もし家族の中で自分一人だけ菜食者だったら

菜食をすると決めてからは、家族に迷惑をかけないように、自炊を始めた。最初は満腹になることだけ考えていたが、より健康的な食事を心がけてからは、体調が良くなり体が軽くなった。この変化で、自分なりに達成感を味わっている。

彰化の志玄学習センターはネットで、「菜食が我が家にやって来た」というライブ動画を発信している。ボランティアは全植物性飲食の概念と簡単な料理を分かち合っている。皆が家で、カロリーではなく、ヘルシーに食べてもらうのが目的である。(撮影・林琬育)

菜食すると決心した時、「菜食なんて煩わしい」と家族に言われないように、自分で食事を作ることを学び始めた。

ベジタリアンのサラリーマンにとって、時間を節約するためには三食外食するのが一番便利である。だから私の朝食は普通、パンと茹で卵とブラックコーヒー、それに果物だった。昼食は会社で市販の弁当を注文してくれるが、口に合わない物の方が多かった。そこで弁当がゴミにならないように、持参するようになった。

先ず、大愛テレビの精進料理番組でクッキングを習ったが、手のこんだ食材に出会うと、お手上げだった。なにしろ、家族の中で私が唯一の菜食者であり、食材を買う時の量をコントロールするのが難しいのだ。うっかり買いすぎたり、上手く保存しないと、賞味期限が切れて捨てなければならなくなり、却って浪費になってしまう。そのため、餃子やビーガンそぼろなどの冷凍食品を使うようになり、おかげで支度する時間が短縮した。

仕事を終えた後の夕食は、私にとって一日の中で最も大切な食事であり、ベジタリアンレストランで好きな食べ物を思う存分選んで楽しんだ。

「わあ、いい匂い!」と言って、揚げ立てのヒラタケを皿にのせた。

「師姐(スージェ)、揚げ物は食べない方がいいですよ」とよく出会う師姐がそっと耳元でささやき、食事についていくつかの心得を教えてくれた。

「師姐、私たちは『全植物性飲食』のヘルシー弁当にしました。とても美味しいですよ!」。
この頃私は体重が六十五キロにもなっており、以前の健康診断報告書と比べると、年々増加していた。食事の量を減らして、早朝に学校の校庭でジョギングもしているのに、体重は逆に増え続けている。悩んでいたところ、師姐から「全植物性飲食」活動に参加した体験談を聞いて、こんな奇跡的なこともあるんだ、と興味を持ち、食べてみたくなった。

負担のない食事

私は美味しいものを食べるのが好きで、友だちと美味しいものを見つけるのが好きだった。台北から彰化に戻り、肉食をやめよう思うようになった。やがて慈済と出会って活動に参加するようになり、自分が仏教団体に所属しているなら、菜食するべきだと思い、その時から菜食生活が始まった。

師姐が勧めてくれたヘルシー弁当についてはまだ、十分に理解していなかったが、私は行き当たりばったりに「健康チャレンジ21」活動に申し込んだ。二十一日間のヘルシー飲食生活が始まり、運営チームが昼食と夕食を提供してくれた。オンラインによるブリーフィングで、栄養士と医師の指導の下に、全植物性飲食を理解し、朝食の用意の仕方を学んだ。

「えっ、天然食材だけを食べるの?」朝食にはパン類を食べてはいけないことを意味しており、朝食に何を食べたらいいのか?そして、毎食の果物は拳一個分しか食べてはいけない。そうすれば、うちの冷蔵庫に買っておいたパンと冷凍餃子は全部NG品になってしまう!

活動の前日、私は茹でトウモロコシ、湯葉、豆乳とブラックコーヒーを朝食にしようと用意し、写真を撮って主催チームに提出した。これなら合格できると思っていたが、思いも寄らず、チームリーダーの師姐は自分の朝食の写真を見せて、「頑張ってくださいね!」とメッセージを添えて返信してきたのだ。

そこで、元々、家にストックしてあった小豆、緑豆、黒目豆、キヌアが役に立った。豆類を長時間水に漬けてから電気釜や鍋で調理すれば、出来上がりである。そして、豆類を発芽させることができれば、栄養素が増すだけでなく、お腹にガスがたまりにくくなるのである。

煮豆を幾つもの容器に入れて冷凍庫に保存し、食べる前に冷蔵室に移して解凍すればいい。そして、ジンスー豆乳パウダー、オートミールを混ぜ合わせて電気釜で加熱し、ナツメやドライベリーを加えれば、もっと風味が増す。また、サツマイモや果物で朝のエネルギーを補填すれば、腹持ちもよくなる。

昼食と夕食に食べる雑穀は、十穀米を一カップと同量の胚芽玄米を三時間ほど水に漬けてから電気釜で炊く。冷ましてから保存容器に入れて冷蔵庫で保存し、食べる時に必要な量を温めればよい。準備にあまり時間はかからないが、食材はよく洗う必要がある。

また、たんぱく質源として湯葉やスーパーフードのテンペなどの大豆製品を冷蔵庫に常備している。

野菜や果物は旬のものを選べばよい。他に干し椎茸やわかめなどの食材を添えれば、プレートをレインボーのように彩ってくれる。加熱が必要な食材は全て茹で、火を止める前に味付けをするか、良質のオイルや私の大好きな松の実とナッツのスプレッドを付け加えてもよい。

準備は簡単

私は少しずつ学んで、食べ物の自然な味に、自分の舌を慣らして行った。食材を購入する前にちょっと考えながらレシピを作ったりして、絶えず自分の食習慣を修正している。

私が最も好きな時間は、日曜日の朝である。太極拳の特訓を終えて家に帰ると、ご飯と豆腐を電気釜で温めながら、シャワーを浴びてさっぱりする。その後、野菜とキノコ類をよく洗い、さっと茹でるだけで朝食が出来上がる。長い時間、蒸し暑い台所にいる必要はなく、素早く食事の用意ができるのだ。

まだまだ体重が気になる私は、体重計に乗ってみた。「うーん!進歩したようだ!」まだ自分の目標には達していないが、針は既に六十キロ近くを指しており、充実感を感じた。

菜食を決心したことは後悔していない。それは健康を維持していく方法である。今、私はどのように調理し、何を食べているかを分かち合うことが楽しい。もっと多くの人が一緒に菜食できることを期待したい。

(慈済月刊六七一期より)

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