モザンビークに希望が見えた

心して伝法し、当地に智慧を伝え、助けを求める声を聞けば駆けつける菩薩の精神と愛のエネルギーを大衆に伝え、人と人が愛で接し、見返りを求めず奉仕することを願っています。

六月十日、モザンビークの蔡岱霖(ツァイ・ダイリン)師姐たちは、当国中部で建設している大愛村と希望工程に関する事務担当の本部職員、台湾の慈済学校で勉強しているアフリカの学生十数人、そしてオンラインで報告したモザンビークの慈済ボランティアたちを伴い、オンラインで上人と端午の節句を祝いました。

岱霖師姐は、メトゥシラ大愛村の由来から報告しました。メトゥシラ町は川沿いにあり、住民の多くは農耕で生計を立てています。サイクロン・イダイで被害を受けてから、一部の住民は地理的に高い、今大愛村を建設している場所に移住せざるを得ませんでした。慈済ボランティアが緊急支援で住民に物資を配付する以外に、マプトからも現地ボランティアが来て、長期的に地域ボランティアの先頭に立って大愛農場を運営しています。村人が慈済の配付した種を使って栽培した結果、実り多い豊作となり、経済状況が改善しました。メトゥシラ町には今、二千七百人余りのボランティアがいます。

高敬堯(ガオ・ジンヤオ)師兄が「大愛村が出現した」状況を簡潔に報告しました。二〇一九年にイダイ支援建設プロジェクトが始まりましたが、紆余曲折の後、二〇二二年四月にやっと本格的な工事が始まり、二〇二四年四月に大愛村の四百十戸全てが完成しました。村人は、慈済は唯一サイクロン被害から今日まで途切れることなく寄り添ってくれた団体です、と感謝の意を表しました。

モバンビス中学校では、被災した直後、使える教室は僅か三つで、五千人の教師と生徒に対して二つの野外トイレしかありませんでした。支援建設プロジェクトは二〇二二年六月に始まり,二〇二四年一月に完成し、当国の大統領自らが出席して起用式典を主催しました。その後、慈済ボランティアは引き続き学校に関心を寄せ、静思語教育を推し進め、衛生概念などを教えています。岱霖師姐によると、慈済の愛は学校からコミュニティに広まりました。モバンビス中学校はソファラ州ドンド郡にあり、郡長は、慈済人が長期駐在できるようにと、学校に隣接する宿舎を無償で提供してくれました。慈済は今年二月からコミュニティで愛を広める活動を行なっており、多くの住民は静思語に出会ったことで、家族関係が改善されたり、以前は思い詰めていた人が静思語に心を打たれ、生きていく原動力を見つけたりしたことで、今は地域ボランティアとして精進しているそうです。

当国では、大学に進むチャンスがある人は僅か八パーセントしかいません。そこで、青年養成プロジェクトによって、二〇一九年から今まで十三人の学生が台湾に来て勉強しており、そのうちの五人は既に学業を終えて帰国し、慈済の連絡所で奉仕しています。慈済は現地の中学校や職業学校と協力を続けていますが、今年は学校側から、百七十人余りの優秀な卒業生の推薦がありました。学生は筆記試験と面接、チームによる査定、総合評価を経て、台湾に来て勉強できる資格を得ます。

上人は、台湾に来て勉強する若者たちに、引き続き勉学に励み、進歩し続けるよう言い聞かせました。中国語を習得するだけでなく、発音も正しくなければならないこと、そして、慈済精神を学んで心に刻み、学業を終えて帰国したら、困難な生活をしているお国の人々を助けて欲しいと言葉をかけたのです。

「岱霖にはとても感謝しています。モザンビークで慈済との因縁を築いたことで、この国の若い人たちは台湾で中国語とその他の知識や技術を学ぶことができたのです。彼らはとても頑張っており、モザンビークの未来には大いに希望がある、と感じました」。

支援を受けている住民も現地ボランティアも、多くがキリスト教徒です。

「信仰を心の拠り所とする以外に、自分でも努力しなければいけません。慈済人は仏教精神を学ぶ対象であり、仏陀は悟りを開いて、遍く衆生を愛しました。慈済人は、モザンビークで大衆の先頭に立ってボランティアをする時、心して仏法と智慧を現地に伝えなければいけません。助けを求める声を聞けば駆けつける菩薩の精神と愛のエネルギーを大衆に伝えることで、人々が互いに愛を啓発し合い、見返りを求めない奉仕をするよう導くのです」。

上人は、慈済が当地で大愛村や学校を建てるのは、見返りを求めない清らかな大愛であり、人々に求めたいのは、精進して積極的に生活に立ち向かって欲しいということだけです、と言いました。

「報告の映像からモバンビス中学校が完成したことが分かりました。灯りがついたその瞬間、私は言葉で言い表せないほど嬉しく感じました。この先、子供たちは安心して勉強ができ、学校は現地で人材の育成をすることができます。社会に希望ができたのです。若い人が教育を受けられれば、国に希望が見えます。これこそが、私たちがモザンビークで奉仕している目的なのです」。

そして上人は、本部の数人の職員が、支援建設工事のために、使命感で以って現地に駐在し、我慢強く現地の気候に馴染み、真面目に心して投入してくれたことに感謝しました。

「将来、その大愛村は輝き、生気溢れる人々が集まる場所となり、地域の発展をもたらしてくれるでしょう」。

(慈済月刊六九三期より)

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