【環境ボランティアとリサイクルの歩み】 簡単に見えて、その実簡単ではない

陳金海

新北市蘆州区
型枠製造業、現在フルタイムボランティア
環境ボランティア歴・30年

長年にわたって、陳金海(チェン・ジンハイ)さんは台湾北部環境保全志業の企画と推進及びリサイクルステーションの設立と運営を指導してきました。どんなに煩雑な仕事があっても、毎週木曜日の夜は自宅付近の蘆洲環境保全教育センターに行き、野球の内野手のように必要なポジションに着いたり、箒と塵取りを持って掃除します。「第一線に投入するのは意義深いものです」。

リサイクル活動と言えば、「最初は板橋や中和、永和地区のボランティアに学び、一九九二年にやっと妹の陳月美(チェン・ユエメイ)さんやボランティアたちと一緒に、実家の傍に資源回収拠点を設置しました。しかし、当時はゴミの分別や資源回収の観念はまだ普及しておらず、近所の人は慈済の資源回収拠点をゴミ捨て場と勘違いし、様々な物を捨てに来ました」と陳さんが言うと、「もっとひどいのは使用済みの赤ちゃんのオムツまであったのよ」と妹さんが苦笑しました。

時々、「意外な物」を受け取っても、彼は諦めることなく、精一杯人々を誘い、さらに多くの資源回収拠点を設置しました。慈済が先頭に立ち、政府の呼びかけと共に環境保全と資源回収の観念は日増しに行き渡り、以前のように資源よりもゴミの方が多い、と状況は次第にいい方向に改善されていきました。

現在の盧洲環境保全教育センターに入ると、一台一台と運び込まれる資源ごみは手早く分別され、焼却炉行きのゴミは実に少なくなっています。ボランティアたちは手間のかかるプラスチックの回収でも想像以上の成果を上げています。「世界でも私たち、慈済のように細かく分別しているところはありません。この人口が僅か二十万の蘆洲で、回収するビニール袋だけでも毎月十トン近くになるのです」と陳さんは概ねの数字を表しました。

他人にできなかった事ができたのは、慈済が重きをおいているのは回収物が幾らで売れるかではなく、その行動が大地や自分にどれだけ有益か、だからです。リサイクルに投入して三十年、彼は多くのボランティアが変わり、菩薩道の修行法門である「六波羅蜜」を体験し、リサイクルセンターでも学ぶことができることを目にしてきました。

「先ずは『布施』で、あなたが慈済委員或いは栄誉董事であっても、環境保全をするには時間を布施しなければなりません。それも長期的なものです」。彼は続けて、タバコや酒を嗜んだり、博打する習慣のある人でも、リサイクルセンターに来れば、ボランティアの付き添いと励ましの下に習気を改めるようになり、これこそが「持戒」を成し遂げたことなのです。ボランティアは時には汚臭を放つゴミを受け取り、修行の意味をよく理解していない人に笑われることもありますが、その時は「忍辱」が必要となり、軽くその人たちに正しい観念を教えるのです。

環境保全に三十年も投入するには、「精進」という信念がなければ達成することはできません。また、ボランティアが回収を行う時、心を静かに落ち着かせることが、生活の中で「禪定(ぜんじょう)」を修めることなのです。「『智慧』のある人は社会にとって有意義なことを選択して行動します。ですから環境保全は簡単そうに見えて、その実『六波羅蜜を同時に修行する』ことなのです」。


(慈済月刊六四五期より)

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