ネットゼロとは

(写真提供・慈済基金会 場所・花蓮慈済志業パーク同心円食堂)

ットゼロ」が話題になっている昨今だが、生かじりのままでいる人が多いのではないだろうか。

「一年間に世界で排出されている約五百億トンもの温室効果ガスを、ゼロにするのは無理です」。陳哲霖(チェン・ヅェーリン)さんが簡潔に説明した。排出ネットゼロとは、温室効果ガスを全く排出しないのではなく、排出量を最低限に抑える努力を行いつつ、森林や海洋、土壌などが果たす「カーボンシンク」という役割に加えて、二酸化炭素の回収や貯蔵施設などでの「人工的な二酸化炭素の吸収」によって、差し引きゼロに近づけることである。

「ネットゼロ」の意味がわかれば、なぜ肉類を食べずに菜食したり、公共交通機関を利用したり、忘れず電気を消したりするのかが理解できるようになる。「塵も積もれば山となる」と言われるように、個人レベルの小さな行動でも地球と人類の持続可能性に貢献できるのだ。

天然資源の枯渇問題に対応するには、原料の採掘から製造・消費・廃棄・汚染まで一方通行の「線形経済(リニアエコノミー)」システムを改める必要があり、資源の使用や消費を抑え、汚染を減らし、廃棄物をリサイクルする「循環経済」という新たな道を進むべきである。

陳さんは、ある大手の科技工場を例に挙げた。その会社は電球の製造で世界に知られていたが、後に新しいビジネスモデルを開発し、オランダ・アムステルダムのスキポール空港と契約を交わした。空港全体で使われる照明器具の受注とその交換及びメンテナンスを含む業務を請け負ったのである。利益の源が製品の販売からサービスの提供へ移行したので、メンテナンスコストを削減するためにより優れた耐久性のある製品を製造した結果、原材料とエネルギーの消費が削減されたのである。

「ネットゼロは地球温暖化の問題を解決するために必要です。循環経済で地球資源の枯渇問題に対応し、ネットゼロと資源の循環を進めることで、地球と人類は持続することが可能になります。持続的な発展は環境問題に限ったことではなく、経済の発展や社会の進歩も然りであるため、その中核となる精神を知らなければいけません。多様性があって包括的であるためには、何よりも誰も置き去りにしないことが大切です」。陳さんは、慈済の環境教育の要点と順序を語った。

(慈済月刊六九八期より)

太陽光をグリーン電力に変換

太陽光をグリーン電力に変換

慈済は、各地の連絡所の屋上や空き地にソーラーパネルを取り付けるプロジェクトを推進しており、2024年末現在、46カ所で太陽光発電を行っている。その中の34カ所は太陽光発電企業との合作である。慈済が空き地を提供し、業者が出資して建設し、完成後は、慈済が土地の賃貸料を受け取らない代わりに発電量の15〜20%を使用すること、また「グリーン電力証書」を提供してもらうことにしている。

  • 46カ所の太陽光発電所が完成

  • 再生可能エネルギー発電によるグリーン電力:年間738万キロワット

  • 総容量:6524キロワットピーク

  • 炭素排出削減量:年間3647トン

(2024年12月末までの統計)

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