日々人助けの念を起こし、それを自ら力行すれば、小さな親切を積み重ねることで誰かを救うことができます。
毎日このような記憶を呼び起こし、皆の一点一滴の愛が水甕に入っていたからこそ、何時でも取り出して、人助けができたのです。
一滴の水が海に入れば、私たちの一滴もその中にあって、慈悲の船を動かし、大愛をさらに大きくします。
時間は素早く分秒を刻み、一時間から一日、そして一年三百六十五日が知らぬ間に過ぎていきます。旧暦の春節を迎え、また一年が始まりました。毎日無事に過ごすのは決して容易ではありません。なぜなら人生は無常で、命はひと呼吸の間にあるからです。時間をかけて仏道修行を成し遂げるのですが、私たちは、過ぎた一年でどれだけ収穫を得たのか、どれだけ人間(じんかん)に尽くしたのか、どれほど仏法を人生の中で用いたのか、自分自身を振り返る必要があります。
新たな年と最初の一日を迎えられることに感謝しています。しかし、無常な生命は私たちに、新たな三百六十五日を与えてくれるでしょうか。ですから、仏法は絶えず、「一日が過ぎれば、命もまた一日短くなる。水の少なくなった場所で生きる魚に、何の楽しみがあるだろうか」と私たちに注意を喚起しているのです。時間と競争し、良い縁を逃さず、この人生の価値を発揮するのです。時間を大切にすることは、自分の慧命を大切にすることであり、精進して励み、放逸にならず、自らを律して慎むことなのです。
去年十一月末から行脚に出かけ、一年に一度の歳末祝福と認証授与式典を執り行いました。台湾を北から南周りで一周して花蓮に戻り、二月に最後の式典を円満に終了し、年越しの準備に取りかかりました。遠くにいる慈済人は、オンラインで新年の挨拶をすると共に、彼らが在住する国で如何にして慈済を広め、皆と同じように精進をしているかを分かち合ってくれました。
海外の慈済人は、自力更生しながら慈済の志業を担っています。現地で災害が発生すれば、すぐに本部に無事を知らせ、次いで被災状況を調査し、現地で皆が協力して力を発揮しています。世界中の慈済人が、皆持っているこのような愛こそが、清浄で無私の大愛なのです。人と人が接する時、元より相互に労わり合う気持ちを持つことが大切です。ましてや慈済は、仏法精神を以て人の世に関心を寄せ、助けを必要とする声を聞けば、発心して苦難を解いてあげています。これは、人間菩薩としての本分なのです。
六十年前、私が人を助けたいと望んだ時、三十人の主婦が私について来てくれました。彼女たちは、毎日市場へ買い物に行く時に五十銭を慈善のために貯金しました。当時、買い物かごを提げた彼女たちの語る「五十銭を節約して人助け」という方法が、市場の中に伝わったのです。
五十銭から始まった慈済は、台湾から世界へと広がりました。慈済人なら誰でもこの話を知らなければならず、当時の困難を忘れてはいけません。五十銭という金額は、生活にも、食卓のおかずの数にも影響しませんが、少ないお金も貯まれば、人助けができます。今日に至っても、生活の中で節約することが大切であり、毎日貯める僅かなお金で人助けができるのです。
日々、発心することを忘れず、人助けの一念を起こし、且つそれを自分で実践して励むことこそが、慈済が人助けを行う善法なのです。毎日この記憶を思い起こし、一点一滴の愛を水のように水甕に入れれば、いつでも取り出して人助けができるのです。私たちの一滴一滴が流れこんだ海は、慈悲の船を運び、大愛をさらに広げることができるのです。
慈済はもうすぐ六十年が過ぎ、六十一年目が始まります。私はとても幸せです。大勢の皆さんが私を支持し、なお師父として尊重してくださっていることに、私はとても感謝すると同時に満足しております。こんな歳になりましたが、人間(じんかん)に来たからには、自分の命を大切にしつつ、一日あれば一日の責任を尽くさなければなりません。皆さんも同じように、この責任を忘れないでください。自分の利益だけを求めるのではありません。利益だけを求めていると、永遠に苦しいものになります。もっと人々に奉仕し、善行と孝行をしてください。過ちがなければ、心は安らぎ、振り返ってみると、人生が価値あるものに感じられるはずです。
私がいつも皆さんを菩薩と呼んでいるのは、皆さんが過去世で修行していたからこそ、今世で一緒に集まっているのだと信じているからです。現在は科学技術が発達し、毎日早朝でも、指で触れるだけで私の説法を見聞きすることができます。縁さえあれば、距離の遠近に関わらず、たとえ時差があっても、オンラインで繋げば、荘厳で整った道場で一緒に修行することができ、精進する心さえあれば、私たちは永遠に一緒なのです。これもまた私の期待していることですが、私たちは生生世世存続し、永遠に仏道を歩むことで、揺るがない仏法に対する心を持ち続けることができるのです。
正しい事は、もっと多くの人によって行われる必要があり、世に良い人が多ければ、この世は平和になります。社会が平安になれば、皆さんの事業も安定します。たくさんの良い人と良い事が、人の世の幸せなのです。新年が順風満帆であるようにと願い、皆さんが日々歓びに満ちるよう祝福しております。
(慈済月刊七一二期より)


