貸そうか、止めようか?

問:

問:クラスメートがお金を貸してほしいと言いました。 貸さない方がいいのでしょうか?

答:中国には、「友人にお金を貸さなければ、友人は消え、友人にお金を貸せば、お金と友人が一緒に消える」という言葉があります。この言葉は、私たちに次のような注意を喚起しています。

貸したお金を取り戻すのは難しい

二十数年前、教え子Hがお金を借りたいと電話してきました。彼は祖母のもとで育ち、向上心が強く、品行方正でした。しかし、それから家庭の事情で台中に転校することになったので、高雄を離れる前に私たちはじっくり語り合いました。別れ際に、私は「何かあっても、なくても、いつでも連絡するのよ」と彼に伝えました。

彼がお金を借りたいと電話して来た時、私は「分かった」と即答し、続けて「幾ら?」と聞きました。彼は「一万元」と言いました。その週の土曜日に私の家で会う約束をしました。

約束した日、高雄は大雨で、あちこち水浸しになっていました。私は彼が食事をしていないことを心配して弁当を二つ用意した他、雨に濡れているかもしれないので、タオルとドライヤーも用意しました。彼は到着した時、ガールフレンドと手を繋いで、とても明るい様子で私の家に入って来ました。

私は用意しておいたお金を、自宅の住所と電話番号が書かれた封筒に入れ、「お金は用意したわ。お金を返す住所も書いておいた。バイトしていることを知っているから、半年後から毎月五百元ずつ、返してもらえる?」と彼に伝えました。彼は「はい」と答え、二人は弁当も食べずに手をつないで雨の中を歩いて帰って行きました。

雨の中を消えて行く彼らの後ろ姿を見て、私は何となく、お金を返しに来ることはないだろうし、二度と私の目の前に現れることはないだろうと思いました。あれから二十五年、あの時思ったことは全て現実となりました。

この機会に経済観念を築く

もし同級生に、昼食代を忘れたのでお金を貸してくれないかと言われたら、あなたにお小遣いが十分にあり、相手が良い人なら、貸すことを考えてもいいかもしれません。しかし、その人が他の同級生からよくお金を借りているとか、借りても返さないことがあるような人だったら、その時は勇気を出して断るべきです。

同級生同士で貸し借りする金額は普通、多くはありません。もし、金額が自分の許容範囲を超えるようであれば、断るべきです。それは、必ず日常生活の支出に影響するからです。ですから、こういうことでお金の管理についての考え方を、しっかり養うことができるのです。

選択は責任を持つことでもある

お金を貸すなら、何が何でも返済期日を決めなければいけません。人にお金を貸す時、大抵は緊急の場合であり、返済日をその翌日に設定するのがベストです。ですから、クラスメートにお金を貸す時、返済日を正直に伝えるべきです。そうすることで、相手に「借りたら、返す。そうしたら、また容易に借りることができる」という観念を身につけさせることができます。それは同時に、自分の行動には責任を持つべきだと学ぶことにもつながります。

貸すべきか、貸さない方がいいのか、確かに大きな問題です。お金を借りて返済することは、自分の信用力を高める良い方法であり、友人同士の信頼関係の規範でもあるのです。クラスメートにお金を貸すことは、お金の管理の概念を実践する方法でもあります。
お金を貸すにせよ貸さないにせよ、返ってこないかもしれないし、同時に友人を失うかもしれないという心の準備が必要です。

お金を返してもらえなくても日常生活に影響がないのであれば、貸してあげればいいのです!仲の良い友人であれば、お金を貸したくない理由を誠実に説明することで、将来また友人として付き合うことができるかもしれません。 お人好しになって、相手にお金を貸したことを後で後悔し、友人が敵になるようなことがあってはいけません。

最後に、私は次の言葉が大好きです。
「人生の意義は選択にあるのだから、自分の人生のために選択し続ける時、その選択が正しいか間違っているかにかかわらず、その人の人生は自らの選択によって豊かになり、心のエネルギーは増え続けます。人は選択をして初めて、生きて来たと言えるでしょう」。

ですから、貸すか貸さないかは、お互いに自分を成長させる良いテーマなのです。

(慈済月刊六八八期より)

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