小学一年の新入生 学校は面白い所

問:

子供が幼稚園から小学校に上がり、始業からしばらく経ってもなお学校に行きたくないと言う場合、どう導いたらいいでしょうか。

答:登校したくない子供は、それぞれの理由を持っていますから、保護者と先生の助けが必要です。

良き友人のHさんのお孫さんは、今年小学校に上がりましたが、每朝登校する時はいつも、泣きながら両親とお爺さん、お婆さんと「おおげさな別れ」をするそうです。その理由は登校したくないからです。

家族全員が心を砕いて「おおげさな別れ」を演じながら、むせび泣く子供にどうして学校に行きたくないのか尋ねました。子供も理由が答えられませんでした。そんな中、担任の先生からいくつか重要なキーワードを聞きました。

前もって準備する

先生はこう言いました。

「学校が始まる前に時間のある時や休みの日に、お子さんを連れて学校の滑り台で遊んだり、一年生の教室を見せたりするといいと思います。もし、教室の扉が開いていれば、中に入って座ってみましょう。そして、ここがこれから通う学校ですよ。新しい先生やクラスメートに会ったり、色んな授業や団体活動があったりするのよ、と子供に話してあげましょう」。

「每日登校する時、お子さんと約束しましょう。お昼十二時の下校時間になったら、お爺さんかお母さんが迎えに行くこと、午後は宿題を書き終えたら、あなたを連れて公園へ遊びにいくこと、これでいいですね、と約束します」。

また、「初めは親と離れることで泣くお子さんが少なくありませんが、暫くすれば、環境にも先生やクラスメートにも馴染んで泣かなくなりますから」と先生は付け加えました。

仲間を捜す

我が家の向かいに双子が住んでいます。去年の九月、彼らも小学一年生になりました。每朝七時半きっかりに、手を繋いで歌を歌いながら家を出て、午後四時半には、手を繋いで帰ってきます。彼らが泣きながら学校に行ったとは、聞いたことがありません。

路地の入り口にある退職した校長先生の家にも、小学一年生になる女のお孫さんがいます。每日笑顔で登校し、おおげさな別れをする必要はありません。というのも、隣に四年生の女の子が住んでいて、毎朝彼女と手を繋いで登校してくれるからです。

別れる不安の気持ちを和らげるには、小学校に上がる前から、同じ幼稚園を卒業したクラスメートや近所に住む子供と一緒に登校してもらえば、泣いたり、登校拒否したりすることは減るでしょう。

先生というお母さん

先生は、子供にとって学校でのお母さんです。

小学一年生の子が登校したくない時、その過程においては家族の付き添いの外に、先生が重要な役割を果たします。家から学校まで、家族が送り届ける間はおおげさな別れが続きますが、教室の前に来ると、突然終わるのです。Hさんによると、「とても不思議です!孫の手を先生に渡すと、先生は軽く孫の手を引いて席に座らせてくれます。孫は涙ぐんだままですが、直ちに号泣は止むのです」。

先生の経験と包容力はとても大事です。Hさんのお孫さんは、授業が始まるとよく、一人で教室の隅に立っていましたが、先生は無理矢理、団体のルールに従わせようとはしませんでした。子供の情緒が落ち着くのを待ってから席に連れ戻し、ゆっくり馴染みのない環境になれるようにしていきました。一カ月経った頃、子供は楽しく登校できるようになりました。

小学一年生は、幼稚園に通い、団体生活を経験してはいるのですが、それでも新しい環境、新しい先生、新しいクラスメートを怖がる子もいます。保護者は子供が成長して適応するまで辛抱強く待ち、先生も心を大きく持って新入生を受け入れると良いでしょう。

基本的に、保護者は約束の時間通りに子供を迎えに行き、子供に安心感と信頼感を与えることが大切です。先生は、子供にとって学校でのお母さんだと言えます。小さい子供は、クラスで良い友達ができれば、親と離れる焦燥感はだんだん消えていきます。每日朝日が上ると意気揚々と登校する子供の姿は、夢ではないのです。

(慈済月刊六八九期より)

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