職人になりたい

問:

私は勉強が好きではありません。 高校を卒業したら大学には行かず、 直接就職して何か技術を身に付けたいのです。 どうやって両親に言えば、彼らは分かってくれるでしょうか?

答:台湾社会はとても進步していますが、思想面では依然として、「勉強のみが尊く、それ以外は全て卑しい」という考えが存在しています。ですから、親も子供も大学の卒業証書さえあれば、いい仕事が見付かると勘違いしています。そして、多くの子供や親が、進学の過程で、学歴と興味、能力のどれが重要かということを見落としているのです。

実は台湾経済の半分を支えているのは中小企業です。そのような会社の会長や社長が皆、大卒とは限りません。アメリカ大統領だったジョンソン氏はかつて、秀でたテーラーで、政治家たちの背広を仕立てていました。大切なことは、高校から大学に進学する時に、「勉強が好きな人間であるかどうか」ではなく、自分は何故大学に進学するのか、または進学しないのかをはっきりさせることです。

大学に進学せず、直接就職して技術を身につけるつもりだ、と両親に話すなら、先ず以下のことを理解しておきましょう:

自分の特質を見付ける

職業学校に進学するか、職場で一から学ぶなら、それが機械、土木、農業、飲食業のどれであっても、各領域には専門技術があり、その特質として、作業が中心なので将来はその専門技術でもって他人と競争することになります。高校で勉強するのは、読解力、分析力、記憶、情報の理解と処理能力を身につけるためです。ですから先ず、自分は作業が得意なのか、記憶型、情報処理型なのかを見極めるべきです。

私は高雄で中学生、高校生向けの学習塾を経営していますが、或る学生は模型を作るのがとても好きで、発泡スチロールでもボール紙でも、彼は生き生きとしたアイアンマンや自動車を作ります。こういう特質がある子供が技術職業学校に進学すれば、水を得た魚のように生き生きとするでしょう。

両親と一緒に職業を理解しよう

両親を誘って一緒に今の就職状況を理解し、関連情報を提供して、親に心の準備をしてもらうのです。

高校生の子供は外見上、既に大人ですが、メンタル的には未熟です。その上、台湾の教育方式では、子供に小さい頃から興味のあることを探索させて、自分の得意なことを見つける経験をさせていません。ですから子供は、高校に入って成績が思わしくないと気付いた時、きっと心の中で迷い、挫折することになるのです。その時、両親の寄り添いはとても大切です!

学校は時折、「生涯方向を探す」という講座を開いていますので、子供は両親を誘って一緒に理解したらいいでしょう。両親の付き添いと支持があれば、子供が就職方向を模索し、潜在能力を発展させようとする時、きっとより早く、的確に自分の特質を発見できるだろうと信じています。

好きな事は疲れを感じない

興味のあることを見付けるのはとても大事なことです。

自分の選択が誰からも強要されたものでなく、自ら志願したものである時、疲れを感じないばかりか、異なった人生を歩み出すことで、そこから手に職を付けて発展できるのです。

家の水道や電気に問題があると、私はよく、或る父子に頼んで修理に来てもらいます。彼らは主に高雄、台南、屏東地域で仕事をしており、温厚で話し好きなため、每日仕事のスケージュールがいっぱいです。ですから、彼らに修理を頼む時は予約しなければなりません。彼らは、趣味と專門を融合して事業を成功させている最もよい例です。

多くの例が証明するように、適性能力が発揮され、合っている職業に就けば、子供の潛在能力は開発されます。絶え間なく、專門と技術が蓄積されれば、キャリアの中で自分に合った領域が見付けられるでしょう。

私たちの企業界が技術者の專門性を重視し、それに見合った給料を出すことに期待しています。ドイツや日本のように、專門技術を持った職人を大切にして、尊重しています。そうしてこそ、「勉強のみが尊く、それ以外は全て卑しい」という思い込みを打破することができ、若い世代が楽しく、自信を持って生きていけるのです!

(慈済月刊六七七期より)

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