美しい光景

大自然は清らかで美しく、 人も清らかで美しい本性を持っています。 人同士が和することは即ち、 人間(じんかん)の美しい光景なのです。

いつまでも使える良い言葉

人文志業の管理職たちとの座談会で上人はこう開示しました。「四大志業の中で人文志業は『大喜㊟』の志業です。善を広め、良い事は誰かが言い伝え、人々を行動に導かなければなりません。従って、善の方向と美の具現化が必要になります。誠の善と美を表すには、人文志業を行って心を形にするのです。
㊟ 四無量心の一つで、衆生が喜び楽しむ様子を見て喜ぶ心のこと

上人が最も美しいと感じる光景とは、毎朝、精舎で部屋から出て晨語の講釈のために主殿に向かう時、太陽がまだ夜が明け切れていない空へと海の向こうからゆっくりと昇って来る様子だそうです。「その時、私は静かに佇み、太陽が海面から昇って精舎の裏の山を照らし出すのを眺めます。とても美しい光景です。この自然の現象を見ているだけで、私の心は喜びに満たされます」。

自然界は元々このように純粋で美しく、人間もまた清らかで美しい本性を持っているのです。もし、誰もがその単純な初心を保ち、人同士が和すれば、経典劇の時のように、全員が同時に口ずさんで動作をきちんと揃え、和合と互助の美しい光景を現すことができるのです。

「今回の歳末祝福の行脚では、何万人に会ったか分かりません。毎日、座って様々な業界にある先達の方々の話を聞いて、非常に多くの社会の知識を吸収し、社会のあり方を理解することができ、多くの見聞を得ました。その後はやはり『感謝』の言葉しかありません。世の中には無限に学ぶことがあり、知らない事柄がとても多いのですから、時間を無駄にせず、学び続けなければなりません。生命は呼吸を一度する間にあり、人生とはいつかは時間と共に過ぎ去っていくものです。一日八万六千四百秒のどの一秒も大切に、そして慎重に使わなければいけません」。

また、上人はこう言いました。「今、国内外の多くの慈済人がオンラインで生の声を聞いています。一秒に一言でも良い言葉を聞いたならば、直ちにそれをノートに書くのです。それはいつまでも役に立つでしょう。同じように、大愛テレビが毎日教育の意義に富んだ番組を放送し、ニュースとして真実を正しく伝えることで、一秒一秒を全て視聴者に見てもらうことができ、善意の人の話や善行を耳にして道理を理解するようになるのです」。「心して奉仕する職員たちに感謝します。大衆が目を見開き、世の万象を見、法を耳で聞いて心に届けられるように、大愛でもって良い話をし、良い行いをして美しい光景を大愛によって現すよう願っています」。

生命も慧命も棚卸しする

新北市新泰区の慈済人たちが上人に会見した時、慈済ケア対象で全身麻痺を患っている呉さんの話が出ました。彼女が右手の三本の指を使って《般若心経》を刺繍し、慈善バザーに出品してワクチン募金を支援したことを、上人は大いに賞賛しました。「これは描いたのではなく、一針ずつ文字や図柄を刺繍で作品にしたものです。生き生きとしたハスの花が私たちに、誰であろうと軽く見てはならないと教えてくれています。彼女は体が言うことを聞かず、横たわったまま動けず、どうしようもありません。しかし、心は健康で、智慧に溢れています。仏が私たちに教えているように、仏心のある本性は永遠なるものであり、彼女はそれを十分に発揮しているのです」。

「世の中には多くの人が苦難に喘いでいますが、慈済人は苦の中に入って、それを見て、自分を振り返ることができるので、とても幸せです。足ることを知らず、一つあっても九つ足りないと不満に思っている人もいます。自分で苦難に喘ぐ人の側に行けば、身体に障害があったり生活が貧しいのを目にしますが、彼らの心はとても豊かで智慧に溢れ、足ることを知り、感謝し、善に解釈し、包容心を持っており、そこから学ぶことができるはずです。智慧のある人は心が外部の障害に影響されることはありません。その心さえあれば、一切の障害を克服することができます。誰もが真心から奉仕すれば、真善美の世界に到達できるでしょう」。

上人は、皆が生命の棚卸しをするだけでなく、過去にどれだけ人のために尽くしたか、正しかったのか、間違っていたのかを反省し、また同時に、慧命についても、どれだけ仏法を吸収したか、仏法の精髄を深く理解したか、そしてそれを自分の心に入れたか、慧命はどれだけ成長したか、振り返るべきだと言いました。世のために行うことは幸せを作ることであり、法を聞くことは智慧を成長させます。皆さんが時間を無駄にせず、心して精進することを願っています。法は心に入ると、その瞬間に永遠なものとなり、役に立つ言葉を聞いたり、学んだりすることは永遠に自分のものになります。そして、いつまでも役に立ち、慧命を永遠なものにします。

(慈済月刊六六二期より)

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