世界に目を向ける

ヨルダン
難民を待たせてしまって 医師は心苦しかった

文•林綠卿(ヨルダン慈済ボランティア)、吳秀玲(台南慈済ボランティア)
訳・江愛寶

テントの中は温度が上がっていたが、待合エリアは人でいっぱいだった。歯科エリアでは、患者が緊張した面持ちで診療椅子に座っていたが、医師の笑顔に誘われて口を開けた。五月下旬、慈済ボランティアと医療チームは再度シリアとの国境に近いヨルダンのマフラクにやって来た。ザータリ難民キャンプから遠くないフウェイヤ村でシリア難民に施療を行った。歯科、心臓内科、耳鼻咽喉科等六つの科目で、延べ五百人余りが恩恵を受けた。

難民キャンプは医療資源に乏しく、前回の施療から一年近くが経っていた。ある患者は病状が想像以上に進行していて、シリア人整形外科のハンザウェイ医師は心苦しい気持ちを隠せなかった。「多くの重症患者や希少疾患患者を見ると、悲しくなります。同時に、慈済の関係でここに来て、彼らを助けることができることに感謝しています!」

台湾
慈母の生前の願いはボランティアが達成させた

文•王麗琴(汐止慈済ボランティア)
撮影•許登蘭(汐止慈済ボランティア)
訳・江愛寶

五年かけて説得して、新北市汐止区の謝さんはやっとボランティアが部屋の清掃をすることを承諾した。この十一年間、慈済ボランティアは母子五人の世話をしてきたが、二年前、母親が臨終に際して、子供たちが劣悪な環境で暮らしていることが一番心配だと言ったのを聞いていた。今年は伝統的な習慣の合炉をする必要があるので、慈済ボランティアがそれを機に説得した結果、やっと母親の生前の願いを叶えることができた。
㊟合炉‥新たに亡くなった人の位牌を燃やした灰と香炉の灰を祖先の香炉に混ぜる行い。

五十歳を過ぎた謝さんは、四十年間ずっと自分で作ったおもちゃの要塞の中で生活してきた。六月十八日、三十数人のボランティアがリレー式に、ダンボールでできた宝剣やドラゴンボート、ペットボトルをくっつけて作られた要塞など、床から天井までいっぱいに積み上げられた、雑多なものを片付けた。異臭とほこりが充満する中での清掃を終わらせ、やっと窓が開けられるようになり、外の空気が部屋に流れ込み、更に新しいマットレスを運び入れた(前ページの写真)。

㊟合炉:新たに亡くなった人の位牌を燃やした灰と香炉の灰を祖先の香炉に混ぜる行い。
モザンビーク
新しい教室で楽しく勉強

文、撮影•蔡睿和(モザンビーク慈済ボランティア)
訳・江愛寶

二○一九年、サイクロン•イダイがモザンビークを襲った。重被災地のソファラ州では五百を超える学校が被害を受けた。被災後の翌年、慈済は順次、現地に「大愛の家」と共に、二十三箇所の学校の建設を支援した。今年六月、三つの小学校が落成し、起用が始まった。

クラ小学校は、被災してほぼ全壊した(写真上)。先生と生徒たちは数年間、木の枝とキャンバスで建てられた教室や木の下で授業を行っていたが、今やっと、慈済の支援建設による九つの鉄筋コンクリート製の教室に引っ越した。(写真右)四年前五百人余りだった生徒は、九百人余りに増えた。生徒のシルワ君は、「これからは雨降りの日に本が濡れることもなくなったので、安心して下校するまで勉強できます」と言った。

(慈済月刊六八一期より)

    キーワード :