静思堂で地域の温もりを再び─「船と伝」中部地区での同時開催

静思堂は緊急災害時、慈済ボランティアを動員する拠点となる。また、コロナウイルスのワクチン接種会場としても使われた。

何より普段は地域のよき隣人である。「船と伝」と題した展示会が、中部地区の六つの会場で同時に開幕した。

地元の風土と文化の展示をきっかけに、人々を招いて地域の今昔を語り合い、心を通わせ、ふれあいを深めている。

「今の流行も、やがてはレトロになる」。台中静思堂「船と伝」同時展会場ポスターのキャッチコピーである。現代科学技術の利便性を享受する私たちは、昔の人たちの生活を想像したことがあるだろうか、と考えさせられる。手作業が機械による大量生産に取って代わられて久しいが、伝統工芸の智慧は途絶えてしまうのだろうか。

かねてより「文化城」と呼ばれる台中は、文人たちが活躍した場所であり、豊かな文化遺産と数々の歴史の物語を有している。

慈済は七月二十九日から翌年二月二十八日まで、台中、南投、苗栗、清水、大里、民権の六つの拠点で、「船と伝」と題した地元の民俗文化をテーマとする展示会を、同時開催している。

苗栗志業パークでは、藍染め工芸と客家の米文化が焦点である。清水静思堂では、中部地域の伝統産業である手編みのいぐさ工芸品を大きく紹介している。南投聯絡処では、竹で最高の徳を表し、道端の奉茶(ふるまい茶)文化から静思茶道八礼法を紹介している。

大里の展示コンセプトはとりわけユニークだ。大里は旧名を「大里杙」という。杙は小舟をつなぐ小さな木の杭を指す。転じて岸に着くように、教え導くといった意味を持つこの言葉は、「船と伝」のコンセプトとよく馴染む。

慈済といえば、災害発生時真っ先に被災者に寄り添うボランティアの姿を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、地域における静思堂は住民のよき隣人という側面が強い。

新型コロナでは慈済の三十六の拠点をワクチン接種会場として提供し、七十万人近い住民を受け入れた。これまで長い間、気象局が台風予報を発表すると静思堂ではたたちに防災準備を始め、災害支援中はボランティアと物資の拠点となってきた。

六つの拠点で同時に開催される今回の展示会では、それぞれ地元の文化を展示している。住民が静思堂で地域の今昔を語り合い、共通の話題を通じて、心のふれあいを深めてもらうためだ。

ボランティアの王建忠(ワン・ジエンジョン)さんは、「今回の展示会をきっかけに多くの人が慈済道場を訪れ、一緒に昔の暮らしの風景を懐かしむことで、交流が生まれています。昔の生活や慈済の話に花を咲かせながら、お互いに心を開いてふれあいを深めています」と話している。


(図及び本文中の資料提供/林玲悧、林淑懐、林雪花、洪素養、羅文伶、劉秀雅、呉淑女、鍾碧香、楊国勝、施金魚、張麗雲、袁淑珍、章麗玉)

  • 開催期間:2023年2月28日まで
  • 電話:台中静思堂 04-40510777 内線4102~4106
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