慈済は、コミュニティの女性たちがスキルを身につけて生活できるよう、裁縫職業訓練クラスを開いた。ミシンの購入能力がなく、注文が入ってこない時は、ボランティアが請け負う仕事を探す手伝いをした。収入があれば家庭環境を変えることができ、家庭が安定すれば、子供たちは就学できるのだ。
「私はここで習うのがとても好きです。初めの頃は裁縫用のはさみさえ使えませんでしたが、今は何でもできます」。以前、アニタは裁縫を習うことなど考えたこともなかった。十六歳の時に親の指示に従って結婚すると子供が相次いで生まれ、毎日、家事に追われ、スキルを学ぶ時間はなかった。
二○二二年十月十七日、慈済は、ルンビニの会所で女性たちに裁縫コースを開いた。職業訓練に参加した女性の多くは、一キロ離れた村から来ており、バスもなく、自転車も持っていないので、徒歩で通学している。よく遅刻するが、欠席したことはない。半年の講座を経て、第一期の裁縫職業訓練クラスが今年五月二十五日に終業を迎えた。
終業式が行われる一カ月前、慈済ボランティアは学生たちに自分たちの卒業作品を縫ってもらうことにした。それまで寡默だった学生たちは、慈済が、自分たちの制作する服の生地まで提供してくれると聞いて、皆、信じられなかった。彼女たちは互いに熱心に討論し、ネットで自分の気に入ったスタイルを探し、最後にライトグリーンのスーツを作ることにした。そして、ウキウキしながら、今、最も人気のある「アンブレラスタイル」だと説明し、もし、それを着て村を歩いたら、注文が入るかもしれない、と紹介してくれた。
しかし、スキルを身につけて卒業しても、商売道具がなければ生計は成り立たない。学生たちの暮らしは楽ではなく、居住スペースにミシンが置けるかどうかも問題である。卒業した時、直ちに失業しないように、ボランティアは家庭訪問して査定した。その結果、コミュニティにミシンを置くスペースを見つけたので、そこに集中してミシンを配置し、彼女たちが生計を立てる場所を確保することにした。卒業式の日、コミュニティで初めてのミシン室は、同時に使用開始の日を迎えた。
学生の一人、ソニさんは嬉しそうに自作の服を着て、「先生が無私の心で裁断と裁縫のスキルを教えてくれたことにとても感謝しています。また慈済基金会が私たちに無償で学ぶチャンスを与えてくれたことに感謝します」と言った。もう一人の学生、ソワさんが、感動して分かち合った。「私たちは以前、何もできず、家にいるしかありませんでした。今は服を縫いあげることができ、お金を稼いで自立するチャンスもできたのです」。
「裁縫を学んだことで私の人生は変わり、今では家族にお金をもらわなくても済むようになりました」。裁縫クラスのプジャ先生は、裁縫のスキルは一生役に立つのだから、自分の経験をより多くの女性に分かち合って欲しい、と言った。
慈済の仲介で、多くの裁縫職業訓練クラスの学生が、六月に公益団体の「健康360」が行っている生理用布ナプキンプロジェクトに参加した。製品を作ることで収入が入るようになるのだ。製品は「健康360」によって包装デザインされ、市場で宣伝され、学校にも衛生教育の補助道具として送られる予定だ。
(慈済月刊六八一期より)