慈済のウクライナ避難民支援の動き

避難民の現状

◎2022年2月24日、ロシアとウクライナの戦争が始まり、ウクライナで100万人規模の避難民の流れが発生した。6月15日時点での国連の統計によると、国外に逃れた人の人数は500万人を超えた。

◎ウクライナ政府は18歳から60歳の男性に出国禁止令を出したため、国外に避難したのは主に高齢者や女性、子どもといった立場の弱い人々である。大半は東ヨーロッパの近隣諸国に留まっており、中でもポーランドが一番多く、一時は400万人近くに上った。

◎他に、240万人がハンガリー、ルーマニア、モルドバ、スロバキアの4つの国に入国した。

◎ウクライナ西部は戦火による脅威が比較的弱まり、国外へ逃れた人々が、4月から5月にかけて祖国に戻り始めた。しかし、ロシアと国境を接するウクライナ東部はいまだに激戦が続いており、戦火の中で多くの家屋やインフラが破壊され、生活物資が不足しているため、今なお国際社会の持続的な支援を必要としている。

慈済の支援

◎3月にポーランドで初めて物資の配付を行った。

◎4月と5月には、引き続きポーランドの4都市で物資の配付や機関への物資の支援を行い、プリペイドカードとエコ毛布を贈った。

◎国際的な慈善団体との協力により、支援範囲が広がった。5月下旬にはイスラエルの国際的人道支援団体イスラエイド(IsraAID)の付き添いにより、ルーマニアとモルドバで調査を行った。

◎延べ配付回数:190回。

◎配付対象者延べ人数:延べ52、354人(物資の配付、団体への寄贈)

◎協力パートナー:ポーランド、ルーマニア、モルドバにおいて、カミロ修道会、国連児童基金(ユニセフ)、クラクフ赤十字社、カリタスインターナショナル、ポーランド女性基金会、エアリンク等11の国際または現地の慈善組織と協力し、奉仕拠点は27カ所以上に上る。

◎今後の予定:6月、7月も継続して物資の配付を行い、児童教育と女性の安全、難民医療などの支援を行う。
(2022年6月15日現在の統計)

🔸プリペイドカード

慈済はポーランドのスーパーマーケットチェーンと協力し、1枚につき2000ズウォティ(約5万8千円)が入金されたプリペイドカードを使って、スーパーで必要な物資が購入できるようにした。既に22、267枚が寄贈された。

🔸エコ毛布

リサイクルされたペットボトルから作られ、軽くて暖かい。ポーランドのワルシャワ、ルブリン、ポズナン等は今年5月でもまだ摂氏10度前後であった。エコ毛布は適時に防寒用として提供され、既に23、711枚が寄贈された。

私を忘れないで

ロシア・ウクライナ戦争の勃発から既に六カ月以上が経過した。ウクライナ人は高齢者や女性、子どもたちが主体となって近隣諸国へ逃れたが、中でもポーランドが受け入れた人数が一番多い。三月以降、慈済ボランティアはポーランドの四都市において国際及び地元慈善団体と協力し、継続的に物資の配付を行った。五月下旬、ポーランドから国際スピード郵便で手書きの手紙が台湾花蓮の静思精舎に届いた。

親愛なる證厳法師と慈済の方々へ

ここに感謝の意を表す手紙を送ります。文章中の一字一句、全てに私たちの心からの感謝の気持ちを込めました。

海外に行きついたウクライナ人家庭、子どもたち、そして困っている人を支援し、心に落ち着きを与えてくれた慈済に感謝いたします。慈済の、無私の慈善行為と手を差し伸べてくれたボランティアの皆さんに感謝いたします。私たちは、慈済のボランティアの皆さんが行う全ての活動において、自分たちを尊重してくれていると感じました。ですから私もここで慈済への敬意を表したいのです。

慈済の方々が私たち(ウクライナ人及び働くことで支援を受けた者)を信頼してくれたこと、そして慈済の方々の積極的な支援により、もともと物資が不足していたウクライナ人が、より多くのものを得ることができました。慈済が与えてくれた感謝や尊重、愛によって、過去に助けられた人が、今後同じように社会に還元することでしょう。

感謝の言葉は何度表しても尽きません。今後もし慈済が必要とした時は、私がいることを忘れないでください――タチアナ・アンナ、それから助けられた多くのウクライナ人も共に慈済や他の人々を支援します。
―ポーランドに滞在しているウクライナ人 タチアナ・アンナ

(慈済月刊六六八期より)

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