が始まった。

(慈済月刊六五〇期より)

慈済の世界におけるコロナ禍支援

▶感染予防物資の支援─87の国と地域
▶生活支援物資の配付─35の国と地域

●慈濟慈善事業基金会のグローバル感染予防物資支援(PPE1・0)プロジェクトは11月に一段落し、物資は最後の国であるチュニジアで無事通関を果たした。このプロジェクトでイギリスからギリシャの難民キャンプへ物資を調達したり、フランスからレバノンのカトリック教会へ届けたり、と台湾を含む世界87の国と地域を支援した。

●慈済は9月という早い時期から準備を整え、グローバル感染予防物資支援(PPE2・0)プロジェクトを始動すると同時に、医療用マスク、手袋など感染予防物資の備蓄を始めた。慈済大学などとの産学連携で進められた支援プロジェクトにより「新型コロナウイルス抗体スクリーニング迅速検査キット」を、感染拡大防止のためにインドネシアとホンデュラスに送った。

●世界的な感染拡大がいまだ深刻であることを考慮し、各国の慈済ボランティアは引き続き、食糧、物資、または緊急支援金を配付して、生活に影響が出ている社会的に不利な立場の人たちを支援している。

ギリシャのレスボス島は、世界的に難民がヨーロッパに行くための中継地である。島で活動している「プロジェクトホープ」という慈善団体が慈済に支援を求めことを受け、イギリスの慈済人は11月、モリア難民キャンプに2万枚の医療用マスクを届けた。ギリシアは慈済のコロナ禍における86番目の支援国であり、慈済基金会の119番目の国際援助国である。(写真提供・プロジェクトホープ)

(慈済月刊六五〇期より)

    キーワード :