編集者の言葉
二カ月前の「行脚の軌跡」の中に、環境問題に関した特集があり、證厳法師はこう開示していた。「大地は万物を生み出し、日用品の原料を製造し、人々の平穏な暮らしを支えています。人類は問題を起こしたり、破壊を生み出したりするのではなく、感謝の気持ちをもって地球環境を守らなければなりません。大地に感謝するには、物を愛し、大切にすべきで、『一目見て情が湧けば』、それを惜しむようになるのです」。
今月号の月刊誌『慈済』では二人の記者が、台北市街地にある慈済の「惜福屋」を取材した。「惜福屋」とは、リサイクルした物や人々の寄付による衣類、書物、日用品などをボランティアが整理、分類して並べた場所のことである。訪れた人は物を選んで持ち帰ることができ、NPOや恵まれない家庭に寄贈することもできる。
慈済の多くの環境保全教育センターにもこのような場所はあるが、「入荷」の予定が立たず、「出荷」も縁によるしかないため、往々にして、雑然と物が置かれた場所になってしまうことが多い。しかし、設計士の巧みな手腕と整理収納コンサルタントの指導のお陰で、慈済中山八徳惜福屋は全く新しい姿に生まれ変わった。空間が与える「親近感」が倍増し、人々の中古品利用への意欲を高め、地域における「循環型経済」の模範の場になったと言える。
日用品は、リサイクルステーションを通して再生されることで、物の寿命が延びるのである。これらの品物を整理するリサイクルボランティアは、福を惜しみながら福を修めており、奉仕する過程で自らの生命価値をも高めているのだ。
少子化と高齢化が進むにつれ、慈済ボランティアは高齢者の占める割合が非常に高く、中でもリサイクルボランティアの七割以上が六十五歳以上である。彼らは数十年一日の如く、リサイクルステーションで活動し、台湾全土に一万一千カ所以上あるリサイクルステーションや回収拠点を、コミュニティの長期ケアの場に変えた。つまり、老化や身体機能の喪失を効果的に遅らせることができる無料の長期介護が実践されていると言える。
今年、アメリカの中央情報局(CIA)が発表した二〇二四年度の世界の出生率を見ると、台湾は二百二十七の国と地域の中で最下位だった。一方、台湾の人口で高齢者の占める割合が十四%から、今年は二十%に上昇する。たったの七年間だけで、世界で最も高齢化が早くなっているのだ。超高齢社会に突入した台湾では、「少子化」と「急速な高齢化」により、長期介護の需要問題が急速に浮かび上がっている。
国連の持続可能な開発目標(SDGs)における健康増進の中心的な内容の一つは、高齢者の身体機能の喪失や認知症の発症を遅らせることにある。これは、慈済が台湾全土に設けた百二十五の地域ケア拠点で目指している方向でもある。フィジカルトレーニングや認知刺激、精神的なサポート及び環境に優しいボードゲームといった活動を通して、避けられない老化の過程をより健全なものにすることを目指している。
(慈済月刊七〇七期より)


