手がかからない子供にもご褒美を!

問:

私は頑張って勉強して、大人に心配をかけないようにしているのに、どうして親はいつも面倒ばかり起こす弟を気にかけるのでしょうか?

答:この問いに対して、心の中に幾つもの答えが浮かんだのではないでしょうか?手がかかる子供にはご褒美があり、良い子は何ももらえない。親とはえこひいきで不公平なものだ、などです。たしかに、親はより多くの時間を手がかかる子供に費やしていて、知らぬ間に良い子で、聞き分けの良い、親が望むことをする子供を忘れがちです。そして、兄弟が意見の食い違いから喧嘩して初めて気がつくのです。では一体どのようにすれば円満になるのでしょうか?

親として、よく考えてみてください:

たとえ子供であっても、自分の存在を認めてほしいと思うものです。家で特に良い子で、勉強もできて、手がかからない子供に対しても、私たちは一定の時間を設けて寄り添ってあげるべきではないでしょうか?日頃から抱きしめたり、褒めたりすることで、子供は親の愛は公平だと感じ、子供はさらに良くなろうと努力します。そうすれば、悪さをすることで親から注目され、叱られれば叱られるほど、親は自分を愛していると勘違いして結果的に自暴自棄になり、歩むべき道を外れしまう、というようなことにはなりません。

私に二人の子供を持つ友人夫婦がいます。長男は勉強や仕事において心配することはありません。次男は、長男に比べて優秀ではありませんが、とても努力家です。家族の年長者たちは特に長男を可愛がりますが、友人夫妻は、いつもわざと親戚や友人の前で、次男は思いやりがあって、向上心があり、円満に人と接することができる、と褒めることで、次男に、家は愛に満ち、自分はその一員だと感じてもらっています。次男は既に他の地方で働いていますが、よく電話して来て、どんな些細なことでも親に話しています。彼は思いやりがあって、理想を持った青年であり、目標に向かって努力しています。

この夫婦の子供に対する接し方は、とても素晴らしいと思います。実質的に公平なやり方で接し、二人とも認められているため、兄弟間にわだかまりがないだけでなく、むしろとても仲が良いのです。

良い子にあげる真心からの言葉:

内心いつも、親のためを思って考えているのだと思います。率先してことをし、もうちょっと努力して、成績ももうちょっと良くなれば、親は喜んでくれ、家庭の雰囲気も良くなると思っている良い子のあなた…。

しかし、実際はそうではないと思います。面倒ばかり起こす弟には、一番良い携帯、衣服、靴などが与えられる一方で、あなたのやることは、全てが親にとってはまるで当たり前のようで、目に留めてもらっていないように思えるのでしょう。親に愛の眼差しで見られたい、褒める言葉をかけて認めて欲しいと思うあなたは、心の中で「良い子を続ける理由はあるのか?」と自分を疑うようになります。

先ず知ってほしいのは、あなたが今日まで頑張ってきたことは、必ず巡り巡って自分に帰ってきます。ですから、毎日をきちんと過ごし、自分が求めている生活、人との交流の形をしっかり考えてほしいのです。親の期待に応えることや、親の感情をなだめることがあなたの役目ではないのです。

そして、自分の進みたい方向へ努力し続けることです。人生では、自分を大切にし、心の声を聞くことで、初めて本当の喜びが得られるのです。感情に任せて批判したり、怒ったり、不本意なままでは、自分を傷つけるだけでなく、家族にとっても良いことだとは言えません。ですから、常にポジティブな気持ちを心がけて、自分の本当の気持ちを大切にし、健康に気をつけてほしいと思います。

家庭は温かい砦であり、心のよりどころです。そこは愛に溢れ、安全な大地のように、家族一人ひとりがリラックスして、幸せを感じる場所なのです。しかし、親の愛に偏りがあれば、家庭は危険をはらんだ場所となり、家族間の感情を損ねてしまうかもしれません。だからこそ子供に、お互いに気にかけ、共有するよう教え、兄弟間に仲の良い感情を育むことは親の重要な課題なのです!

表面的な公平を避けて、心からの愛とケアを表してください。兄弟は互いを比べるので、容易に嫉妬や衝突が起きます。これは正常な現象です。手がかかる子供にだけ褒美をあげ、良い子に辛い思いをさせてはいけません。これこそが家庭を要塞にする、唯一無二の方法なのです。


(慈済月刊六五七期より)

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