思いを親の心に届ける

問:

クラスメートにプレゼントを贈るのは簡単ですが、両親には何を贈れば喜んでもらえるでしょうか?

答:今年、誕生日の一カ月前に、末の息子から電話があり、欲しいものは何かと尋ねられました。ドライヤーを買い替える時期だったと思い当たり、ピンク色のヘアドライヤーが欲しいと答えました。そして、誕生日当日、二人の息子が割り勘で買ったヘアドライヤーが届きました。色も形も私の好みぴったりで、片時も手放したくないほどです。

また以前、義母への誕生プレゼントでとても悩んだことがありました。何か必要なものがありますかと尋ねても、多くの場合「何でもいい」と言う返事でした。そこで暫くの間、金のアクセサリーをプレゼントしていました。後になって、年を取ったのでアクセサリーはあまり付けないと言われました。代わりに洋服をプレゼントしましたが、やがて洋服は多過ぎると言ったので、最後には、悩む必要のない方法、お金を包むしかありませんでした。

贈る人が悩まず、受け取る人に喜んで貰えるようにするために、次の方法を参考にしてみてはどうでしょうか。

意外な喜びであっても、びっくりさせてはいけない

私の以前のような失敗を繰り返させないために、子供たちが社会人になってから、私たち夫婦は、今年一番欲しいプレゼントは何かをはっきり伝えることにしました。

私たちがはっきり言うので、子供たちは必ず願いを叶えてくれます。そのため、贈る方は何を贈ればよいか悩むことはなく、受け取る方も気に入らない贈り物に対して苦痛を感じることはありません。

「世代間交流」を活用する

私は家を離れて、南部の大学に進学しました。母の得意料理が恋しくて、夢の中で涎を垂らすほどでした。

ご馳走に預かるために、里帰りする一週間前には必ず母に電話して、帰る時間と食べたい料理を前もって言いました。そうすれば、家に帰ると、存分に好きな料理が食べられました。母はお皿が空になるのを見て、笑顔になっていました。まさに、料理する人が嬉しく、食べる人も満足とはこの事でした。家に帰ると、いつも親子が喜び合い、ホームシックは和らぎました。

最近、ある本を読んで、大学時代にやっていた、「料理を注文する」という行為が、正に現在の専門家が主張している「世代間交流」そのものだと言うことを知りました。

親へのプレゼントに悩まないためと、親に喜んでもらうためには、世代間の交流を上手に活用することです。具体的に自分の考えを親に伝え、明確に説明すれば、親も協力してくれるはずです。贈る方も受ける方も楽しい情景を実現できると思います。

子どもの目に映る私

親へのプレゼントは必ずしもお金を使う必要はありません。手作りのカードなど、自分の思いを言葉にするのもよいでしょう。または、料理の腕前を披露して、両親に美味しい食事をご馳走したらどうでしょう。

かつて母の日や父の日のために、ワークシートを設計して、「親の良い点百箇条」を生徒に書いてもらったことがあります。そして、それを母の日(または父の日)の一週間前に、各保護者に郵送してもらいました。多くの保護者がその特別なプレゼントを受け取った時、とても感動して私に電話して来ました。「先生、ありがとうございます。これは私の人生で受け取った最高のプレゼントです。記念に額に入れておきます」。

私の二人の子供も、母の良い点百箇条を書いて私にくれました。私はそのワークシートを見て、狂ったように泣き笑いをしました。子どもの目に映る私って、衣食住をうまくこなすだけでなく、口うるさく、決断力はあるが、可愛げのある母親でもあったのです。

そのプレゼントは今でも大切に仕舞っており、若い頃の思い出として良く取り出しては見ています。子どもが私を愛し、よく見てくれ、良い思い出を残してくれたことに、とても感謝しています。

プレゼントは気持ちです。「心すればプロになれます」と證厳法師は言っています。ですから、心を入れれば、大した物でなくても、心がこもっていることを感じ取ってもらえるのです。注意深く観察すれば、必ず親に喜んでもらえるプレゼントを贈ることができます。

コミュニケーションはとても大事なことですから、先ず、親に何が欲しいか、何が必要なのかを聞いてみることです。そして親も子どもにはっきりと伝え、子どもが心を込めてプレゼントを用意できるようにしてあげてください。そうすれば、自分がそれを受け取る時の喜びもひとしおでしょう。「両親に何をあげたら喜んでもらえるか」という問題はもう存在しなくなるのです。

(慈済月刊六八一期より)

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