異国料理で良縁を結ぶ

黄明虹|中華系ミャンマー人新住民。63歳、菜食歴11年

彼女が一番美味しいと思う料理は、慈済志業パークの調理ボランティアが用意した弁当である。日異なった人が調理するので、メニューは多彩で、栄養豊富な弁当ができる。彼女が新住民の友人たちと一緒に作る得意料理のように、一口ごとの美味しさを大愛に変え、人と良縁を結んでいる。

每朝七時半、黃明虹(ホワン・ミンホン)さんは、定時に慈済板橋パークのリサイクルセンターにやって来て、彼女は回収車に乗って決まった回収拠点へ回収物を取りに行く。センターに戻ると分別やビニール袋の洗浄、果物袋晒しなど、手は忙しくしながらも、仲間たちと世間話をする。雨天決行でリサイクルするボランティアたちは、リサイクルで大地を守って地球を保護できることを願っている。また、彼らは菜食者の炭素排出量が肉食者より低いことも知っており、菜食はベストチョイスなのだ。

肉食から菜食に変える前、黃さんはたまに新北市中和区華新街の俗にミャンマー街と呼ばれる場所に行き、ミャンマー料理を買って堪能していた。故郷の食習慣は強い酸味と辛さである。例えば、ミックス豆類、ニンニクチップス、むき身の干しエビを使って、發酵させた茶葉のサラダ「ラペットゥ」と一緒に蒸した料理は、国を代表する来客用の料理である。味は酸味、塩味、苦さと辛さの四つがミックスしている。茶葉サラダと言っても、少し肉などが入っており、小乗仏教国の庶民の食文化を反映している。

しかし、仏教の歴史が長いミャンマーに生まれた黃さんは、小さい時から菜食に関する基礎概念を持っていた。「昔、おばあちゃんはローインクラトン祭になると、九日間菜食して、神仏がこの世に戻ってくるのを迎えていました」。当時の黃さんは菜食していなかったが、彼女は宗教の教えから斎戒し祈ることの意味を理解していた。

二〇一一年に《法譬如水》経蔵劇に参加するために、百八日の斎戒をしたことで、彼女は肉食から菜食に変わり、それまでの飲食に対する考え方に捉われなくなるきっかけとなった。「何回生まれ変わっても斎戒を願い、屠殺される動物の鳴き声を聞きたくない」 と言う言葉を聞いた時、彼女はとても感動した。また、自分に対して、一時的な口の欲のために生命を屠殺しないよう警鐘を鳴らし、毅然とした態度で、菜食に変えたのである。元々何でも食べるので、適応できなかった時期はなく、今、彼女はいかにして満腹感を得ながら健康的に食べるかに関心を持っている。

子供は結婚して独立し、彼女はリサイクルボランティアに専念するようになった。平日の労働の後、一番楽しみにしているのは、志業パークで用意された弁当である。「師兄師姊のお弁当は、每日違う人が作るので、おかずの組み合わせが豊富で美味しいのです。満腹感があって、体も健康になれます」。

シンプルで時間が省けると言う原則を持って、彼女は家で料理する時、何種類かの野菜とご飯で一食を済ませている。飽きた時は、一束の麺を茹でて、ビーガンそぼろを入れることで、味付けを変えている。毎朝家を出る前には、素早く出来て便利な五穀粉、豆乳パウダーにオートミールを加えることで、体に必要な栄養を摂っている。菜食は栄養不足が心配ではないかと聞かれた時は、「アンバランスになるとは思いません。人間ドックの検査報告では、各項目の数値は全部正常でしたよ」と答えている。

認知症で嫁の顔も分からなくなった姑は、それでも栄養不足を心配して、黄さんが菜食することに反対した。ご主人は、黄さんの考えに賛成して応援した。家族で意見が割れたので、黃さんは辛抱強く受け止めた。以前彼女は転んで脳震盪を起こし、手術を受けたことがあったが、入院していた間も菜食を続けた。手術後五日間で順調に退院し、体の状態も良かったので、菜食は健康を害さないことを物語った。現在、彼女はご主人の実家で姑に付き添っているが、姑と外国人ヘルパーも一緒に菜食をしている。

菜食を広めるために、黃さんは每月時間をさいて、新住民の友人たちと菜食バザーを開いている。皆は以前の成長クラスで行なっていた「一家一菜」の経験を生かして、心を合わせて色々な料理を作り、少しずつ慈済のコロナワクチン購入・寄贈とウクライナ難民支援のために愛を募った。去年の十月から今まで每月続けて、新メニューの里芋パイ、パイナップルケーキ等のお菓子を出している。また、人気のあるパパイヤ和え、カレー、ココナッツミルクタピオカ、揚げテンペ等異国料理も出している。大量にオーダーが入った時は、いつものように誰かの家に集まって作ることができないので、慈済板橋志業パークのキッチンかベーカリー工房を借りて準備している。

六月にはウクライナ難民を支援するために、心を込めて桃膠入りシロキクラゲと蓮の実スープを作ってバザーに出品した。すっきりと甘くて滋養があり、訪れた人に大好評だった。黃さんは感謝しながら、「出来たものは全部売り切れた上に、皆さんと縁を結び、寄付もできました。作る過程は疲れますが、とても嬉しいです」と言った。

一口ごとの美味しさを大愛に変えられる上に、菜食を勧めることができるのだ。成長クラスの友人たちは益々やる気になっている。より多くの人に喜んでもらえると思えば、やらない理由などありはしない。

(慈済月刊六七〇期より)

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