母が怪我をして、短期間療養していた時、電動ベッドと車椅子が必要になった。
慈済ボランティアは退院に間に合うよう、急いで届けてくれ、親孝行の娘を驚かせた。
「本当に無償なのですか?運賃や運転手の手当は必要ないのですか?」電話の中で、秀麗(仮名)(シュウリー)さんは慈済ボランティアの施敬洲(スー・ヂンヅォウ)さんに何度も確かめ、間違いないという答えを得て、やっと安心した。
五月十一日のタ方、五人のボランティアが福興町外中村のエンドウ豆市場の入り口で待ち合わせ、施さんが運転する自家用トラックで出発した。
「行き過ぎたようだ」。彼は車から降りて番地を確かめると、車をバックさせる必要があることが分かった。
「本当に感謝しています」。秀麗さんがドアを開けてボランティアを招き入れた。先ず、施さんが家に入って下見をした。一階の壁に近い位置は秀麗さんが既に片付けてあったスペースがあり、枕元にコンセントがあることを確認した。
電動ベッド、車いす、ポータブルトイレ…これら中古福祉用具はまるで新品のように手入れされ、消毒殺菌されていた。施さん、陳添財(チェン・ティエンツァイ)さん、施宣郁(スー・シュェンユー)さんら三人が力を合わせて部屋に搬入した。
「こちらへ来て、ベッドのリモコンの使い方を試してみてください」。
「それは、大丈夫だと思います」。秀麗さんは病院で働いているので、使い方は分かっていた。
電動ベッドを設置し、ボランティアは家族にその使い方と新式車椅子のハンドル機能を説明した。
「この車椅子は少し違うところがあります」。宣郁さんが操作して見せた。車椅子のハンドルが自転車のブレ―キに似た仕組みになっていて、握ると車椅子はロックされ、乗り降りが安全にできるようになっている。もう一度握ると、ロックが外れ、スムーズに移動することができる。
「折りたたみ方はこうですか?」。秀麗さんは、一般的な車椅子の折りたたみ方で試して、同じだと確かめた。
「わぁ、このポータブルトイレは新品みたいですね」。秀麗さんは心を動かされた。
施さんはもう一度、これらは全て中古品だが、あまり使われておらず、要らなくなった人たちが寄付したのだと説明した。
「母も使ったのは短期間でした」。秀麗さんの話によると、母親は、友人と出掛けた時、帰りの坂道で、人のまねをして後ろ歩きしていたところ、転んでしまったそうだ。既に二週間入院していて、ここ数日のうちに退院して家で療養できることになっている。彼女は、怪我が治ったら、これらの福祉用具を再び寄付するつもりで、今回と同じように慈済の補助具プラットフォームに申し込んで、ボランティアに回収に来てもらえばよい、と知っていた。
「慈済には中古福祉用具プラットフォームがあって、無料なので、申し込んでみたら、と上司が教えてくれたのです」。秀麗さん、実はあまり期待していなかったが、ボランティアがこれほど早く彼女に連絡し、本当に送り届けてくれるとは思っていなかったそうだ。
申請書類を受け取るといつも、施さんは相手に連絡して再度住所と配送時間を確認し、使用者の病状を尋ねる。その後で、申請した福祉用具が適しているかどうかを査定することにしている。
「申し込みの器具はこれらで充分ですか。よく考えて、まだ必要なものがあれば、一緒に提出してください」。施さんは、遠慮しなくても、必要な物はボランティアが送り届けるからと秀麗さんに言った。秀麗さんは遠慮して、これで十分です、と答えたが、結局、介護する自分用のベッドを買った。
一人が病気になったら、家族全員の生活に影響が出る。福祉用具まで自分たちで購入しなければならないとなると、確かに多額の出費だ。後で使わなくなると、捨てるのはもったいなく、そのまま置いてもスペ―スを取る。慈済のエコ福祉用具プラットフォームは、回収、メンテナンス、消毒、配送、ひいては設置や使い方まで教えてくれる。ボランティアは見返りを求めず、申請者に対して一銭も取らない。物の寿命を延ばすだけでなく、患者家族の負担も軽減したいと願っているのである。
(慈済月刊六八〇期より)