リサイクルステーションに来て 若返った

シニア世代がリサイクルに参加することで、健康促進の効果が実証された。

毎日「運動する、頭を使う、人と交流する」ことを続ければ、もっと若々しく生きられる!

「リサイクル活動に参加すれば、体が丈夫になり、悩みがなくなる!」とは、多くの慈済ボランティアが口にする言葉である。実は、七十歳を過ぎたリサイクルボランティアは、大多数のシニア世代と同じように血圧、血糖値、脂質異常等の慢性病を抱えているが、心身医学専門の李嘉富(リー・ジアフー)医師の観察によると、これらシニア世代は同じ年代の人よりもずっと活力がある。

二〇一六年、台北慈済病院の李嘉富医師は研究チームを率いて、慈済双和リサイクル教育ステーションを選んで、そこに来る七十九人のボランティアに実験に協力してもらい、リサイクル活動が健康促進に与える効果を研究分析した。

「あの時の研究プロジェクトは、六十五歳以上のリサイクルボランティアを対象にしました。平均年齢は七十三歳で、台湾国民の『健康余命』を超えています」。李医師によれば、「健康余命」とは、体が健康で、自立した生活ができる年齢なのだそうだ。

当時、国民の平均寿命は既に八十歳に達していたが、健康余命は七十二歳に届かなかった。今ではその差は益々広がり、大部分の人の最後の八、九年ないし、十年間自立した生活ができず、寝たきりの「不健康」な状態で過ごしていることを意味している。

リサイクルステーションにいる年配者たちも慢性病を抱えているが、研究結果は、高齢者の健康に関して参考に値するものになった。

「私たちはプロジェクトを始める前に、ボランティアたちの血圧、認知機能、痛み及び情緒状態、自律神経機能等の指数を測定しました」。続いで李医師のチームは、研究開始から四カ月目に中間測定すると共に、実験参加者たちがリサイクル活動をしている間、毎回少し時間を作って「環境保全健康体操」をする事で体をほぐしてもらった。そして八カ月目にもう一度、測定した。

李医師は、七十九人のリサイクルボランティアの中で、週に一回以下しか参加しなかった人の組は平均年齢が七十三歳で、週に三回以上参加した回数が多い組の平均年齢は七十七歳だったことに気がついた。参加回数が少ない、まあまあ、多いの三組の研究に参加する前の心身状態は、統計学上でははっきりした差異はなかった。「しかし、毎週少なくとも三回以上来た人は八カ月経つと、血圧が安定し、体の痛みが緩和され、認知機能や記憶力が改善し、自律神経の調節機能も、リサイクルステーションに来る回数が少ない人よりも良くなっているのです」。

言い換えれば、平均年齢が最も高くて、最もよくリサイクルステーションに来る年長者の健康年齢は、三、四歳若くてもあまり来ない参加者より良くなっているのである。

被験者の中で、積極的に参加する組の心身の健康は明らかに改善している。李医師は、慈済のリサイクルステーションは最高の「デイケアセンター」であり、「運動する、頭を使う、人と交流する、という『三動』を兼ね備えている」と言った。

しかし、ボランティアたちの健康はやはり注意が必要で、特に血圧は重要である。高過ぎても低過ぎても、脳卒中と認知症のリスクが増えるのだ。そこで、李医師は特別に、リサイクルボランティアに自分たちの体の状況を把握してもらうために、定期的に血圧を測り、そして政府が六十五歳以上の高齢者に提供している無料の健診を活用することで、定期的な検査で病を未然に防ぐよう、注意を促している。

彼はリサイクルステーションの責任者と幹事たちに、皆で「環境保全健康体操」をするように勧めた。ボランティアたちが作業を一時間続けたら、立って体を動かしたり、ついでにトイレに行ったり、水分を摂ったりするよう、注意を促している。

「長く座っていると、心血管に悪く、特に低血圧の人にとってはよくありません。もし、三時間座りっぱなしの場合、血圧は低くなり過ぎ、認知機能が衰える可能性があります。ですから、座っている時間を何回かに分割することです」。李医師は特別に、「怠けているのではなく、より長い道を歩くためなのです」と強調している。

自身も若くない李医師の概略的な推計によると、高齢者が日常的に「運動する、頭を使う、人と交流する」ことを持続できる場合、例えば、リサイクルステーションでボランティアをし、家にいて「テレビに見られる」ことを避け、健康で楽しく生きれば、介護に頼る必要はなく、「月に三万元以上稼いだことに匹敵する」のである。

「ですから、私はよく高齢者にこう言います。子供さんはもう大人になったのですから、あなたの責任は終わっているのです。唯一しなければならないのは、きちんと自分の世話をすることです!あなたがボランティアをして、利他行為をすれば、心の持ちようは変わってきます!」。李医師はこうアドバイスする。

(慈済月刊六六四期より)

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