新住民が故郷の味に一味添えた

ライスペーパーでエリンギ、湯葉などと色とりどりの野菜を包んだベトナム風春巻は食欲をそそる。

台湾は菜食人口比率が世界で二番目に高く、菜食者にとって優しい環境になっている。食文化の異なる新住民(台湾への新規移住者)が互いに輝きあって、人生の味である料理を取り入れることで、故郷の味を一層美味しくしている。

辛さと酸味で食欲をそそり、甘みと塩味で味を引き立てるのは、東南アジア料理特有のものである。台湾料理と違って、インドネシア料理は塩味と辛さが主体で、香辛料を効かし、豆製品で豊富なタンパク質を提供している。ミャンマー料理はサラダが中心で、季節の野菜と果物を使い、辛さと酸味が特徴。ベトナム料理は手間がかかるが、生、新鮮、薄味、酸味が料理の特徴である。

台湾には五十七万人近い新住民が住んでおり、その内の十五万人超が配偶者として東南アジア各国から来ている。食卓は人と人が情を交流させるプラットフォームであり、食べ物が交流の架け橋なのである。一口食べれば、食べ物が美味しく感じられるだけでなく、時には故郷を思い出させてくれる。

新住民は各々の生活習慣をもっており、独りでカルチャーショックに向き合わなければならない。家族と食卓で互いに調和が取れれば、絆を強くすることができる。慈済板橋パークが開催した新住民成長クラスには、ベトナム、ミャンマー、インドネシアなど三十人の外国籍配偶者が参加している。彼女たちは家族に栄養のあるものを食べさせるだけでなく、肉食から菜食にすることで、一家がより健康になるよう手伝っている。

長年、慣れてきた食習慣を変えるだけでなく、菜食の良さを感じてもらうのは容易なことではない。一部の新住民はこれを経験してきた。

「私たちは『美食(グルメ)』と言いますが、生命を殺めているのに、どこが美しいのでしょうか」と長年、新住民の受講生に付き添ってきたボランティアの頼秋燕(ライ・チュウイェン)さんが言った。板橋新住民成長クラスはコロナ禍の前、何度もクラスで、「一家一食キャンペーン」を催した。受講生が料理の腕を振るわせて、菜食を一食作り、皆と共有してもらった。更に如何にして家族の菜食に対する見方を変えたらいいのかを教えた。

ある受講生はご主人の弁当のおかずを毎日変化させようと努力した結果、料理の腕前が日々上達し、料理の素人が達人に変身した。人によっては菜食を通して健康管理をし、かつては良くなかった健康診断の報告がパスするようになった。またある人は家計のプレッシャーで、毎日仕事と家庭の為に忙しかったため、故郷の味を美味しい菜食に変えることでストレスを発散させていた。

一緒に新住民が生活の中で、彼らがどうやって故郷の味を巧みに守りながら食習慣を変えているのかを見守ろう。

(慈済月刊六七〇期より)

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