微光の力 二〇二二年慈済慈善活動の足跡

一日五十銭を貯金して寄付するという「竹筒歳月」に始まった慈済は、五十七年間をかけて「四大志業、八大法印」の志業を切り開いて来た。六十余りの国と地域に滞在する慈済ボランティアが愛の道を切り開いた国と地域は、百二十八に上る。

疫病や戰爭、気候変動等、今の世の中は様々な問題を抱えている。自分の力が微々たるものと軽んじてはいけない。群れを成して集まれば、小さな蟻でも須弥山を越えることができる。蛍ならば濁世の中で光って闇夜を照らし、人の行く手を導いてくれる。

戦争、コロナ、気候変動─2022年に直面した重大挑戦

1月
新型コロナウィルス感染症が記録的に拡大

◎感染者数が世界で3億人を突破し、34カ国の1週間の新規感染者が過去最多を記録した。2年間のコロナ禍によるインパクトは、経済的な損失だけでなく、世界の9割の学生が正常に登校することができなくなり、1億人以上が極貧の生活に陥り、世界の永続発展を目指した多くの項目で進度が遅れた。

2月
ロシアとウクナイナの戰爭が勃発

◎24日  ロシア軍がウクナイナに侵攻し、瞬く間に、第二次世界大戦以来のヨーロッパ最大規模の戦争に発展した。ウクナイナの女性や子供、高齢者たちはヨーロッパ各国に逃れ、21世紀始まって以来世界最大級の難民危機となった。

◎28日  国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が行った最新の気候に関する報告によると、人類の活動で引き起こされた気候変動現象は、既に世界各地に不可逆的な環境危機をもたらし、多くの種の生存に危害が及んでいる。人が住んでいる場所はどこも、温暖化と極端な気候による衝撃から逃れることはできない。世界人口の半分近くを占める33億から36億人は、極端に気候の影響を受ける地域で暮らしている。

3月
世界人道組織が難民支援

◎5日  慈済はウクナイナ難民が最も多いポーランドで、人道支援活動を開始し、ポズナン市で初めて配付活動を行った。

4月
南アフリカで豪雨、土砂災害が発生

◎中旬、ダーバン地域は記録的な豪雨に見舞われ、当国ではこの60年間で最も深刻な土砂災害が発生し、4百人以上が死亡した。現地の慈済ボランティアは迅速に食糧と毛布を被災地に届け、コミュニティーの支援拠点と協力して、温かい食事を提供した

◎4月より、慈済は順次、ポーランド国内の5カ所で、ウクライナ難民の支援活動を展開した。8月末には緊急支援段階が終了し、11月までに延べ8万人以上を支援した。慈済は更に11の国際NGO団体と協力して、5カ国に分布している難民センターや支援拠点で寄り添い、受け入れ、生活物資の配付、施療などの奉仕に力を注いだ。

5月
台湾でコロナ感染者数がピークに達した

◎新型コロナの変異株であるオミクロン株の市中感染が1月に発見され、4月下旬から感染が急速に拡大し、5月20日には一日で感染者数が9万人を突破した。台湾全域で在宅ケアと隔離者が急増し、隔離病棟と抗原検査キットが一時、逼迫した。

◎17日  インド‧ニューデリー市で摂氏49度の高温が観測され、インドとパキスタンは、3月から稀に見る熱波に襲われ、農作物に損害が出ると共に百万人が生命の危機に瀕した。

6月
パキスタンで世紀の大洪水発生

◎パキスタンでは中旬からモンスーンによる甚大な洪水に見舞われ、国土の3分の1が水没して、累計1’739人が死亡し、3千3百万人余りが影響を受け、50万人以上が家を失った。国連事務総長のグテーレス氏は気候による大虐殺と形容し、「人類は自然に対して宣戦布告したが、今正に自然が反撃をしている」と述べた。

◎慈済はパキスタン洪水被災地に医薬品の支援を行うと共に、5つの国際NGOと協力して、10月下旬から3万世帯に生活用品食糧品バッグ、2千6百枚以上のエコ毛布、9千人分の衛生用品バッグを配付する予定である。

7月
百年来の熱波と旱魃

◎連続数週間にわたる高温と晴天で、ヨーロッパ大陸は5百年来最悪の干ばつに見舞われ、ライン川などの大河では、水位が下がって船の航行ができなくなった。雨が降らずに熱波が続き、アメリカ、アジア、中東などの河川も枯渇して内陸への航行、発電及び農作物に大きな影響が出た。中国大陸も2カ月以上高温が続き、長江流域は1961年以来の深刻な干ばつに見舞われた。

8月
ヨーロッパのエネルギー危機

◎ロシア‧ウクナイナ戰爭が勃発すると、多くの国がロシアに対して経済貿易やエネルギー制裁を実施し、ロシアもヨーロッパ諸国への天然ガスの供給を停止したので、ヨーロッパではエネルギー危機が発生した。ドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、オランダは、石炭火力発電所を再開することを発表した。ドイツは2030年末までに八割の発電を再生可能エネルギーに依存すると公約していたが、温室効果ガスの排出増加で、目標実現が困難になっている。

◎ブラジル・アマゾンの熱帯雨林で8月に3万件の火災が発生し、過去12年で最悪となっている。今年上半期だけで約3’988平方キロの森林が失われ、ブラジルが2016年に資料の収集を始めて以来の記録となった。

◎アフリカ中部と西部は雨季の激しい雨で、17カ国約73万人が影響を受けた。シエラレオネ共和国で16日、深刻な水害が発生した。慈済は首都フリータウンの3つのスラム街で、延べ1万4千食の温かい食事を提供し、さらに10月下旬には食糧パックと乳児用品を配付した。

9月
台湾池上地震

◎18日  台東県池上郷でマグニチュード6・8の表層地震が発生し、一人が死亡、146人が負傷した。慈済基金会は花東地域で、大規模な家屋の修繕を始めた。台湾各地からの専業ボランティアが被災地に駐留して、突貫工事を行い、11月中旬の統計で163戸が完成した。

◎19日から25日  「ニューヨーク・クライメートウィーク(気候週間)」が開催された時、慈済は30のNGOを招き、80人以上の専門家や学者が、「全面的に気候変動に対処するサミット」というシンポジウムを開き、活動について協議した。

◎29日  カテゴリー4のハリケーン・イアンが、アメリカフロリダ州に3回上陸し、豪雨と強風で深刻な洪水を引き起こした。2百万戸が停電し、8万戸の家屋が損傷した。慈済は10月10日にフロリダ州リーカウンティの災害復旧センターに支援拠点を設置し、移住農業従事者や低所得移民世帯に緊急慰問金を配付した。

10月
オミクロン株の亜種が出現

26カ国で発見されたオミクロン株の亜種は、免疫抗体から逃れる高度な能力を具えている。世界保健機関(WHO)によると、たとえ、ある程度防疫方面で進歩があっても、新型コロナウィルス感染症は依然として、全世界の公衆衛生における緊急事態であり、警戒の度合いを下げるのは時期尚早と言える。

11月
国連気候変動会議

◎6日から18日まで COP27がエジプトで開催され、慈済のチームも参加した。極端な気候は世界各地で益々大きな災害をもたらしており、世界の気温の上昇を摂氏1・5度に抑えることが、今回の会議の重点中の重点となった。気候の影響を軽減するためには、各国が対応策を提出しなければならない。今までアフリカ諸国や他の開発途上国はCO2の排出量が少なかったにも関わらず、今では気候危機の第一線に立たされており、その「ロス&ダメージ」について初めて議論がなされた。

(參考資料の出所‥中央社、慈済基金会、ウィキペディア、グリーンピース)
    キーワード :