コロナに罹った娘に栄養を付けさせたいが、どうやって食べさせたらいいか—-。
おやつを増やし、少量多食にして、柔らかくて呑み込みやすい食材を使い、毎食ビタミンとミネラルが豊富な野菜や果物を欠かしてはならず、彼女が治るまでの必要なエネルギーを提供することである。
今年の二月二十二日、私は新型コロナに罹った。二回ワクチンを接種後ブースター接種もしていたため、症状は軽く、検査を終えて感染通知を受け取ると、直ちに自宅療養生活に入った。
シンガポールの小学生は去年十二月末から、新型コロナワクチンの接種を始めた。子供を保護し、重症化リスクを下げるために、私も直ぐに予約し、十一歳の睿佳(ルイジア)は今年一月末の段階で、二回目のワクチン接種を終えたが、世の中そんなに甘くなかった。一カ月後、彼女は喉に異常を訴え、微熱と咳が出て、私が罹った翌日に、彼女も陽性だと判明した。
睿佳は喉が痛いので、口数が少なくなっただけでなく、食欲も減った。もし食べられないと、体を治すのに必要な栄養とエネルギーを得られないことを私はよく知っている。そこで、「正しいものを食べる、栄養のあるものを食べる」前に、先ず子供が確実に「食べられるようにすること」にした。
ウイルスに感染している間は、充分なエネルギーを摂取する必要がある。食べた蛋白質は新細胞を作る主な原料になるのであり、エネルギーを生む燃料になるのではない。体が差し迫ったエネルギーを必要としている時に、摂取量が足りないと、体は筋タンパク質を分解し、アミノ酸を放出してエネルギーとする。これも、病気になった時に食欲がなくて食べられないと、虚弱になって痩せる原因の一つである。体が回復する過程で、水分の補給がとても重要である他、エネルギーと蛋白質の補充も疎かにしてはいけない。
睿佳の食事を準備する時、少し変えてみた。柔らかくて呑み込みやすい食材を使った。例えば、普段の焼き干豆腐の代わりに柔らかい豆腐を使い、トマトをいんげん豆の代わりにして卵炒めを作った。また、生地が比較的粗い全麦パンをもっと呑み込みやすいようにするために、蒸してから食べさせた。
睿佳が食べられなかった時、私は、豆乳とフレッシュマッシュルーム、ひよこ豆、ごまを使って、クリーミーな洋風スープを作り、蒸しポテトやパンを組み合わせた。栄養をお腹に入れると、彼女は弱々しい表情にお茶目な目を浮かべ、「ママ、茶碗に一滴のスープも残らないよう舐めてもいい?」と言って、言葉で私に報いた。
その他、私も元々はおやつで食べていたカシューナッツに水と椎茸、人参、コーンを混ぜてスープを作ることで、睿佳にカシューナッツを食べさせた。睿佳が、食事が喉を通らなかった日々、私はおやつを増やして、少量多食方式で対処した。
体力が徐々に回復する段階では、多くのシンガポール人はココナッツウォーターを飲んで体の熱を下げている。私は、子供には多種類のビタミンとミネラルに富んだ野菜や果物を食べさせたいと思っているので、毎食欠かさない。柔らかいイチゴ、キウイ等は細かく切って、ヨーグルトと混ぜている。野菜や果物と全粒穀物の食べ物の中に含まれる微量の栄養素は、免疫系統の機能を維持するのにとても重要である。
陽性が判明したあの日、私は喉に異常を感じると、直ちに一般内科に行った。その時はオミクロン変異株が蔓延していた時期で、クリニックは診察を待つ患者でいっぱいだった。私の番になると、お医者さんは疲れた様子だったが、診察の時にはN95マスクの下に笑顔が見て取れた。お医者さんは、どこが悪いですかと私に聞いたが、「絶えず変異するウイルスと二年間付き合って来て、大変ですね」と私は先ず、お医者さんを労った。そして、お医者さんの短い経験談を聞いてから、私は喉が乾燥して困っていると話した。
待ち時間は短いとは言えなかったが、医師や看護師との短いやり取りが充実感を与えてくれた。病気になった体がプロのケアを受けると同時に、世話してくれたお医者さんと看護師の心を思いやることも忘れなかった。この双方の心の交流は治療よりもっと、体と心を癒すことができるように感じられた。
ちなみに、私の家族は自宅療養中に、親しい友人たちのリレー式のサポートを受けた。皆、食べ物と生活用品を家のドア口まで届けてくれ、時にはドア越しに労りと関心の言葉を掛けてくれた。隔離されていても、私たちの体はいっぱいの幸福と愛の中に浸っているようだった。これらの「情」は完全に私の心の中に残っている。その愛は、私の心から再び、次に助けを必要とする人に伝えられていくのだ。
(慈済月刊六六七期より)