あなたは食べたもので決まる

編集者の言葉

過去三年間にわたり、疫病は社会にインパクトを与え続け、人々は一層食事や健康に注意を払うようになった。なぜなら、三食の食事であっても薬であっても、多くの病気の原因は確かに「病は口から」だと言えるからだ。十八世紀の或るフランス人の作家はこう言った。

「あなたは食べたもので決まる」。

伝統的な漢方医学では、古くから「薬食同源」という言葉があり、食べ物と薬は、どちらも病気を治すことができるものであり、多くの薬用植物は、食材にもなっているのである。免疫力を高める重要な方法の一つが食事であることからも分かる。従って、「飲食の習慣を変え」、何を食べたかに注意を払うことが重要な役割を果たすのだ。

秋から冬にかけては、ウイルス性感染症が流行し易い季節である。今月号の月刊誌は、「免疫力のアップ」を特集のテーマに選び、日常生活における「健康づくりの基本 」を読者と分かち合っている。

今回インタビューした一人は、台湾菜食栄養学会会長を兼任する、大林慈済病院の林名男副院長である。彼は、特にタンパク質の重要性を指摘し、動物性タンパク質に含まれる一部の物質は免疫系統に影響を与え、体内で炎症を引き起こすため、植物性タンパク質の方が動物性タンパク質よりも優れていると強調した。

一般内科医である彼は、腸は体内最大の免疫器官であり、菜食は腸内細菌を有益なものに変えることができると言った。

慈済ボランティアの大半は菜食をしており、常日頃、菜食をして養生することを地域社会で積極的に推進している。中でも、慈済は台湾全土に八つの病院を持っているため、多くの医療従事者は専門的な研究と臨床データを組み合わせて、科学的な方法でもって、菜食と健康に関する問題をサポートしている。

コロナ禍の間、花蓮慈済病院はさらに植物性薬効を研究し、民間療法によく使われる、ヨモギやミソナオシなどの薬草に体の保護力を高める成分があることを発見した。それは「天地万物には生命力が宿っている」という大自然の神秘にも通じている。

西洋のことわざに「あなたはあなたが食べたものでできている」とあるが、「あなたは自分が思っている通りの人間だ」という専門家もいる。食べ物の選択も大切だが、心の持ち様が、体の免疫力にとっても同じく重要なのだ。

確かに、もし、怒りや憎しみなどのネガティブな感情を抱いたまま食事をした場合、そのような食事で本当に栄養をつける効果が得られるかどうか、想像し難い。

このように、飲食や薬草以外に、心の作用の重要性も報道している。特に、近年、広く注目を集めている「正念の学習」は、体のホルモン分泌や炎症反応を効果的に改善することができるのである。

結果として、食であれ、心の作用であれ、人の健康と免疫力においては、体と心を切り離すことはできない。詰まる所、日常の飲食と考え方が相互に関係して心と体に及ぼす影響を与え、それら全てが免疫力と密接に関係しているのだと言えよう。

(慈済月刊六八三期より)

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