編集者の言葉
毎年年末が近づく頃になると、さまざまな国や地域の連絡所がある地域で、慈済の歳末祝福会が開かれる。今年十月末には、二回続けて、祝福会に付随して「海外の養成委員と慈誠隊員のための精神研修会」が開催された。二十二の国と地域から集まった「菩薩の新メンバー」は、認証授与と歳末祝福式典において、證厳法師直々に委員証や慈誠証を胸に付けてもらい、正式に慈済委員や慈誠隊員となった。
内戦後ヨルダンに逃れたシリア難民、かつてインドのブッダガヤの路上で物乞いをしていた人、十一年間コミュニティ・キッチンで貧しい子どもたちに食事を与えてきたエスワティニの女性、モザンビークのキリスト教徒、マレーシアの実業家など、それぞれ異なった肌の色や信仰、職業を持った人たちが、認証を授かった後、「慈済人」という共通の名前をもらった。證厳法師は、この後も彼らが、自分たちの暮らす場所に戻って、愛のエネルギーを一層発揮し、より多くの苦しんでいる人々を助けることを願った。
二回目の研修会が開催される二日前の十一月六日、台風二十六号(フォンウォン) が発生した。この台風はフィリピンに甚大な被害をもたらした後、一路台湾に向かって進んだため、花蓮での研修会を二日間早く切り上げ、続いて新北市三重区にある静思堂で課程を終えた。そのおかげで、海外からの参加者は、予定通り台湾を離れることができた。
台湾の気象史上、稀に見る十一月の台風二十六号は、九十度方向転換した後、台湾南端の恒春半島を横断した。北東の季節風の影響と相まって、十一月十一日には宜蘭や蘇澳などの地域に、一日の降水量が六百四十ミリメートルを超え、観測所の十一月降水量として最高記録を更新し、深刻な水害被害を引き起こした。ボランティアたちは直ちに数千食の温かい食事を準備して配付し、住民の速やかな生活の復旧に寄り添った。
九月下旬、花蓮県馬太鞍(ファタアン)渓で起きたせき止め湖の溢流による被害を最も多く受けた光復郷では、緊急の復旧が待たれていた。それが一カ月半後、思いもよらず台風二十六号とその周囲を取り巻く気流による降雨で、馬太鞍渓が大きく増水し、臨時に設置されたばかりの橋が水没した。さらに光復郷の対岸に位置する萬栄郷明利村にも泥水が流入して被害をもたらした。ボランティアたちは国軍による道路の清掃が終わるのを待って、直ちに被災者宅を慰問した。
せき止め湖の溢流から一月が過ぎた頃、月刊誌『慈済』の記者は再び光復郷に赴き、「シャベルスーパーヒーロー」の視点からのみ光復郷を見るのではなく、地元の慈済人と住民の視点からも光復郷の事情を取材することで、超高齢化した社会で進む復興について認識した。
台風二十六号による被災世帯への慰問の手紙の中で、證厳法師はこう言及した。「気候変動と地球温暖化によって四大不調が引き起こされています。大自然の力を軽く考えてはなりません。私たちは、この天災を警告と受け止め、一緒に戒め慎む敬虔な心で以て、万物を大切にし、地球を愛護すべきです。健康的な菜食をして生態系のバランスを保てば、地球は安定し、人類も平穏に暮らせるにようになるのです。常に人々の心に善念が宿れば、世の中に福の縁が集まります」。
頻発する天災や紛争によって苦しむ人の数は、日に日に増えている。今月号の月刊誌の『慈済SDGsシリーズ』では、「SDGs17」に謳われるように、さまざまな国際的な団体とパートナーシップを構築しながら、互いに尊重、信頼して資源と人力を補い合い、慈悲の力を広げていくことの重要性を強調している。
(慈済月刊七〇九期より)


