スマホ世代が古典文学を好きになった時

問:

私は若い時、中国文学でも西洋文学でも古典を読んでとても感銘を受けたのですが、子供にも文字の魅力を知ってもらい、読書を楽しんで欲しいと思っています。でも子供は、必要な時にはスマホですぐ調べられるから、と言うのです。

答:文字の魅力は、作者が文章の行間にこめた思いを読み取るところにあります。情景の描写でも感情の描写でも、一字一句が読者の心に響けば、それは人を夢中にさせる本です。電子機器が溢れる現在、子供にそれらを捨てて、古典文学を身近なものにするよう導くのは確かに難しいでしょう。ですが、少し工夫すれば、それほど難しいことではありません。

遊ぶことから始める

ある父親のやり方は参考に値します。息子と一緒に三国志をテーマにした動画を見てから、息子が三国志の登場人物のファンになったのです。続いてその勢いで、子供を連れて図書館に行き、三国志と関係のある本を借りて来て読みました。その次は、三国志をテーマにしたボードゲームを買ってきて、子供と一緒に遊びました。最後には小学校二年生の息子が三国志通になったのです。

私たちもこのお父さんのように、心して導いて行けば、子供は必ず電子機器を捨てて、文学の懐に転がり込むでしょう!
子供の好みに合わせる

「孫子の兵法」に、「敵を知り己を知れば、百戦してあやうからず」とあります。まず、子供はどんな本が好みなのかを理解します。推理小説、恋愛小説、任侠小説、古典など、子供の好みに合わせて、少しずつ導いて触れさせることで、自然と文字の魅力の中で遊べるようになります。

子供にすぐ古典文学に触れさせるのは少し難しいと思います。個人的には、先ず国内外の小説を見させるのがいいと思います。例えば、任侠小説ならばあらゆる年齢層に適しており、文学と歴史の観点も兼ね備えています。親がストーリーテラーになってあらすじを子供に語り、それから、その本が映画化されていれば家族で一緒に見たり、話し合ったりするのです。子供が本当に面白いと思い始めたら、蔵書を取り出してリビングの目立つ所に置くのです。子供が本の全てを知りたいと思った時、自分で取り上げて読むようになるでしょう。その時、文字の魅力や読書の楽しさは、知らず知らずのうちに子供の頭の中に刻み込まれるのです!

付き添いは最上の方法

ロシアの文学者ゴーリキーはこう言ったことがあります。「本は人類が進步するためのステップであると同時に一生の伴侶であり、誠実の親友である」と。子供が電子機器から遠ざかって、文学作品に近づいてほしいと願うならば、身を以て模範を示してください。自ら電子機器を使わず、久々であっても本を出して読むのです。あなたが読書の楽しさにふければ、子供は必ず影響を受けるでしょう。

子供に付き添って読書することは、読書を習慣にして興味を起こさせる重要な方法です。親が黙々と子供の側にいて、それぞれ一冊の本を持って文字の世界に陶酔するのです。この方法は比較的容易で、プレッシャーもなく、家に読書の雰囲気が生まれるようになります。文字の素晴らしさと魅力は、自然と子供の心に刻まれ、作者と心の対話を楽しんでもらうことができます。どのくらいの時間付き添えばいいかというと、每日少なくとも一時間を費やしてはどうでしょうか。

有名な児童文学作家のヨースタイン・ゴルデルの言葉です。「最も賢明な親は、子供に十分な衣食を提供した後に続く一番大切なことは、子供のために一番良い本を選んで持ち帰り、彼らの寝室に置いておくことです」。

何事も始めはうまくいかないかも知れませんが、方法と目標が見つかれば、遠い道程を恐れることはありません。良い文学の種を蒔くことは大切なことです。親が心を込めてその種を蒔き、長い期間をかけて耕すのです。いつか必ず、文学という常緑樹が、心を込めて築いた家で林となるに違いありません!

(慈済月刊六六三期より)

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