菜食するのは動物を守ると共に、環境保護にもなり、
世の中や社会、健康、教育のあらゆる面でプラスの影響をもたらす。

慈済の教育価値を見つめ直す
十一月二十七日、慈済大学の管理職たちが校務に関する報告をしました。慈済大学附属中学校は、開校二十五周年記念行事の一つとして、バイリンガルクラスによる英語の劇を上演し、六年生の生徒たちが、トルコのマンナハイ国際学校をテーマに、『月星空の下の愛』を演じました。また、仏陀の故郷への恩返しの劇では、シッダールタ王子の話からラージギルのサンディープ君の物語まで演じました。
上人は、小学部の子供たちが偉大な仏陀を演じるのは容易ではなく、演劇とは言っても、一挙手一投足全てが実際の教育となっていること、純真な心で演じた児童の演技は人々に感動を与え、人心の浄化に役立ったことなどに言及しました。「私はいつも皆さんに、生命の価値を見つめ直すよう言っていますが、教育の価値も見つめ直す必要があると思います。台湾や世界にどんな影響を与えたでしょうか。このような行動は見せびらかすためではなく、自分を肯定し、自分のために履歴を残すことになるのです。しかし、欠点があれば、直ちに直さなければなりません。良く出来たならば奨励し、優秀な教育方式は残し、健全な校風を築いて国際的な模範となる名誉を享受するのです。子供たちに良い教育を与えると同時に、私たちも大きな達成感が得られます」。
上人は、「『菜食の勧め』を続け、環境汚染と気候変動の科学的研究から人類の食生活が地球に与える影響を分析し、炭素の排出を抑えて汚染を減らすのです」と念を押しました。菜食習慣による炭素排出量削減が科学的分析による数値として示されれば、人々は比較的容易に受け入れることができます。また、医学と生理学の観点からも、健康に有益だということを、研究結果の数値で示すことができます。動物を護り、環境保護を望んで菜食をしている人は、善良で愛を持っています。菜食は、社会にも、健康や教育の面にもプラスの影響を与え、世の中がまた一段階昇格します。
世界に目を向けると、様々な憂慮すべき出来事が報道されています。上人は、慈済の学校が教師と学生を導くことで、人々が一層敬虔な心を持ち、人心が愛と善に向かうことを期待しています。花蓮は、「海の彼方に日が昇れば、山を照らす」場所ですが、海から昇る太陽は、光明を意味しています。そして、慈済の教育は花蓮に起源を発しているため、いつもその責任と使命を携えて光明と善良な教育の気風をもたらすべく、先頭に立っているのです。「信心を得てやる気さえ起こせば、今からでも遅くはありません。もしこれ以上先延ばしにしていたら、どうしようもなくなり、沈んでいく教育の気風を盛り上げることはできません。今この時に教育を伝承するのも、人間(じんかん)を庇護する力となるのです」。

幸いにも慈済があることに感謝
世界二百余りの国のうち、六十八の国と地域に慈済人がいます。この六十年間に百三十六の国と地域で、苦難にある人に人道ケアや支援を行って来ました。慈済人のいない国では、国境を越えて皆で一緒に緊急援助をしたり、施療活動をしたりして来ました。
昨年十一月九日、上人は歳末祝福式典で次のように開示しました。「世界各地にいる慈済人から報告が来ると、『幸いに』と言う言葉が私の脳裏に浮かびます。人間(じんかん)に苦難が多くても、幸いに慈済人がいるからです。特に慈済人がいる国では、災害が発生しても比較的迅速に被災者の支援に行けるのです。慈済人がいない国では、近隣の国の慈済人が、力を合わせて慈善救済に行きます。たとえ災害が過ぎて暫く経った頃でも、抱擁して慰めの言葉をかけることで、被災者の悲痛な心を落ち着かせると同時に、困難な時期を乗り越えられるよう、生活支援をすることができます」。
「私が常々言っているように、災害に遭った人を支援しに行く時は、相手に『感じてもらえる』ことが大切です。即ち、彼らが慈済の救済金や買い物カードを受け取った時、その金額が彼らにとって役に立ち、困難を乗り越えられると感じてもらうことであり、その場しのぎで少しばかり施すのではありません。そして、私たちがこんなに大人数で、時間と労力を費やし、遠くへ出掛けて奉仕したことを無駄にしないためでもあるのです」。
上人は、平穏で繁栄した社会で何事もなく生活できるという自分の幸福を知って大切にし、更に社会に幸福をもたらすべきだと言いました。「微々たるものであっても結集すれば、社会に幸福をもたらすことができます。人助けできるのは、私たちの幸せです。台湾には善良な人が多く、自分の能力でなし得る範囲内での善行は、生活に影響しないばかりか、広く世の衆生と良縁を結んでいるのです。助けられた人が落ち着くのを見ると、私たちも心が安らぎ、喜び、それ以上何も求めるものはありません。このような心境は最も喜びに溢れていて、これが即ち菩薩心なのです」。
(慈済月刊六九八期より)
慈済モザンビーク連絡所は11月1日、エンジア小学校に授業用の椅子を寄贈した。先生と生徒はより快適な学習環境が得られるようになる。(攝影・エズラ・ミリーズ)

