真摯に懺悔し、
悪いことをしたかどうかを反省し、
どれだけ良いことをしたかを自問する。

広い心を持った大白牛車になる
アメリカの慈済人は、オンラインでロサンゼルスの山火事に対する支援活動について報告しました。画面には黒焦げになった大地が映し出され、かつての美しい家や街並みは瓦礫と化し、被災した世帯の悲しみが感じられました。上人は師兄や師姉たちにこう言いました。「山火事はほぼ二十日間続き、緑豊かな山林は耐えられるはずがありません。火が完全に消えるのはいつになるか分からないため、引き続き大衆の敬虔な心を結集しなければなりません。信仰の如何にかかわらず、敬虔に祈ることです」。
「真摯に反省する心が欠けていれば、引き続き間違ったことをしたり、天理に反することをしたりします。業力がある程度まで蓄積されると業報が現れて、災難に遭遇します。即ち、『罪を天に獲れば、祈る所無きなり』と言われるように、そうなってから祈りたいと思っても手遅れです。過去に業を造り、今その報いを受けているのです。しかし、未来が平安なのか苦なのかは、現在にかかっています。敬虔に反省し、過ちを懺悔し、確実に改めれば、まだ救いはあります」。
「どの宗教にも戒律や規範があり、敬虔な信者は心からそれを守ります。しかし、凡夫の心はいつも煩悩や迷いの中にあり、時間が経つと信仰を忘れ、戒律や本分を守ることを忘れてしまい、当初の精進心にさえ及ばなくなります。それ故に、仏陀は三界が火宅のようなものだと喩えているのです。衆生の無明が業を造り、長い時間をかけて蓄積され、重い共業(ぐうごう)となり、世の中で災難を頻発に引き起こすようになるのです。私たちが住む自然環境も急速に破壊されています。そこで、仏陀は広く方便を設け、衆生を滅亡の危機から救うために、喩え話をしました。火宅の外に三台の宝物で満たされた車、羊車と鹿車と大白牛車を用意して、火宅の中にいる子供たちの注意を引きつけました。仏陀は小乗、中乗、大乗仏教の教えを説いていますが、衆生の根機に応じて施しました」。
上人は師兄や師姉たちにこう注意を促しました。「仏教を学ぶ際、小乗に固執しないと同時に、中乗に留まっているべきではなく、大乗仏法に回帰することで、より多くの人を苦しみから解放し、喜びをもたらすよう導くべきです」。「この天地という大きな家に暮らす衆生は無明にとらわれており、心の中の無明は、まるで火のようにいつでも火災を起こす可能性があり、一つ間違えば、大災難になってしまいます。私たちは絶えず自己反省をしなければなりません。悪いことをしたことはなくても、『私は慈済人であり、どれだけ良いことをしただろうか?慈済に入ってから、どれだけ慈済の志業に参加しただろうか』と自問する必要があります」。
「あなたたちは師父の理念に賛同し、善行することで心が歓喜に満ちることを知っているので、この道を心して歩んでいるのです。二十年、三十年と時が経ち、ベテランボランティアたちは歳を重ねてきました。今こそ、過去に菩薩道を歩んで成した事や、そこで得た道理が叶った安心感による喜びを引き継いでもらう必要があります。新しい参加者をしっかりと招き入れてください。人種や国籍に関係なく、因縁さえあれば、彼らを慈済に導き入れることができます」。
「アメリカでは各州の慈済人が次々と街頭募金を始めたと聞きました。もちろん賛成です。募金するだけでなく、重要なのは心を募ることです。今回の災害で多くの人が家を失ったことを知ってもらうと共に、裕福な人であっても大火には抗えないことを皆に気づいてもらうのです。人生は無常であり、常に『無常観』を持つべきです。これも仏陀の教えです。アメリカの生活は天国のようだと言われますが、実際にはこの天国も無常の中にあるのです」。
上人はアメリカの師兄や師姉に、最も苦しい時期を乗り越えられるよう被災者に寄り添ってほしいと指示しました。将来、彼らが普通の生活に戻った時、心の中には慈済があり、「慈済」という言葉を聞くと親しみを感じ、将来的に慈済の会員になったり、慈済の菩薩行に参加したりするかもしれません。これもまた菩薩が衆生を悟りに導く因縁なのです。
上人はこう言いました。「今、世界の至る所で災害が発生しています。世界中の慈済人が一層努力して、人々に善念を発揮して悪念に勝るように促すことで、世界は平和になるのでしょう」。「人類は元々同じ大きな家の中に住んでおり、皆が心を一つにしなければなりません。たとえそれぞれが羊車や鹿車など異なったものを選んでも、すべての車を一つの広々とした大白牛車にまとまる方が良いのです。今この時に、縁ある人々が共に力を発揮し、共に精進して、人間(じんかん)の幸福を成し遂げましょう」。
(慈済月刊七〇〇期より)
慈済は2月16日、サンガブリエルバレー連絡所と西ロサンゼルス連絡所で、被災者に物資と買い物カードを贈り、ロサンゼルスの山火事に対する第一段階の緊急支援が一段落した。(撮影・周一帆)


慈済北カリフォルニア支部は、「ロサンゼルス最悪の山火事支援」に呼応して、ボランティアが大型ショッピングモールの外で愛の募金活動を行った。(撮影・陳柏翰)
