人との接し方は誠実さが基本

問:

先生から頼まれて、それを引き受けたクラスメートが、締め切りの前日になって完成出来なくなり、急いで私に手伝いを頼んで来ました。その子は私の良い友だちですが、引き受けるべきでしょうか?

答:『論語』に曰く:「人にして信無くんば、その可なることを知らざるなり」。人は何事につけても、誠実さが基本です。

私の学生の阿誠(アツン)(仮名)は、クラスの文芸美術係ですが、教室日誌を細かいことに至るまで書くだけでなく、毎月期日通りに刊行し、クラスメートや保護者が、その月のクラスでの様々な出来事を分かるようにしました。彼は約束した事を全て実行したので、新学期が始まると、彼は高い得票率で班長に当選し、クラスを新しいマイルストーンに向かって導いていっています。

誠実に人と接すれば、相手はそれを感じ取り、誠実に応えてくれます。逆に、誠実さがなければ、寸歩も歩けません。人と約束したことは、上手く出来なくても、努力して完成しなければなりません。そうでなければ、人の信頼を失います。

信用をなくせば人心も失う

インターネットである物語を見たことがあります。ある商人が川を渡っていた時に船が転覆し、大声で助けを呼びました。「誰か助けてください、百両の銀をあげます!」。丁度一人の漁師が近くにいて、彼を岸に助け上げました。商人は落ち着くと即座に後悔し、漁師への報酬は銀十両だけにしました。

暫くして、商人が船に乗った時、船は座礁して沈沒してしまいました。漁師は、今度は急いで商人を助けに行きませんでした。他の人が、どうして助けないのかと聞くと、彼は「一回騙されただけでもたくさんなのに、まさかもう一回自ら辱められに行くとでも言うのか」と答えました。

誠実は社会で基礎を作る基本です。誠実さがなければ、人に軽蔑され、一度信用を失うと、人心を失い、後悔しても間に合いません。孔子は私たちに、「言った以上は必ず実行し、行う以上は断固としてやり通す」ことを教えました。言い出した話、約束した事は、どんなに難しくても実行しなければなりません。さもなければ、人格が失われます。

先生から頼まれた事を引き受けたクラスメートが、締め切りの前日になって完成出来なくなったから緊急に助けを求めて来た場合、私は拒否出来ると思っています。もし、いつも大目に見ていたら、次回にまた助けを求めて来るかもしれないからです。お互いに良い友だちなのですから、軽く断わり、遠回しに「今度、手伝いが必要な時は、早目に教えてくれよ」と言ってあげましょう。クラスメイトが先生の言い付けを実行できなければ、先生は自ずと対処するでしょう。

誠実はコアコンピタンス

親友を見つける道のりというのは、長くても少しずつ進んでいくものです。ですから、いつも約束を守らない人に対しては、「断捨離」するしかないと自分に言い聞かせるべきです。

「いつも自分に面倒なことを持ちかけて来る」のはもう「嫌がっている」のです。言っても耳を貸さず、考え方が合わず、会っても不愉快な人は、自然に「良い友だちリスト」から消すべきです。

学校には、不用意に承諾して実行しないことでみんなに嫌われているクラスメイトが居るものです。もし、こんな人を良い友だちに選び、忠告しても聞かない場合は、当然敬遠して良いのです。感情に左右されてはいけません。

「利用される人」になることで、友だちができるのではありません。優しい言葉で友だちを導く時、聞き入れるかどうかは相手次第です。論語に「友人に忠告し、優しく言い聞かせても改めないのであれば、やめなさい。自分を辱めてはならない」と言う言葉があります。そういうケースは、気まずい思いで別れ、そのまま終わってしまうことが予測されます。

誠実は人格の魅力であるだけでなく、それ以上に一種のコアパワーなのです。この大切な人生の宝物を持っていれば、万事順調に行き、人々はあなたを尊敬し、一生是々非々から遠ざかることができます。喜んでしない訳がどこにあるでしょうか!

(慈済月刊六九七期より)

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