免疫力を上げる 栄養士のレシピ

腸内環境のアンバランスは、新型コロナウイルスに感染した後の「症状の重さ」及び「炎症反応」と大きく関係してくる。胃腸の健康を保つためには、全植物飲食から始めると良い。正しい食物を食べ、ライフス夕イルを見直してこそ、長く続くのである。

病気が治ってから、ゴマ油で調理したものや栄養補給ス―プなどで体に営養を付けようとする人は少なくない。花蓮慈済病院栄養士の蘇真瑩(スー・ジェンイン)さんは、このように注意を促す。昔の人は、大病をした後は体に営養をつけるようにと強調するが、往々にして蛋白質と脂質だけを補充し、時には栄養を摂りすぎて、漢方で言う「熱証」の状態になっていることに気づかない上に、栄養バランスも崩れている。それ故、補充する時は同時に、野菜や果物を摂取することがより大切であり、それらは不可欠な栄養なのだ。

血糖値が高く、糖尿病を罹っている人が、新型コロナに感染して回復した場合、蘇さんは、療養中は全植物性菜食にするのがベストで、油を使わない料理、または少量の良質な油を使い、減糖質減塩にして繊維質を多く摂取することなども肝心である、と言う。

香港中文大学医学院が二〇二二年初めに医学雑誌『Gut』に掲載した研究報告によると、七十五%を超える感染者は、回復してから六カ月以内に少なくとも一種類の症状を訴えている。よく見られるのが疲労感、記憶力の衰退、焦燥感、睡眠障害などである。今回の研究では、腸内環境のバランスが崩れていることと感染後の「症状の重さ」及び「炎症反応」とは、深く関わっていることが分かった。

腸は人体の中で最も大きい免疫器官であり、体の七割以上の免疫細胞を持っている。腸内フローラのバランスを保つには、正しい食物を摂取することが重要である。蘇さんの説明によると、胃腸の健康を保つには、「全植物性菜食」を第一歩にすべきである。菜食に慣れていない人は、「地中海食」から始めるのも良く、できる限り肉を少なめにして、野菜を多く摂り、オリ―ブ油や亜麻仁油などの良質な油を使うことである。豊富な食物繊維が腸内フローラのバランスを改善してくれ、外部からのウイルスに扺抗することができるようになる。

回復後の生活は改めて出直す必要があるが、正に体質を整えるチャンスである。蘇さんは、「健康な『腸』で長く生きる」という健康と養生に関する九カ条を設計した。それによって、回復した患者が自分で点検し、よい習慣を保ち続けることができるのである。

「健康な『腸』で長く生きる」九カ条。

あなたは今日、いくつまでできただろう。

1・飲食はバランスよく摂ること

毎食十分なカロリ―を摂取し、バランスの良い食事を摂ること。

摂取カロリ―が足りないと、体が必要とする基礎栄養摂取量を満たすことができず、更なる体調の回復は期待できない。

2・お腹が空けば、まじめに食べる

三食は一定かつ適量を摂り、長時間空腹で飢餓状態にしてはいけない。

他に、加工食品を減らし、「ホールフード」を主体にする。

3・毎日30分間運動する

例えば、ウォーキングやサイクリング、体のコアマッスルと肺活量を鍜えることで、筋力と筋持久力及び心肺機能の回復を目指す。

4・健康的な一食の四分割法

毎食の健康的な四分割法:一食の中の4分の2を野菜と果物にする。野菜は果物より多い方が良い。4分の1は全粒穀物や根菜類、残りの4分の1を植物性蛋白質にする。

5・蛋白質を充分に摂る

体重50キロの成人を例にとれば、1日に必要な蛋白質の量は6〜8回分である。植物性蛋白質を含む食品で代表的なものは豆類であり、干豆腐や湯葉50グラムを一回分、木棉豆腐は80グラム、煮大豆及び枝豆は50グラム、豆乳なら190グラムを1回分としている。五穀類では、ご飯1杯で蛋白質1回分である。

6・六大栄養素

糖質、脂質、蛋白質、ミネラル、ビタミン及び水の中で、特にビタミンA、C、Eには抗酸化作用があり、体の免疫システムを整えるのに役立つ。

7・七色のフィトケミカル

「フィトケミカル」とは、植物由来の天然の栄養素で、異なる色の植物食材には異なった機能を持った「フィトケミカル」が含まれている。七色(赤、橙、黄、緑、紫、黒、白)の食物全てにフィトケミカルが含まれている。毎日7種類の色の植物性食材を摂れば、天然の多様なフィトケミカルを補充し、体の炎症反応を抑えることができる。

8.必要な水分は八杯

一日に人体に必要な水分の量を摂取すること。痰の排出に役立つばかりでなく、排泄にもとても有効。一日の水の摂取量の計算方式は、体重×30ccである。少量をこまめに飲む。平均的な量として、普通の生活状況下であれば、2時間に一回250ccの水分を目安に摂れば良い。

9.お酒を飲まない

アルコールは体の免疫システムを破壊するため、新型コロナウイルス感染症との戦いでは、抵抗力が弱まる。

(慈済月刊六六八期より)

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