理想的な仕事

方向と志が同じ人と一緒にするのが、
理想的な仕事です。

自分で自分を傷つけてはいけない

二月一日、アメリカ総支部の唐朝(タン・チャオ)師兄(シーシオン)と張天駿(ジャン・ティエンジュン)弁護士及び王翰馳(ワン・ハンチー)師兄は、支部の主な活動を上人に報告しました。法師は唐師兄に対して、「志と願を持っているのであれば、その志を貫くべきです」と励ましました。志業を推進する職員であっても、志を持って、職業と志を重ね合わせ、真心から奉仕すべきです。

「人生に方向がなければ、たとえどこに居ようとも、浮き草のように定まることができないものです。この世に生を授かったからには、生活のために何かの仕事に就かなければなりません。慈済では、自分の生活のために働くだけでなく、世の中のために奉仕することを最も大事にしています。災害が起きた時、なぜ私たちは直ちに駆けつけて支援するのでしょうか。それは被災者たちの生命を守り、生活の苦境を解決してあげなければならないからです。これらは全て慈善活動でできることですが、慈善活動もこのような目標を持って行っているのです」。

上人は、理想的な仕事とは、自分の志に合った仕事を見つけ、同じ道を進む人と共にすることだと述べました。慈済には同じ志の人が多くいて、大勢の人が同じ方向に投入しているため、成そうとすることを簡単に推進できるのです。「どんなに才能のある人でも、一人だけでは力を発揮することができません。志を同じくする大勢の人たちと一緒に、進む方向さえ正しければ、たとえ一個人の力が微々たるものであっても、皆が力を寄せ合って物事を前進させることができるのです。例えば、慈済の始まりが、一人毎日五十銭を貯金することからであったように、参加する人が増えるにつれ、力も大きくなりました。今では、慈善支援の活動をする時、いつも大きな力が集まり、数多くの苦しんでいる人たちを助けています」。

上人は、アメリカの若い師兄たちは才能があって、見解も正しいことを賞賛しました。精神理念を合わせ持てば、法縁者たちと一緒に明確な方向に向かって志業を発展させることができるでしょう、と言いました。「若い人は、何かしようと思った時、人間(じんかん)を利することをすべきです。あなたたちは愛を携え、皆と志が同じだと感じて慈済を選んだからには、そこに落ち着くべきです。実際、どこで働いても、人間関係や物事の悩みは避けられず、慈済の団体の中でさえ、考え方の異なる人がいます。しかし、為す事は同じで、方向も正しいのです。ただお互いの考え方や見方が違うだけなのです」。

「自分の考えと異なる言葉を聞いた時、誰それの言葉は私たちの自尊心を傷つけたと感じます。話し手に悪意はなかったのかも知れませんが、聞いた人はそれを心に留めたため、逆に自分で自分を傷つけているのです。ですから、修養を高めるには、心を広く持たなければなりません。志を守って正道を歩み、あれこれ考え過ぎて疑心暗鬼にさえならなければ、私たちは志業を守ることができ、人生の目標を達成できるのです」。また上人は、「人は誰でも凡夫の境地から菩薩道を歩み始めるのであり、その途中で接する境地によって心の起伏が起きるのは、やむを得ません。自分に警鐘を鳴らし、少しでも心が揺らいだ時は、一刻も早く初心に戻り、心を落ち着かせ、一歩一歩正しい方向に向かって歩むようにするのです」と言いました。

アメリカや世界にとって、慈済は小さな団体に過ぎませんが、上人は、皆さんにはこの小さな団体の影響力を軽く見ないでほしい、と言いました。一人ひとりがこの団体の中で、「自分がいなければ」、「人間のために善行しているのだから、自分がいなければならない」という責任感を持ってこそ、この善行をする団体が動かぬものとなります。代々伝承させて行くことができれば、社会に福がもたらされます。「慈済の仕事は、善良な人や、心に愛を携えた人に最適です。というのも、それは一本の菩薩道だからです。人として生まれることは容易いことではない上に、菩薩道を歩むことができるのは、過去生で修めてきた福があるからです。それにこんなにも志を一つにした多くの人がここにいるのですから、一層信心を堅くし、志を守って正道を歩むべきです」。

科学的な数値が食習慣を変える

二月八日、上人は教育志業体の幹部たちの報告を聞いて、こう言いました。

「四大志業は結合しなければなりません。愛の教育は即ち慈善教育であり、貧しい人の病を慈善救済するには医療が欠かせません。そして、教育志業は元々医療における理想的な人材を育むために始めたものです。今、四大志業全てに慈済の学校で育まれた人材がいますが、皆慈済の人文精神に富んでいるので、各方面から賞賛されています。慈済が育んだ人材を招き入れようとしている団体も増えています」。

上人は、それぞれの学校が心して菜食に関して研究し、科学的な数値を使って、大衆に菜食を勧めるよう促しました。「大いなる教育の中では食が大きな部分を占めています」。一人ひとりが考え方を変えるよう教育しなければなりません。菜食する人が多ければ多いほど、殺生が減り、心身にも地球の生態にも良い影響をもたらします。「教育は希望をもたらすプロジェクトであり、きちんと教育しなければ、人生に希望はありません。あなたたちには子や孫がおり、私たちも再び人間(じんかん)に戻って来ます。従って、努力して人間(じんかん)に希望をもたらすのです」。

(慈済月刊六七七期より)

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