無形の法理、有形の表現

「優人神鼓」の音楽総監督・黄誌群(ホワン・ジーチュン)さん(左一)は、音楽を創作し、団員を率いて、「六瑞相(六つの吉兆)」を演出した。安定感のある太鼓と銅鑼の響きは、まるで仏陀が説法を始める前の地鳴りの如く、道場を荘厳なものにした。

唐美雲さんの歌仔戯(台湾オペラ)劇団が、京崑劇団、台湾バラエティ劇団を招いて共演した。川劇の「変面(へんめん)」技法を使って、人間の「貪り、怒り、愚かさ、慢心、疑心」という五毒を表現し、ホリゾント幕に怒りを意味する炎を映し出して、五濁悪世と末法の時代を表した。

生き生きとした動き 朗唱が人の心を打つ

孫翠鳳(スン・ツイフォン)芸文スタジオは、動作でもって「三車火宅」に登場する「大白牛車」を演じ、地球温暖化で、天地が火宅のようになっているこの時に、眾生が智慧のある長者の統率の下で、直ぐにでも迷いから目覚めることを訴えた。

台湾豫劇(よげき‥中国の古典戯曲の一つ)の名優である王海玲(ワン・ハイリン)さん(右)は、娘の劉建華(リウ・ジエンホア)さん(左)や役者たちと共に、法華七譬(ほっけしちひ)の中の「長者窮子(ちょうじゃぐうじ)」を熱演した。豫劇に抑揚を持たせ、味わい深くて完璧な美しさを出すと共に、人物の情感を融合した歌声で、お釈迦様が慈父のように、眾生を憐れむ様子を表していた。

無量の慈悲心、愛で蒼生を潤す

仏陀は『法華経』を説き始める前に先ず『無量義経』を説いたが、劇ではその中の『德行品』、『說法品』、『十功德品』を演じた。菩薩が手に持った長い絹を翻す様子は、多くの微少な善の心が結集してできた大きな力を象徴し、遍く蒼生を潤す場面である。ホリゾント幕の上には五十五年前の慈済が「竹筒歳月」の習慣といって一日に五十銭を貯め、困難な中で慈善を行った映像が映し出されていた。今では慈済人がいる所には必ず「竹筒歳月」の習慣があり、小銭で大きな善行を行い、愛が地球を巡っている。

穏やかな六瑞相、敬虔な大衆

仏陀が法華経を説く前に入定して六瑞相が現れた様子。「優人神鼓」が演じた「放光瑞」は、ステ―ジのホリゾント幕に映った光線束が、本当に釈尊の眉間から放たれた光のように見え、大鼓、銅鑼の音響がかすかに低く響く中、大衆はあたかも霊鷲山に居るように感じ、敬虔且つ静かに仏陀の説法を待っていた。

譬えを引用すれば、聞き手は信じる

『法華経』には七つの譬え話がある。今回演じたのはそのうちの「三車火宅(さんしゃかたく)」、「長者窮子」、「三草二木(さんそうにもく)」、「化城宝処(けじょうほうしょ)」、「良医病子(ろういびょうし)」である。例えば大医王があらゆる草木を薬と見なすように、仏陀はあらゆる衆生を未来仏と見なした。「優人神鼓」は、優雅な神鼓の音と共に褝の趣を持った姿で「三草二木」を演じた。「仏法が雨のようにあらゆる草木を均等に潤す」とは、衆生が機根の大きさに応じて、誰もが仏法を吸収することができるという意味である。

発心立願、法華を伝承

その格別な演劇は、慈済五十五周年に披露された。四大芸文団体と六百人の慈済ボランティアが、五月五日に荘厳な祝賀会を達成させた。静思の教えを守る弟子たちは證厳法師に、身でもって仏の教えを実証し、法華精神を永遠に伝承して行くことを発願した。

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