宗教によって呼び方は違っても、向かう方向は同じです。それは真心から出る無私の大愛です。
法脈の精神 徹底して奉仕する
慈済の国連関係専属チームの報告を聞いた後、上人は「国連が慈済の慈善活動と仏教精神による静思法脈を起源にした精神理念に注目するようになりました。多数の若い菩薩たちに感謝します。慈済の大愛は宗教に関係なく、あまねく行き渡っていますが、静思法脈の精神的根源がなければ、これほど徹底した奉仕をすることはできません」と開示しました。
上人は「正信の宗教は全て、無私の愛を説いています。それぞれ呼び方が異なるだけで、その向かっている方向は実は皆、同じなのです。どの宗教も目標は愛にたどり着くことであり、人同士の心が一つになれば、これ以上対立したり、争ったりすることはなくなります」と言いました。
「新型コロナウイルスによる感染症は国際間の交通を乱し、多くの活動が停止に追い込まれました。俗に「顔を合わせれば打ち解ける」と言いますが、感染の拡大を防ぐために、多くの国では都市や国境を封鎖しました。会って交流することはできなくなっても、幸いにインターネットを通じて感情を交流させることができます。国連の多くの活動はネットを通じて行われ、人道団体も国を超えて手を携えています。ウェブ会議は一時的なものであっても、私たちは末長くこの世の苦難のために奉仕し続けなければなりません」。
「今回の感染症で多くの人が失業し、苦境に追い込まれています。インドネシアやフィリピンのような国の貧困者は失業でさらに困窮しています。ですから私たちは心して協力し合うべきです。国連の会議の場でだけ手を携えるのではなく、普段から『心』を携えるべきです」。
「人類は、互いに心を合わせ、愛し合い助け合うだけでなく、動物も大自然も愛護しなければいけません。先ほどアメリカの曽慈慧(ツン・ツーフェイ)師姐(スージエ)から聞きましたが、異なった宗教関係者が皆、菜食し、それを推し広めることに賛同しているということで、もし宗教の力により更に多くの人を菜食に導くことができるなら、それは行動で生命の尊重と愛護を表しているのです」。
「人類が肉さえ食べなければ、これほど多くの動物が殺されることはなく、また、利益を得るために大量の動物を飼育して大地と大気を汚染することはなくなります。ですから大自然の平安とあらゆる生物が平穏に地球上で共存するために、心して呼びかけ、人々が菜食するよう導きましょう。皆が一緒に、知識を智慧に変え、地球と人類のために世界の人々が仏法の智慧を理解し、一緒に地球と人類を愛護するよう国連で声を大にして訴えるのです」。
台湾から贈られた米が全て9月初めにシエラレオネ共和国に到着したので、慈済の協力団体は、直ちにイボラ出血熱の生存者に配付した。感染症から5年が経っても、慈済が彼らのことを忘れていないことに皆、心から感謝した。(提供・慈済アメリカ総支部)
慈済基金会はカリタス基金会、ヒーリー基金会、ランイ基金会などの人道組織と協力して西アフリカのシエラレオネ共和国を支援し、貧困者に物資の配付を続けてきた。新型コロナウイルス感染症が発生した後も感染予防物資を配付するかたわら、神父やシスター、基金会のスタッフが人々に感染予防方法を教えています。八月には台湾から贈られた五穀パウダー四千四百六十キロが配付され、その容器は水桶として住民が手を洗う時に使われています。
ネットを通じて、ピーター神父とジョージ神父、そしてシスター会の代表者が、支援を受けたシエラレオネ共和国の住民に代わって上人にお礼を言いました。長期支援を受けている団体の子供たちも、綺麗な歌声で感謝の意を表しました。上人は「とても感動しました!私たちは宗教が異なっていても皆、真心から出た無私の大愛を持っているため、支援を必要としている皆さんに奉仕することができました。この天真爛漫な子供たちは、苦難の土地に生まれましたが、愛さえあれば、愛の教育の下に平穏に成長することができ、違った人生を歩むことで苦しみが消え、貧困から脱することができるのです。将来、やはり愛で以て奉仕し、意志の力で困難を乗り越え、社会を豊かにしていくでしょう」。
上人は、長期にわたってシエラレオネ共和国で貧困者や病人のケアをしてきた神父とシスター、基金会のスタッフを賞賛し、そして彼らに感謝しました。彼らは苦難にある人を助ける菩薩や天使であり、これからも互いに協力して、子供たちの未来に無限の希望と光明をもたらしていくことでしょう。
(慈済月刊六四七期より)