編集者の言葉
持続可能という言葉が、世界中で流行っている。今世界の国や企業、民間団体は、取り組みや物作りにおいて、皆、国連の唱える十七の持続可能な開発目標(以下SDGs)に合わせるようにしており、それにより運用過程や結果における影響は全て生態系に優しくなり、衆生を利する方向に進もうとしている。
慈済が志業を推進し始めてから、今年で五十九年目になる。慈善、医療、教育、環境保全、地域ボランティア及び国際災害支援等の項目を含め、その多くの活動が、二〇一六年から国連が唱えているSDGsに、偶然にも一致している。慈済の各志業体が網羅する活動範囲は、人類の地球上における生活と生産及び生態などに関係しており、この三つとも互いに密接に繋がって、助け合って、成り立っているので、正にSDGsの構成内容その物になっている。
月刊誌『慈済』は七月号から、慈済志業の発展がSDGsに対応している記事を連載する。先ず五十八年間にわたる慈善支援から始まり、慈済慈善志業で尽くしてきた地域社会の貧困改善の実践とその理念、特色を考え、そして、それらとSDGs「目標1、貧困をなくそう」との関連と影響について紹介している。
慈済が台湾で行っている慈善志業の内容は、日に日に多様化して完成したと言える。例えば、病による貧困に対して、慈済は実際に経済面と医療面の支援が必要だと捉えている。教育問題では、評価してから学費や雑費の支援、或いは課外補習を提供している。そして、家に短期や長期にわたって自立した生活ができない人や寝たきりの人がいる場合は、エコ福祉用具プラットフォームを通じて直ちに必要な設備を届けることができる。一人暮らしの高齢者や障害者の住環境に問題があれば、修繕を行う。
上述の慈善志業モデルは、対象者に合わせた「オーダーメイド」のようなものであり、具体的に各世帯が直面している問題に対応して、解決策を講じている。そして、慈済のこの「地域慈善ネットワーク」は、政府の社会福祉で及ばない所を補い、民間の慈善パワーによって、弱者が目前の困難な状況を脱し、いつか貧困から抜け出して、安定した生活を軌道に乗せ、余力があれば、人助けができるよう期待するものである。
慈済の地域慈善が行っている諸々は、その本質がSDGs1に沿っていると共に、貧困の撲滅と困窮した生活の改善の外、慈済の慈善は彼らが考え方や価値観、人生観を変えることに期待したものである。
短期的な困窮に対する支援にしろ、長期的な貧困や病に苦しむ人への支援にしろ、慈済の貧富に関する考え方は、基本的生活に必要な物資の確保をするだけでなく、それ以上に心に愛と善があることを大切にしている。なぜならこれこそが、「等しい豊かさ」というプラスエネルギーだからだ。そして、このような世の中になってこそ、真に貧困の終わりという目標に到達できると言える。このような慈善モデルは、早くから世界各国の慈済ボランティアによって「コピー」されて広がり、同じ原則に基づいて世界各地で慈善活動が行われ、貧困を覆してきたのだ。
(慈済月刊六九二期より)