心から調理した菜食 熱いうちに食卓へ

動画の制作、アップロード、サイト運営等々。中高齢者であっても、それらに打ち負かされたりしないのだ。彼らの持つ並々ならぬ強い学習力と菜食を薦める熱意に勝るものはない。

(撮影・張振成)

若者がユーチューバーになるのは珍しくも何ともないが、中高齢者がウェブサイトを運営するのは決して容易なことではない。中壢市のある慈済ボランティアは、この一年で「蔬食心煮意」(心から調理した菜食)という動画を作成した。メンバーは四十歳から七十八歳である。ネットに出回っているグルメ関連の動画が多い中、どのように再生回数と視聴者数のアップを図れば良いだろうか?レシピの作成からプロのシェフが調理する様子、見た目にも美味しい料理を撮影し終わるまでの全てがハードルで、頼れるのはチームワークと心を込めた拘りと馬鹿げた熱意だった。

シェフチームには様々な炊き出しのプロがおり、調理の腕前は言うまでもない。しかし、カメラの前に立つとNGを食らい、撮り直しが続いた。林淑珠(リン・スウヅウ) さんは台本を見ながら、「難しいねえ」と正直に言った。王月雲さんは一回目の撮影の時、緊張のあまり、フライ返しを持つ手が震え、表情が強張った。「心臓がドキドキして、とっても緊張して怖かったのです」と振り返った。しかし、二人はメンバーに励まされ、勇気を出して繰り返し練習した。最終的には、カメラに向かって自然体で淡々と喋ることができるようになった。

七十三歳の王月雲(ワン・ユエユン)さんは、初めは「逃げ出そう」と思ったそうだ。「お客さんを招いたのに、シェフが先に逃げ出すなんてありえないでしょう」とリーダーの張玉珍(チャン・ユージェン)さんが励ました。寄り添いが功を奏して、今の彼女は大役を果たせるようになった。もっと嬉しいのは、彼女が世話している慈済会員が「蔬食心煮意」の動画を見て、菜食を作るのは難しくないことに気づき、菜食するようになったことである。

撮影を行った三人のボランティアは皆、七十歳を超えており、七十八歳の呂阿坡(リュー・アーポー)さんはハイアングル撮影、王添富(ワン・ティエンフー)さんはクローズアップ撮影,徐春盛(シュー・チュンシェン)さんはミディアムショットが得意である。そして、張振成(チャン・ジェンチェン)さん、黄秀玉(ホワン・シウユー)さん、葉時熠(イエ・スーイー)さんたちは、裏方になって動画の編集、字幕制作及び撮った写真でのデジタルポスター作成を担当した。

ボランティアの徐春盛さんは、動画の制作、アップロード及びホームページ管理を独学で学んだ。(撮影・黄秀玉)

七十過ぎの徐さんはネットを使って独学した人である。「ファイルの変換、字幕の選択、初回放送の時間設定、アップロードなどです。今は字幕を付けるのはお手の物で、直ぐにできます」と彼は自信たっぷりに言った。笑うと白くなった眉毛が曲がる。リーダーの張さんは、「煩わしさ」に耐えることができるこの兄貴分を、心から尊敬しているという。

一回目に編集を終えた動画は、リーダーの張さんに審査してもらうが、時によっては調理手順を間違えたり、重要なシーンが切り取られてしまったりしたため、十何回も編集し直したことがある。「春盛さんは本当に忍耐強くて、私に向かって『煩わしい!』と言ったことは一度もありません。スムーズにいかない所を指摘して、編集し直すことになっても、彼はいつも『分かった』と快く言ってくれました」。また、アップロードに間に合うように、彼は夜中の二時になってもスクリーンの前で作業をしていることもあり、コンピューターがストライキを起こしたこともあった。

キーモセラピーを受けている最中でも、呂桂樹(リュー・グェイスウ)さんは体調が良ければ必ず撮影現場に来て指導した。葉さんは奥さんが就寝してから、デジタルポスターを作っていた。これら様々な事情を知ったリーダーの張さんは感動し、感謝した。

リーダーともなれば、異なる技能の人たちをまとめる役割を担っている。その中でも事務担当者は、撮影の企画、シェフとの交渉、メニューの整理、レシピの作成、撮影シーンの設置、服装、メーキャップ、道具の準備から動画の審査まで様々な仕事内容を請け負っているが、彼らはいつも一番先に来て、最後まで残っていた。その為、彼女は仕事を分担してくれるボランティアを愛おしみ、感謝した。

事務チームの陳秀珍(チェン・シュウツン)さんは、昨年手術を受けて体力が衰えたが、ボランティアたちの頑張りを見て、運動とリハビリで早期復帰を願った。動画を作成するうちに、人付き合いや困難を如何にして克服するかを学び、最終的に美味しい料理をアップロードして、菜食を呼びかけた。

「蔬食心煮意」チームは、二〇二一年七月からこの企画を開始し、この一年間で既に十六本もの動画を発信した。初めの頃は皆、再生回数ばかり気にして、損得に拘り過ぎていたが、今はより良い動画の作成に専念している。シェフたちは皆、五〜六十年以上の調理経験を持っているが、腰を低くすることを厭わず、タンパク質の豊富な全植物性料理の作り方を学び直そうとしている。家族やボランティア、会員たちのことを思って、健康的な食生活を心がけていこう!

(慈済月刊六七〇期より)

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