編集者の言葉
台湾は台風シーズンに入ったが、台風一号が発生する前の六月に、慈済ボランティアは新北市防災士養成成果発表会に出席し、全市の防災士の数が正式に一万人を超えるマイルストーンを共有した。この数年間、慈済は政府と連携して防災士養成講座や避難訓練を推進し、地域社会を守るために協力している。災害救助から災害への備え、そして防災に至る歩みの中で、慈済は慈善活動により経験を積み重ねてきた。それは慈済が向かう必然的な方向でもあった。
慈済基金会国際長の曽慈慧(ヅン・ツーフゥイ)さんは、五月に開催された「全米災害救援ボランティア機構(NVOAD)」の年次総会で、「卓越したリーダーシップ賞」を受賞した。曽さんは次のように述べた。「慈済は台湾から始まって、今では世界中の災害現場に赴いています。證厳法師の教えである『傾聴、思いやり、尊重』でもって被災者に寄り添い、仏教の人文的な思いやりを実践に移してきました。今回の受賞は慈済人全体の栄誉であり、私はただ基金会を代表して受賞しただけです」。また彼女は、慈済が災害支援の時に提供する買い物カードや、日常的に災害時のために備蓄しているエコ毛布などの物資が、国際的な緊急支援プラットフォームで賛同を得ていることに、特別に言及した。
アメリカ慈済は、設立以来三十六年間、着実に慈善活動に取り組んできた。二〇〇一年の九一一同時多発テロの時、慈済は総額二百万ドルの救済金を提供して三千世帯余りを支援した。当時、被災者に直接現金を贈呈した唯一の慈善団体でもあった。二〇〇五年にハリケーン・カトリーナがニューオーリンズに甚大な被害をもたらすと、慈済は初めて、物資と引き換えができる買い物カードを配付した。こうした奉仕の結果、慈済は二〇〇六年に赤十字社の推薦により、正式にNVOADのメンバーとなった。
一九七〇年に創設されたNVOADは、非営利団体間の調整責任を負う、国レベルの災害ボランティア組織連盟である。二〇一八年の年次総会では、大愛感恩科技公司のエコ毛布が「年度イノベーション賞」を受賞した。二〇二三年には、NVOADに登録している緊急支援団体の代表者が、「慈済のペットボトルをリサイクルして作られた毛布は、手触りがとても柔らかくて、丈夫です。すべてを失った人々にとって、きっと慰めになるでしょう」と称賛した。今年は、さまざまな団体が援助物資の展示を行った。その中には、浄水装置や緊急支援キッチンカー、住宅再建ツールキットなどの救援物資も含まれていた。中でも慈済のエコ毛布や福慧間仕切りテントは、パートナーの間で大変人気があった。年次総会は、循環型経済を防災システムに取り入れていくことができればと願っていた。
今月号の月刊誌『慈済』の『慈済SDGsシリーズ』は、テーマが「資源再生は愛の循環 地球が感謝」である。慈済が研究し開発した回収プラスチックによる再生製品には、よく知られている物として、折り畳み式で持ち運び可能な福慧ベッドや回収されたペットボトルから作られたエコ毛布を含むベッドや収納棚、机、椅子、蚊帳、間仕切りテントなど、いわゆる「避難所七宝」があるが、気候変動や資源不足などの環境の脅威の下では、このような再生可能で再利用できる循環型経済の推進がますます緊急性を要していることと、これらの物資の背後にある最も貴い価値観が、慈悲の心と思いやりと実践であることを、人々に理解してもらうのに役立っている。
(慈済月刊七〇四期より)


