慈済とSDGs—行動は早くに始まっている

国連の持続可能な開発目標(以下SDGs)は、この八年間、世界の各方面で人類生存の危機を解決する指針となって来た。

それは、慈済が六十年近く努力して実践してきた志業と、図らずも一致する。共に経済や社会、環境問題において、現在と将来の世代のためにバランスの取れた道を探り出そうとしている。

持続可能な開発」は近年、国際間の重要な議題となり、持続可能な開発目標(以下SDGs)のカラフルなアイコンは、人々にはもうお馴染みだ。国連「十七の持続可能な開発目標」を順番に見ると、一から十二までが慈済の慈善、医療、教育、人文という四大志業の意義と理念にピッタリ一致している。慈済人は「地球と共に生きていく」ために提唱した環境保全のリサイクル、菜食で衆生を護る、倹約生活を心がけるなどは、気候行動の環境項目に対応している。

そして、衆生の平等を固く信じ、人種、宗教、文化を分け隔てしない大愛精神に基づき、カトリック教やイスラム教等異なった宗教のパートナーと共に、国際的に難民を支援することも、持続可能な開発目標の核心的価値観と図らずも一致している。

慈済基金会の顔博文(イェン・ボーウェン)執行長は、二○二三年までの志業成果を例に挙げて説明した。

「慈済は今まで、四十の国と地域で五百万世帯余りをケアし、十八の国と地域で二万二千戸余りの永久住宅を建ててまいりました。そして、慈済人医会の足跡は五十八カ国に及び、一万八千回余りの施療を行って、四百万人を超える人々の病苦を取り除いてまいりました。また、気候変動と環境災害等の方面では、減災プロジェクトと防災教育を推し進め、災害支援情報プラットフォームを立ち上げ、災害による影響を軽減しています」。広くパートナーを招いて協力し、一緒に「安心して住める」生活環境を作ることで、地域のハイリスク世帯や弱者世帯を支援している。

「現在、世間でも持続可能な開発に関して広く議論されていますが、そのうちの国連『十七の持続可能な開発目標』に関しては、慈済志業はそれら全てを網羅しています」。顔執行長は、慈済の環境と社会方面における取り組みは、SDGsと繋がっており、正に長年にわたってこつこつと努力を続けて来た証しだ、と語った。

二○二四年七月から、月刊誌『慈済』は「慈済とSDGs」という記事をシリーズで掲載しているが、そこには、貧困と飢餓をなくし、気候変動に対処し、高齢少子化に向き合ったケアと環境教育を実践し、グローバルパートナーと協力して持続可能な開発の五つの側面でそれぞれの志業の六十年を振り返り、各志業をどのようにして実践し、持続可能な開発を推進してきたかが語られている。

證厳法師の静思語にこのような言葉がある。「道さえ見つかれば、どれほど遠くても怖くない」。私たちがSDGsの理想とビジョンに照らし合わせて振り返り、世界を展望すれば、これまでの成果とこれから精進する方向が、一層はっきりと見えてくるのだ。

SDGs国連17の持続可能な開発目標
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