
高校三年生になり、大学進学を考えた時、私は教師になりたいと思いました。しかし、少子化が進む現代社会では、現実的な観点から進路を再考すべきでしょうか?
答:台北慈済教師懇親会のベテラン教師である李美金(リー・メイジン)先生は、幼い頃から教師を志し、夢を叶えて四十年以上教職に就いてきました。多くの優秀な人材を育て上げただけでなく、慈済教師懇親会の模範となるような存在になりました。
「教師になりたい」と思っても、少子化の影響で教員の需要が減り、就職の道が険しいものになるかもしれません。どうすればよいのでしょう?
證厳法師は「信念・意志・勇気の三つを備えれば、世の中に成し遂げられないことはない」と語っています。「天下に難しきことなし、ただ心ある人を恐れよ」という言葉は、つまり、強い意志を持ち、心して努力すれば、どんな困難も乗り越えられ、立派な教師になれるはずだと言い表しているのです。
目標を定め、情熱を持ち続ける
最近、家の近くの学校で運動をしていた時、鉄棒にぶら下がろうとしている小柄な女の子がいました。彼女は何十回も両手を鉄棒に伸ばし、ジャンプし続けましたが、なかなか届きません。私は「諦めるのでは」と思いましたが、最後には見事に鉄棒をつかみ、ブランコのように体を揺らしていました。
彼女の満面の笑みを見た時、努力が実を結んだ満足感を味わっていたことを知りました。だからこそ、「教師になりたい」という情熱を持ち続けてください。あなたもこの少女のように、必ず目標を達成できるでしょう。
全ての道は理想に通じる
少子化の流れは避けられません。教職を目指すだけでなく、別の選択肢を考えることも重要です。私の教え子の一人も教師を目指し、長年非常勤講師を続けていましたが、正規採用にはなかなか至りませんでした。そこで、考えた末、公務員試験を受けることを決意し、一年間しっかりと勉強した結果、見事に合格しました。また、自宅近くの職場に配属されたことで、安定した生活を送りながら家庭も大切にできるようになったのです。
理想を持つことは素晴らしいことですが、「全ての道はローマに通じる」とも言われます。変化の激しい時代の中で柔軟な姿勢を保つことで、荊の道を歩むことはなくなるでしょう。
失うこともあれば得ることもある
心の声に耳を傾ける
元世界NO・1のテニスプレイヤー、ロジャー・フェデラーさんは私がとても尊敬するアスリートです。彼は優雅なプレースタイル、謙虚な態度、冷静な判断力を持ち合わせているため、いつも危うい状況を脱して、テニス界の頂点に立ってきました。
最近、彼はアメリカのダートマス大学の招きに応じて、卒業式で講演しました。彼は自身のキャリアについてこう語りました。「私は千五百二十六回のシングルス試合に出場し、約八割の試合に勝ちましたが、自分で取れたポイントは五十四%でした。即ちわ半分をわずかに超える程度のポイントです」。
「人生において最も大切なのは、失ったことを悔やみ続けるのではなく、それに立ち向かって受け入れ、前進することです。努力を続け、状況に慣れ、成長することです」。
人生の道は起伏に富んでおり、時には孤独に歩まねばならないこともあります。従って、強い意志と自律心、そして忍耐力を養い、常に心の声に耳を傾け、歩調を調整しながら、自分の選択を信じ続けていけば、困難な時代でも道を切り開いていくことができるのです。
鉄棒に挑戦し続けた少女やフェデラーさんのように、決して困難に屈することなく努力を続けたことで、美しい花のように咲き誇り、甘い果実を手にすることができたのです。
(慈済月刊六九九期より)
