通りから路地まで「愛の心ある商店」を探し求める

「愛の心ある商店」を募る過程で、躊躇して前に進めず、自分で限界を設けてしまっていた。

実はこんなにも多くの人が声を掛けられるのを待っていたことを知った。愛の心を募るペースを加速しなきゃ……。

昨年六月下旬、桃園の慈済ボランティアは、「愛の心ある商店」を広める活動を始め、積極的に各店舗に竹筒貯金箱を置かせてもらった。店主や顧客は毎日、この縁を大切にして自分に応じた善行を実行することができるのだ。貯金箱がいっぱいになったら、ボランティアに引き取りに来て欲しいと知らせればいい。

初めの一カ月だけで、三百軒近い店が参加し、ここ一年ほどの間に一千百軒以上が呼応した。この活動を始める前、證厳法師が開示で、現世は悪業が蔓延していると語っていたことを思い出し、「もし上人のお言葉の通りであれば、もう間に合わないかもしれない」と、当惑と落胆を感じていた。

ある日、一軒の店の前に来ると、中で店員が真剣な顔で懸命に掃除をしているのが見えた。「入ってもきっと拒絶されるだろうなあ」と一瞬躊躇した。

しかし、次の瞬間、「自分で限界を設けてはいけない」と自分に言い聞かせ、いつものように「ドアを開けると善に出会う」言葉を掛けた。「こんにちは。慈済ボランティアですが、『愛の心ある商店』と言う活動を行っています。竹筒貯金箱を置かせていただいても宜しいでしょうか。多くの人に愛の心を発揮して欲しいのです」。

「ええ、いいですよ」。五十過ぎの女性は瞬時に親切な眼差しになった上、竹筒貯金箱をレジの前の人目につき易い場所に置いてくれた。更に話を聞いていくと、彼女は若い時に献金をしたことがあると言ったので、びっくりして、「ではまた、慈済の会員になりませんか」と誘うと、「いいですよ!」と返事したのである。そうやって三十年前の会員を見つけ、慈済にまた一つ善の力が加わったのだ。

また別のマントウ店の店主は、引っ越した後、献金を辞めていたが、今回は活動に参加してくれた上に、奥さんと息子さんのために、再び会員になってくれた。

騙されるのではないかと心配していた朝食店の店主の奥さんは、十元を入れた後、これ以上貯金箱を置きたくないと言った。数日後、鄭文章(ヅン・ウェンツォン)さんがその十元の領収証を渡しに行くと、彼女は嬉しくなり、再びその活動に参加してくれた。鄭さんは、「実は皆、愛の心を持っているのです。少しであっても、一番大事なのは人々の『善念の蓄積』です」と言った。

「愛の心ある商店」の募集が始まった時、ボランティアの陳淑華(チェン・スーフワ)さんは手術後の休養中で、まだ車の運転は無理だった。「でも私は歩くことはできますから、他に二人の師姐(スージエ)と一人の師兄(スーシォン)にも協力してもらって、路地の角にある朝食店から呼びかけを始めました」。店に着くと、「竹筒貯金箱を置いて、お客さんに小銭を入れてもらうことは、誰かを祝福すると同時に、自分を祝福することにもなります」と説明した。それを聞いて、店主はとても喜んでくれた。そうやって一軒一軒訪ねると、十軒のうち七軒ほどの店は参加してくれた。

去年11月、鄭文章さん(右)は娘さん夫婦が経営しているカフェを訪れ、募金でいっぱいになった竹筒貯金箱を回収した。これで三度目だ。この店は、桃園市で一番に「愛の心ある商店」に応募した店である。

大園に住んでいる張月里(ヅァン・ユェリー)さんは、バイクで先ず知り合いの店を訪ねたが、その後、知らない店も訪ねた。広く認めて貰えて、彼女はとても嬉しくなった。「善行は自分だけでなく、他の人もしたいのだと分かったのです」。衣料品店を経営する游玉閔(ヨウ・ユーミン)さんも、「私たちの行動は単一的ですが、助けられる人は温かさを感じるのです。お客さんがお金を入れるたびに、私は微笑んでいます」。

鄭さんは、若い人が経営している多くの店が、喜んで善行する理念を受け入れている、と言った。「私たちが外に出て呼びかける意欲さえあればいいのです。志があれば、難しいことではありません」。

アート編集を担当している若いボランティアの陳静(チェン・ジン)さんは、よく町を歩いている時に「愛の心ある商店」の張り紙や竹筒貯金箱がレジに置いてあるのを見ると、「これは年配のボランティアたちが一生懸命頑張った結果、千以上のお店に参加してもらったのだ、と感無量になります」と思うそうだ。

ベテランボランティアの丁林彩(ディン・リンツァイ)さんがある店に入った時、店主がこう言った。「テレビではあなたたちの悪口を言っていることを知っているのですか?それでも店に来るとは度胸があります」。彼女は、だからこそもっと人々と接して、私たちがしていることを正しく説明しなければならないのです、と答えた。すると店主は、「テレビではああ言っているけど、あなたたちがそれほどまで言うのなら、やっていることは正しいと思います。絶対に竹筒貯金箱をここに置いてもらいたい。私も手伝いますよ」と言った。丁さんは、「本当に怖がったり、心配することはないのです。正しいことは実行すればいいのです」と言った。

昨年十二月十九日のことを思い出した。法師が桃園の「愛の心ある商店」活動メンバーと話をした時、「店に竹筒貯金箱を置いてもらうことも、良縁を結ぶきっかけであり、人の性は善であることや初期の「竹筒歳月」の話をする機会に恵まれたのです。相手が理解すれば、あるいは発心して、私たちの力となってくれるかもしれません」と言われたのだ。

参加の呼びかけをする時、喜びもあれば、様々な挫折を経験することもある。しかし、直ぐに頭を切り替え、「まだまだ多くの愛の心を持っている人たちが皆の誘いを待っているのだ、と自分に言い聞かせています。どこに行っても呼びかけ、愛の心と善念で世の中を満たし、共に善行を多くすることで、災難を減らすのです。全ての「愛の心ある商店」が、最高の「善」が集まる場所になるよう願っています」。

(慈済月刊六七九期より)

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