愛ある商店が台湾を幸福で満たす

編集者の言葉

慈済は今年の五月で創立五十八周年を迎え、その間、人道支援は百三十三の国と地域に亘って行われてきた。以前と変わらないのが「竹筒歳月」である。三十人の女性会員が「一日五十銭の貯金」で貧しい人々を助ける活動を始め、今でも、「少額の寄付」の累積が、依然として慈済資金の大部分を占めている。

塵も積もれば山となり、数粒の米も貯まれば籠一杯になる道理は新しいことではないが、平凡なことでも粘り強く続けることこそが非凡なのだ。一日五十銭の貯蓄は非常に少なくても、毎日繰り返す善の念と行いをすると共に、より多くの人に日々の貯金を呼び掛ければ、僅かな善行の積み重ねは細いながらも、そのうちに安定して充分な力になるに違いない。

「愛の募金箱 」、「レシート寄付箱(台湾のレシートは宝くじ)」などの募金方法は長年行われてきたが、近年、台湾各地の慈済ボランティアは、顧客や店主の愛を募り、少額を以て大善行を為すことを期待して、地域の店舗や施設のカウンターに「竹筒募金箱」を置いている。慈済発祥の地の花蓮では、「愛ある商店」の密度が台湾一高く、ほぼ三~四軒に一軒が善行に呼応している。

愛ある商店は「竹筒歳月」の精神の延長でもあり、地域の人々の愛を繋ぐ以外にも深い意味がある。愛の募金箱を置く店では、顧客に愛で福を造る機会を与えており、働きかけてほしいと、證厳法師は言う。一元でも、五元でも、十元でも、皆が愛の力を合わせることで、「福の気」ができるのです、と證厳法師は語る。呼応する人が多ければ多いほど、愛の心と善の念は大きくなり、福の気も大きくなって、災害をなくすのに十分な力になる。

今月号の「慈済月刊」の特集「国境なき愛」では、毎週と毎月の慈善志業会議に始まり、国内外のボランティアが各地の苦難や心打たれるストーリーを紹介している。インターネットでの配信を通じて、世界中の慈済人が慈済の脈動に同調している。各集会の講演者は壇上に上がって、「おはよう!こんにちは!こんばんは!」と挨拶することからも分かるように、北半球と南半球のボランティアたちの慈善の歩みは止まることがなく、バトンを引き継ぎながら続いている。

二月から三月にかけて、慈済の代表者らが国連環境会議や国連女性会議などの国際会議に参加し、生命の尊重と環境への配慮に関する慈済の観念、方法、成果及び関連組織との半世紀にわたる実務経験を共有した。

「菩薩の縁は苦しむ衆生へ続く」と言われるように、慈善の必要性は往々にして苦難からきているが、幸いなことに、世界にはまだ愛と思いやりがあるため、様々な不足をある程度取り除くことができる。私たちが見える範囲は限られており、苦しんでいる衆生には限りがないが、慈済の慈善活動は一時的なものではなく、長期的に付き添うことである。命の再生、被災地の復興、愛の啓発、そして大勢のボランティアの出現は、どれも「一から無量が生まれる」という理念の現れと啓示以外の何物でもない。それはまた、慈善奉仕の本意でもある。

(慈済月刊六八九期より) 

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