キャリアウーマンのテレワーク

生活様式を切り替える秘訣

  • 自宅で子育てと仕事を両立しているので、作業場を設けて精神上の境界線を引く。
  • 子どもたちに家事を手伝わせて、自分たちで手を動かすように促す。何でも親に頼るのではないことを学ぶと、生活における経験と自立能力が向上する。
  • 自分をスーパーマンだと思うのではなく、心の安定度を高めて、
    口うるさい配偶者を善に解釈し、良好な夫婦関係を維持すべきである。

私は台南慈済中学校の人文室に勤めている。主な仕事は慈済の各志業体間の調整で、学校や慈済基金会及びその他の志業体の資源を共有できるようにすることである。警戒レベル3がまだ発令される前、校長先生よりオンライン学習の運用に慣れるように言われていたので、教師たちは直ぐ関連設備やソフトウエアを使って練習した。電子機器に慣れている高校生たちも手伝いに来てくれた。
                    
警戒レベルが3に引き上げられた後、校長先生は教師や職員の安全を考慮して在宅勤務を通達し、大部分の教師はリモート授業を始めた。しかし、自宅でリモート授業に参加できない生徒たちのために、学校は登校してくる生徒たちに教師が交代で付き添うよう手配した。

登校の当番のない日は自宅で仕事をすることになり、毎日オンラインで出退勤の届けを出し、仕事を日誌に書いて報告している。一時外出の際にも休暇届に記入している。私のケータイが故障した日があったのだが、オンラインで一時間の休みをもらってから出かけた。在宅勤務でもルールを守るようにしている。

子どもたちはそれぞれのスペースでオンライン授業を受けていた。林曉瑩さんは在宅勤務の合間にお茶を淹れると、ついでに子どもたちの学習の状況やオンライン接続の問題を解決した。

在宅勤務は、女性にとっては少しばかり難儀だ。今まで職場には働くための完全な時間と環境があったが、在宅勤務で仕事と家庭が一緒になってしまうと、一息つく空間がなくなってしまった。部屋に入れば仕事モード、部屋から出れば母親なのである。例えば、たまに人文教科の計画を練りながら、ちょっと子どもの様子を覗いてオンライン授業の画面の調整をしてやることもあり、職員室のように集中して仕事をすることはできない。それでも、限りある家庭環境の中で仕事場を設け、自分の気持ちを切り替えるための境界線を引いている。

我が家には小学三年生の娘と二年生の息子がいる。二人は、起床して歯を磨いて顔を洗い、朝食を終えると、ノートパソコンとタブレットに電源を入れてオンライン授業を受ける。先ず、先生からのお知らせを見て自分の連絡帳に書き写す。私は子どもたちに、一週間のオンライン学習の時間割を家の連絡ボードに書いてもらい、規律正しい生活スケジュールが一目でわかるようにした。

いつ何をするのかは学校と同じで、それがデジタル化されただけである。しかし、やはり小さな違反は起こるものだ。例えば、しばらく顔を合わせていないクラスメートを見つけてはメッセージで短い会話をすることがある。すると先生は、「今コメントやメッセージを送ってはいけませんよ!」、と制止する。私は、こういう状況は子どもたちが情報をやり取りする能力とマナーを学ぶ良いチャンスだと思っている。

子どもたちは台所に立って簡単な料理を作っていた。気分転換にもなり、このステイホームの期間中に、家での日常生活の自立を訓練することができる。

先生が感染予防について、あちこち出歩くことはせず、マスクを着用するようにと注意してくれるので、子供たちは必要以外の外出をしないこと、ソーシャルデイスタンを保つことの意味を知っている。でも私たちは、毎日彼らに運動の時間をとっている。例えば、マンションビルの中庭で縄跳びやサッカーをしたり、近所の公園を散歩したりする。何かさせてみれば、元気が出てくるものだ。そこで家事を手伝ってもらうようにした。例えば、今日はカレーライスを作るので、彼らに野菜の洗い方や切り方を教える。おやつが欲しい時は、私の同意を得て冷蔵庫からキウイフルーツを取り出してフルーツヨーグルトを作る。自分たちで手を動かせば、何でも親に頼らなければできないわけではないことを知り、日常生活の経験が増え、自立能力が向上するのである。

三月から五月にかけての毎週末はイベントが多く、ほとんど外出していた。あのような全力疾走の状態では、心を落ち着かせることなどできるわけがない。逆に、在宅勤務の間は本を読み返し、仕事に関連するビデオの資料を収集して、次の学期の教師研修コースの計画を立てることができた。

林曉瑩さんは自宅に仕事場を設け、自分の気持ちを切り替えるための境界線を引いている。子どもが勉強の問題に直面した時は、根気よく応じている。

夫はテクノロジー産業の会社で働いており、警戒レベル3が発令されると、在宅勤務をしていた時期もあった。共働きして子供たちを育ててきた夫婦には、家事や育児を分担することで、良きパートナーだという感覚があった。ところが、妻が在宅勤務するようになると、夫はあたかも私が「育児休業を取った」と錯覚したのか、「今日はゴミを出してなかったぞ!洗濯物が溜まっているし……」と口うるさく言うようになった。私が勤務時間の合間を縫ってできるかぎり家事をしてきたのに、気づいていない。食事の支度や掃除にかかる時間が倍増し、その上、子供たちがリモート授業で直面する問題を解決しなければならないというのに。

自分の家だから誰が家事をどれだけするかは構わない。だが、新世代の女性が心身の健康を維持するためには、夫が本来担うべき家事を自分ができていなくても、それを罪悪感に感じないようにすることが大切だ。在宅勤務している全てのお母さんは自分をスーパーマンだと思ってはいけない。大切なことは心の安定度を高め、配偶者が勘違いして口うるさく言っても、寛大な心で理解することである。そうすれば、家事と育児が均衡に分担できると同時に、良好な夫婦関係を保つことができるのである。


(慈済月刊六五七期より)

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