
子どもが小さい頃は、何でも親の言うことを聞きますが、成長するにつれて自分で時間や行動を計画させ、親が口出ししないようにするには、どうしたらよいでしょうか?
答:暫く前、ある母親が子供に朝六時から夜十一時までの一日の時間割を作っていた、というびっくりするようなニュースを読みました。
そのニュースを見て、私はとても不安になりました。その子供は楽しく学習できるのだろうか。そのようにして学習する生活は長く続くのだろうか。子どもは心身ともに健康なのだろうか。子どもはいつになったら自立できるのだろうか。
こういう問題は、親がゆっくり手放すことでしか解決できません。
話し合い、再確認、尊重
たいていの親は強いエネルギーと自分の意見を持っており、子どもが無駄な道を歩んで、貴重な時間を無駄にすることを心配します。そのため、知らず知らずのうちに子どもの生活の細部にまで手を伸ばしてしまうことがよくあります。それは逆に一種の干渉や束縛になり、子どもの自主的な学習を妨げることになります。
最良の方法は、子ども自身に活動の企画や時間の配分をさせ、その後で、親子でそのスケジュールについて一緒に話し合うのです。例えば、なぜ日曜日の午前十時から十一時までゲームをするのか、なぜ水曜日の夜はテレビドラマを見るのか、などです。
このような話し合いの過程で、親が時間配分や何をして、何を切り捨てるべきかをアドバイスし、子供も自分で段取りを決める権利を持ち、親の段取りを頼りにし過ぎず、思考力を一歩一歩鍛えていくのです。
「親は、六歳までは子どもと親密になるべきで、それ以降では状況を改善するには遅すぎるかもしれません。もし子どもと遊ばないまま十歳を過ぎると、手遅れになります。また、子どもとコミュニケーションを取らないまま、十三歳の思春期を迎えるのも手遅れであり、子どもと話し合わず、子どもが大人になってからでは遅すぎます」。子育ての専門家たちはずっと、このように親たちに言い聞かせてきました。
親友のCさんは、思春期の子どもの情緒が、時に火山のように爆発して抑えることができないため、彼女に対して決裂するほどの嫌悪感を抱いていると感じるそうです。彼女は怖くなって、精神科医に解決策を求めました。精神科医は「心から親子関係を築きなさい」と言うだけでした。
Cさんは家に戻ると、子どもたちと一緒にできる活動を探し始めました。子どもに「私たちはみんな同じ側にいる」という感じを持たせ、そこから心を開いて生活上の様々なことを話し合いました。その家庭は、献身的な愛で溝を埋めた親によって、家庭の隅々に笑い声が戻るようになりました。
寄り添って褒め、そして手放す
子育てで最も美しい結果は、手放すこと!ですが、これは多くの親にはできません。
手放すにはどうすれば良いのでしょう?例えば、自分の部屋の床のモップがけや、洗濯した服を取り込んで、それを畳み、決まった引き出しに入れる、というようなことを一週間自立してやってもらうのです。やり始めは、どうしても上手くできないものですが、お子さんを責めたりせず、出来たことを見つけて褒めてあげることで、お子さんはどんどん自信を持って家事をこなせるようになります。
活動の企画や時間の配分も、このような方式を使うべきで、段階的に指導して、「大を掴んで小を放す」ようにすれば、子どもは自然に、安心して見ていられる、小さな大人になっていきます。
これからも、私たちが子供と一緒に人生で経験することはたくさんあるのですから、親として、決して学業の成績だけにこだわっていてはいけません。私たちの共通の子育て理念の重点は、心から寄り添うことであり、「コントロールする」のではありません。ですから、「自分の魔の手を断ち切る」のが早ければ早いほどいいのです。
家庭教育における最後の「愛の障壁」は「支配欲」です。親は子どもを導き、啓発し、分かち合ったうえで、タイムリーに子ども自身が決断できるようにゆとりを与え、その決断を尊重することであり、子どもの成長の障害になってはいけません。
親は子供を愛しているなら、子供に自分で決めさせることですが、その前提条件は、親が子供を一人の人間として尊重することです。そうすれば、支配欲を捨てることができるようになり、子供の人生を成就させる手伝いができるようになるのです。
(慈済月刊六九四期より)
