
張お婆さんは、股関節骨折手術の三日目からリハビリを始めた。一歩踏み出すのも容易ではなかったが、家族の愛が頑張る原動力となり、私たちに生命のたくましさを見せてくれた。
高齢がさまざまな課題をもたらすかもしれないが、決して回復の妨げになることはないのだ。
七十八歳の張お婆さんは、家で掃除していた時に滑って転び、右側の股関節を骨折してしまい、病院に搬送されて手術を受けた後、整形外科の病棟に入院した。手術して一日目、お婆さんはとても落ち込み、ベッドに座ったまま、何度も医療スタッフに「私は歩けるようになるでしょうか。これから家族に迷惑をかけるのではないかと心配なのです」と尋ねた。
おばあさんの場合、人工股関節置換手術は成功したものの、高齢なため骨格の修復力が弱く、高血圧と糖尿病などの持病があるので、術後の回復には長い時間、努力と忍耐が必要である。その後、家族の付き添いと医療スタッフのサポートの下に、驚くべき意志の強さを見せてくれた。
手術後三日目に、私たちはお婆さんに初期のリハビリを指導し始めた。最初、ベッドから起き上がって座るよう試してもらった時、彼女は苦しそうな表情を浮かべ、あらゆる動作が痛みを伴い、眉を寄せていた。
「足がとても痛くてできません。もうこんな歳ですが、ベッドから降りて歩けるようになるでしょうか」と聞いた。私たちは諦めず、彼女のために「足跡を残しながら」という計画を立てた。
第一段階は、介助有りでベッドで起き上がることと深呼吸と足の簡単な運動。第二段階は、手助けしての立ち上がりと歩行器を使って重心を安定させる練習。第三段階は、少しずつ歩き始め、毎日病室で少しでも多く歩くこと。お婆さんが初めて歩いて病室を出た時、隣の病床の人の家族と介護者が、彼女に拍手を送った。彼女は笑いながら「本当に、私はまだ歩けるのですね」と言った。
リハビリの過程では、家族の付き添いがとても大切だ。彼女の子供たちは毎日病室にお婆さんを訪ね、温かいサツマイモやじっくり煮込んだスープなど、彼女の好きな食べ物を持ってきた。それによって、お婆さんは温かい心遣いを感じただけでなく、精神的な支えにもなったのだ。
ある時、孫娘が彼女に「お祖母ちゃん、早く元気になって、一緒に公園で散歩しようね」と言った。彼女がそれを聞いて「そうだね、約束するよ」と笑いながら言った。その日から彼女はリハビリに一層積極的になり、ベッドを降りるたびに痛みで眉をひそめるが、粘り強くやりぬいた。「家族を心配させないように、早く元気に回復しなきゃ」。
一歩歩くのも容易ではなかったが、張お婆さんは、遂に歩行器を使って歩くことができるようになり、さらには、ゆっくりと手すりにつかまりながら、階段を何段か上り下りできるようになった。彼女の成果は、同室の他の患者たちにも励みになり、多くの人が彼女の進歩を見て、より前向きに治療とリハビリに協力するようになった。
歳を取って骨折すると、回復する見込みが薄いと思い込み、努力を諦めてしまう人もいる。張お婆さんは並外れた勇気と気力で痛みを克服し、楽観的な態度でもう一度立ち上がった。家族の愛が彼女の最大の原動力となり、人生への復帰という奇跡を成し遂げたのだ。
高齢であることは試練を伴うかもしれないが、決して回復の障害にはならない。整形外科病棟では、そのような事例を数多く見てきている。立ち上がれない状態から再び歩けるようになるまでサポートしていると、私たちは生命のたくましさに頭が下がる思いである。これからも愛と専門スキルで、必要とするあらゆる人を見守っていきたい。(二○二四年十二月六日、ボランティア朝会での分かち合い)
(慈済月刊六九九期より)
