日々の善行を忘れず

弘法して衆生を利しようとするなら、生活の中で実践することです。

毎日人に会う度に慈済のことや仏教の慈悲喜捨に関することを話し、毎日好い事をするのを忘れないよう人々を励ますことで、私たちの暮らす世界は全てが良い人になり、この世に幸せをもたらす「気」に溢れるでしょう。

年に一度の歳末祝福会が始まると、また一年が過ぎ去ることを意味しています。人の世は、一年三百六十五日、一日二十四時間、一日八万六千四百秒と過ぎ去っていきます。いつも「分秒を無駄にしないように」と言っていますが、人生は時間との競争であり、絶えず善の心を持ち、善いことを発願して、善行しなければいけません。

私は行脚に出かけてから二十数日間になりますが、台北から南へ向かい、台中に着くや否やまた北部へ戻り、毎日大勢の皆さんと談話しています。そして、毎回の認証式典では、数多くの新委員が誕生しています。台湾には善人がとても多く、愛の心の密度が高いことを現わしており、台湾が幸せな場所であることが分かります。

ここ数年、私は毎日心配しています。世界で災難がとても多いからです。気候の不調による天災も心の不調によって起きる人災もあります。もし人々が助け合って愛し合えば、良い方に向かって事は運び、天理に順じ、大地を護り、天の気、地の気、人の気の全てが順調になり、萬物は豊作で、社会は平穏になるでしょう。これこそが人の世の幸せなのです。

慈済は六十年目を迎えました。過去を振り返ると、「五十銭募金」の話をよくしてきました。私について来てくれた三十名の女性の皆さんに、毎日市場で買い物をする時に、八百屋さんに「五十銭分だけ少なくしてください」と言うようにしてもらいました。八百屋さんが不思議に思って理由を尋ねると、「私たちの師匠が人助けをしているので、一日に五十銭を貯めているのです」と答えました。八百屋さんは「一日五十銭で人助けができるなら、私も参加します」と言いました。この愛の導きは、買う方の五十銭と売る方の五十銭に始まり、少人数から多人数になり、大きな力となったのです。

一人ひとりの小さな力が、慈済志業の成就に繋がったのです。一日一元を貯金すれば、一月で三十元です。三元三十銭貯めれば一月で百元になります。三元三十銭で何ができるでしょうか?僅かな小銭でも、毎月貯めれば、仏陀の故郷や世界で多くの人を助けることができるのです。

慈済の仏への恩返しとは、仏法の精神を仏陀の故郷に持ち帰ることです。ネパールから帰ってきた慈済人が目にしたのは、発展がとても遅れていた貧困な村でした。以前からその状況は分かっていましたが、彼らが目で見て、記録した動画を見て、あのような苦しみを一層強く感じ取ることができました。

映像に映っていた林静憪(リン・ジンシエン)副執行長が屋外で立っていると、側の家よりも背が高く、その家に屈んで屋内に入ると、食品棚はなく、少しの食べ物が鼠やゴキブリに食べられないように、紐で吊るしていました。食卓はなく、人々は地面で食事を作っていました。草ぶきの家では雨が降っても、同じように濡れた地面に寝ています。これが彼らの日常生活なのです。

三年余りの間、何人ものシンガポールとマレーシアの慈済人が発心立願し、私が望んでいることを実行に移すために、ネパールとインドに赴き、半月間または二十日間、一カ月間滞在し、行ったり来たりして、交替で現地に駐在しています。彼らの中には、自分の家では人を雇って、掃除、洗濯をしてもらい、天国にいるような生活をしています。しかし、そこでは耐え忍ぶしかなく、たとえ、ホテルに泊まっていても、蚊や虫に刺されたりしており、今も変わりはなく、それに夏はベッドで火傷しそうなほどの暑さになるのです。

シンガポールとマレーシアの慈済人は、このような苦労を忍んで、忍耐強く現地の人の生活を助け、指導し、人生とは努力して作るものであり、この世に生れた時からの宿命ではないことを彼らに教えています。そこで、慈済人は人々に仕事を与え、自立して安定するまで付き添っているのです。

仏教の為、衆生の為は私の心願です。しかし、皆さんの力で心願は成就できるのです。菩薩たちの願力に感謝します。仏法を護持し、仏法を弘揚し、そのように行動し、話し、力行すること、これこそが真の修行であり、菩薩道を歩むことなのです。

弘法して衆生を利するには、生活の中から始めることです。毎日善行することを忘れず、人々に慈済のことを語り、仏教の慈悲喜捨の心を話すのです。これも人間(じんかん)を教育し、人心を浄化することであり、世界の全ての人が良い人になり、この世に幸せを作る「気」でいっぱいにするのです。

毎朝目を覚ましたら、平穏無事であることに感謝し、自分を祝福しましょう。今日も世の中に役立つ善行をするのです。毎日、昨日はどれだけのことをしたのか、何を決めたのか、意義があったのかを振り返りましょう。人生の道では、現実的な思い、現実的な目的、現実的な行動をすべきで、むやみに求めて無駄な時間を過ごさないようにし、有意義に過ごすのです。一日も無駄にしなければ、それこそが価値ある人生です。

新たな一年に世界の平和と調和を願い、菩薩道がさらに普及して、全ての家庭が菩薩の家庭となり、一家全員が慈済人で、代々受け継がれ、生生世世にわたって菩薩の浄土にいることを願っています。

(慈済月刊七一〇期より)

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