復興の道を祝福して

編集者の言葉

台湾全土の新型コロナウイルス感染者は、六月初めには全人口の九パーセントに達し、数値は高いまま下がっていない。専門家によると、新型コロナウイルスがインフルエンザ化していくかどうかは、いまだ明確ではないそうだ。人々はすでに、感染した場合にどうケアするかを心得ているものの、派生する諸々の心配は拭えていない。

その中の大きな現象の一つは、感染か否かにかかわらず、民衆が争って「清冠一号(台湾でコロナ治療向けに開発された中薬)」を買い求めたことである。コロナ禍に対応する薬が、去年国家中医薬研究所で開発され、医師の診断によって処方されているが、患者に提供されているのは、西洋薬とは異なる治療である。

その治療効果が良好であるため、その原料となる生薬の価格が高騰し、品切れにまでなった。それを必要とする人の手に入らなくなり、多くの人は中薬の店で何らかの薬を買い求めて服用しているが、中薬に対する知識が浅いため、その薬が安全であるか否かは分かっていないようだ。その実、漢方専門医は「弁証法」を基に、患者の体質と症状に応じて薬を調合するので、単一的な処方では全ての人に適用できるとは限らない。

もう一つ、感染者への蔑視が回復後も続くのかに注意する必要がある。今年初めのニュースで、回復して職場に復帰したが、同僚から冷たくあしらわれた人や、また職権を奪われるかもしれないと恐れを抱く人の様子が紹介されていた。またここ二カ月の間にも、ある児童が回復後クラスメートから仲間はずれに遭ったことが報道された。ある感染した医師は日記を公開して、感染後に「何処で感染したのか、誰から感染したのか」と聞かれるため、罪悪感に襲われていると語った。これは社会に広がっている恐怖心によるもので、感染者の回復後の道を険しいものにしている。

重症を経験した人たちは、諸々のストレスを抱えているため、新型コロナの後遺症が心身に与える影響を緩和していく必要がある。人々の新型コロナに対する認識が深まると共に、症状を見る限り、初期の頃ほどの危険性はなくなっているが、如何にしてウイルスと共存し、前向きな気持ちで自分を助け、人を助け、正常な日常生活に戻ればいいのか、多方面からの協力が必要である。

今月号のコロナ禍に関する報道の中には、去年、感染が酷かった時期に感染した年配者の話が載っている。医師の協力の下に全治したが、再度の感染を恐れて、自分の殻に閉じ込もってしまった、という。幸い多くの人が寄り添い、やっと家から出ることができた。慈済病院の漢方医、栄養士、理学療法士の指導と本人の意志の力によって、遂に立ち直ることができたのだ。

今月号には、ウクライナ避難民支援についての記事が継続して掲載されている。戦争が長引くにつれて彼女たちへの支援は日増しに少なくなっている。生活困難に陥っている多くは女性と子供で、彼女たちの身の安全にも注意を注がねばならない。慈済は引き続き、他のNPO組織と協力して防寒用エコ毛布と日用品を買うためのプリペイドカードを贈り、さらに医療と精神面でも支援を行っている。

新型コロナに感染した場合は、我慢強く回復を待たねばならないが、遠方の戦時下にいるウクライナ避難民も、帰郷の旅路に就く日はまだ遠い。私たちは誠心誠意、両方の復興の道が一日も早く終点に到着するようにと、願うばかりだ。

(慈済月刊六六八期より)

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