感謝、尊重、愛

感謝があれば、福を造る機会ができますが、
それ以上にあらゆる人助けにおいて、
細やかな尊重と愛が示されなければなりません。

リサイクルボランティアは日々、福を拾い集めている

十一月十日午後の歳末祝福会は主に高雄区のリサイクルボランティアが参加し、上人が次のように語りました。「高雄岡山志業パークはエコ毛布製造の重要な拠点の一つで、師兄や師姐たちが心を込めて裁断し、縫製して作り上げています。既に多くの国と地域に送られ、慈済の慈善支援活動に伴って、数多くの被災者や貧しい人、病人など支援を得られない人たちの心身を温めて来ました」。

「これらの毛布は、私たちが環境保全活動で回収したPETボトルから作られたもので、品質がとても良く、暖かいです。今日、日本から来客があり、十二年前の東日本大震災の時、慈済が被災者を支援したことに感謝の気持ちを述べられました。その時に日本と台湾の慈済人が、被災地の避難所でその毛布をお年寄りに掛け、優しく抱擁し、彼らを慰めていたことをまだ覚えているそうです。たとえお互いに知り合いではなくても、成す術もなく慄いているお年寄りを目の前にすると、慈済人は直ちに愛の心を発揮しました。そのような愛は、とても誠意のあるものです」。

「ですから、この世には無用のものはありません。皆さんが普段回収しているボトルや缶類には、とても価値があるのです。心掛けさえあれば、この世に奉仕できない人はいません。進んで奉仕できるのです。誰もが心して愛でもって奉仕すれば、力が集まり、人間(じんかん)に幸福をもたらします」。上人は、付け加えました。「皆さんが地域でリサイクル活動に参加する時、環境をきれいにするだけでなく、現地の住民と交流しつつ、人心を浄化する機会を逃してはなりません。様々な年齢の人々がリサイクルセンターへ参観に訪れ、実際に分別を体験していますが、慈済人やリサイクルボランティアが人間(じんかん)に幸福をもたらしていることを目の当たりにすると、感謝と喜びの気持ちが起こり、投入していくのです。リサイクルセンターは即ち菩薩道場なのです」。

上人はリサイクルボランティアが心して回収し、細かく分別して、整理していることに感謝しました。たとえ、回収プラスチックの価格が低くても、皆さんがご存じのように、プラスチックを回収するのは地球を守るためなのです。リサイクルボランティアの毎日の回収作業は、物を惜しみ、福を集める行為であり、福を回収しているのです。またそれと同時に、大衆に環境問題を重視して自前の買い物袋の携帯を勧め、大量のプラスチックゴミを作ることで福を無くしてはならないと教育しています。慈悲喜捨の菩薩精神を発揮して絶えず大地を愛おしみ、衆生を愛し護ることで互いに睦まじくなり、大愛を結集してこの世に奉仕し、人間(じんかん)に幸福をもたらしましょう。

観世音菩薩の化身

上人は、こうして慈済に集まっている因縁を大切にするようにと語りかけました。「慈済があるから、私たちは大きく発心し、立願することができるのです。諸々の愛を結集し、世界中の貧しい人や苦しんでいる人に奉仕する慈済人は、苦しみを聞きつければ、どこであろうと愛を携えて助けに行きます」。

また、上人はこう言いました。「慈済の志業は、三十人の主婦が竹筒に貯金したことから始まりました。彼女たちは観世音菩薩の化身であり、市場や隣近所で口伝えに広めました。一日に五十銭貯金することが人助けになるなら自分にもできる、と誰もが感じ、その反響は益々広まり、『私も参加したい』と皆が言い始めました。五十数年前の、あの『私も』という善行への反響は、今日まで途切れることなく続き、益々多くの人が慈済の善行を目にして『私も』、『私にもできる』と言いながら、世に善と愛を促し、百三十を超える国と地域で慈悲の善行を行うまでに至っています」。

台湾であれ海外であれ、苦しんでいる人を支援する慈済人には、誠意が溢れています。配付する物資は全て丁寧に整理して梱包し、それらを自ら布施し、深々とお辞儀して、両手で差し出すと共に、受け取る人にお礼を言います。被害調査から配付まで、あらゆる段階で丁寧に尊重と愛を示しています。「感謝、尊重、愛」は、慈済人が永遠に伝承して行かなければならない精神と態度なのです。

「人助けする時は、相手から感謝されたいがためではなく、逆に相手が私たちに福を造る機会を与えてくれたのだと感謝しなければなりません。福の因を造り、福縁を結ぶことができれば、そこから福の果報をもたらすことができるのです」。慈済人は様々な土地で苦難にある人を支援すると同時に、善と福の種子を植えています。そして、人間(じんかん)菩薩を募って、あらゆる種が「一から無量」へ増えるようにと、丁寧に耕しています。人間(じんかん)に無数の菩薩がいれば、無量の福がもたらされるのです。

(慈済月刊六八六期より)

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