インドの慈済

撮影・蕭耀華
訳・葉美娥

村民の雇用の機会を創出するため、ボランティアが村に入って、参加希望者を募った。ガンジス河沿いのビハール村の足に障害がある夫婦は、裁縫のプロなので、3月から福慧袋の縫製を受注した。

文・朱秀蓮、林静君(慈済ボランティア) 、黄釈玉(マレーシア慈済ボランティア)
撮影・蕭耀華
訳・施燕芬

慈済が支援建設する第一期住宅の「シロンガ大愛村」の起工式が、今年の二月二十五日、多数の僧侶や来賓及び慈済基金会林静憪(リン・ジンシェン) 副執行長、熊士民(ション・スーミン) 副執行長の立会いの下に行われた。

三十六戸の住宅からなる大愛村は、シロンガ政府学校と道路を隔てた場所にある。古い家屋が取り壊された一部の住民は、近くに仮住まいの家を建て、一部は親戚の家に頼っている。かつてのような土レンガ造りや茅葺き屋根の家は、空き地さえ見つければすぐ建てられ、住居番号もなかったが、レンガ造りの恒久的な家を建てるにあたっては、多くの法的手続きと準備作業が必要であることを、村人は知らず、二月に起工式が終わると、直ぐにでも家の建設が始まると思っていた。

今年の三月十日、建築会社がシロンガ大愛村の予定地を訪れ、区画割り、杭立て、レンガの運搬を行った。そして三月二十三日に、各世帯は家屋に関連する書類に署名した。慈済が委託した地元弁護士のパンカジ・クマール氏は、村民に公文書を読み上げて知らせた。その内容は、各区画の位置、建物の仕様、室内の間取りや設備などである。同意のサインができない人は、母印を押してもらった。村民のジャヤンティ・クマリさんは、 「私たちのために、レンガ造りで二部屋とキッチン、バスルームのほか、電気設備や照明器具などが揃った家を建ててくれることに、感謝の気持ちでいっぱいです」と合掌して言った。

衛生環境の悪さが農村部における病気の根源になっている。シロンガ村の老若男女がボランティアのリードで環境の清掃を行った。

シロンガ村で慈済志業を促進するにあたって、シロンガ政府学校で歴史の教師をしているジャヤンティさんは重要な連絡窓口である。昨年の四月、シロンガ村で大火災が発生した時、慈済ボランティアは食糧や物資を持って来た。そして、家々の清掃を行った他、大規模な物資の配付活動、健康診断、ケア世帯への支援などを実施した。ジャヤンティさんは慈済の活動に参加するよう村人に呼びかけた。見知らぬ相手から知り合うようになるまで、共に歩んできた様々な心温まる記憶が残っている。

「私の給料では、自分の家を持つなど想像さえできませんでした」。ジャヤンティさん一家十人は、土レンガ作りの家に住んでいて、彼女の教師としての給料二万二千ルピー(約四万一千円)に頼って生活している。シロンガ村の人口は八百人余りだが、大人の半数以上が失業している。慈済は、「仕事を与えて支援に換える」プロジェクトで、村民が住宅建設に従事することで収入が増えることを願っている。

まだ気温の低い早朝に、体を毛布にくるまって暖を取るシロンガ村の人々。屋外の土かまどで牛糞ケーキや木の枝を燃料にしてご飯を炊いていた。村では、農耕と牛乳、そして牛糞ケーキのために牛を飼育しているが、牛肉は食べない。

大愛住宅の引き渡し書類にサインしてもらう時、慈済マレーシア・セランゴール支部の副執行長である蘇祈逢(スー・チーフォン)さんは、大愛住宅を清潔に保つために、壁を使って牛糞ケーキを作ってはいけない、と念を押した。また、これから用を足す場合は室内のトイレを使うこと、至る所勝手にゴミを捨てない、皆で健康的且つ衛生的な生活環境を維持していこうと呼びかけた。

蘇さんの注意の言葉には理由があった。ブッダガヤ市街地と周辺の村落においては、表通りから路地裏、用水路や池から尼連禅河に至るまで、見渡す限りのゴミ山だったため、蚊やブト、ハエが群がって異臭を放っており、野放しにされた牛、羊、豚、犬といった動物たちが餌を漁る場所となっているのだ。つまり、マハーボディ寺院や各国が建立した寺院の清らかさと荘厳さを除けば、周囲は殆ど汚いままである。

三月下旬、慈済ボランティアがシロンガ村で、「證厳法師が語り継ぐ」という催しを行った時、特別に「床掃除には五つの徳がある」というテーマを選んだ。百人を超える大人と子供が集まり、青いビニールシートいっぱいに座って、カリンの木の下で涼しい風に吹かれながら、真剣に話を聞いていた。お釈迦様の教えによれば、清潔な環境で得られる五つの功徳とは、自分の心が清らかになり、人々が喜びを覚え、諸仏から称賛され、端正な姿で生まれ変われる善の因に恵まれ、そして往生後は清浄な天界へ行くことができるのだ。熱心に聞き入れた子どもたちは、ボランティアの後について、喜んで一袋、また一袋とゴミを拾い、クナル・クマル君は、「ここのゴミを拾えば、僕たちの村はきれいな状態を維持できて、心もきれいなままでいられるのですね」と言った。清浄の種が村人の心に根付くことを願ってやまない。

(慈済月刊六九〇期より)

教育志業ボランティアチームは、毎週12校の生徒に人文講座を提供し、ボランティアの黃さん(左)が静思語を教えている。生徒たちはヒンディー語と英語、中国語を同時に学んでいる。

マハカラ山にある留影窟は、仏陀苦行の地と伝えられている。山のふもとには幾つかの村があり、中の1つのラフルナガル村には約300世帯が散在している。健康診断のために村を訪れたボランティアは、血圧や身長、体重を測定し、尿の検査も行った。

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