マレーシア・グリーンアクション体験型展示会—明日の地球を守る 今こそ行動を

クアラルンプール静思堂では、全長十一メートルの巨大クジラが堂々と頭をもたげて来場者を出迎え、一万本を超えるペットボトルで作られた「尽きない欲望」と題したトンネルがある。

この「グリーンアクション体験型展示会」は、来年の二月まで開催されている。回收資源で作られた創意あふれる世界において、来場者は観客ではなく、地球の明日を左右する〝主役〟なのである!

「クジラの叫び」はほとんど再生素材で作られており、クアラルンプール静思堂の「協力広場」前の台に横たわっているので、人目を惹くと共に、海洋生態系のバランス維持におけるクジラの重要性も訴えている。(撮影・黄勇雄)

広大な海の中で、クジラは巨大な体と悠然と泳ぎ回る姿で独特の魅力を現わしている。また、クジラは海洋生態系のバランスを保つ上で、非常に重要な役割を担っている。近頃、クアラルンプール静思堂志業パークには、一頭の青く輝く「巨大クジラ」が現れた。

今年八月二十四日、六カ月にわたる「グリーンアクション体験型展示会」がクアラルンプール静思堂で幕を開けた。十のテーマがマルチメディアやインタラクティブ・インスタレーションと芸術作品を組み合わせて表現されている。六百人の来場者には、市議会の役人、社会の有識者、国々の大使、教育界の代表とメディアなどが含まれており、共に数カ月にわたって準備した盛大なイベントを見届けた。

「クジラの叫び」という展示品は、グリーンアクション体験型展示会を代表する展示品の一つである。クジラは、地球に存在する巨大炭素貯蔵装置と言えるが、それは、彼らの排泄物が海の浮遊植物の成長を助け、これらの小さな植物が光合成によって二酸化炭素を吸收し、それらが枯れると二酸化炭素は海の深層に沈み、長い間保存されるからだ。科学者によると、浮遊植物が吸收する二酸化炭素の量は、アマゾンの熱帶雨林に匹敵するそうだ。

しかし、この全長十一メートルのクジラを陸上に上げるために、クラン市のボランティアチームは、相当な努力を費やした。穴を開け、溶接した鉄の棒で骨組みを作り、魚の形に組み立てた。回收した八十七万六千個の飲料用紙パックの内層のアルミホイルでクジラの外皮を作り、その上からクランバレー州で集めた二千本余りのペットボトルを縛って、イルミネーションを取り付けた。夜になってもキラキラと明るく閃いて訪れる人々を魅了した。

体験型展示会主任コーディネーターの黃時常(フウォン・スーツォン)さんは、「宣伝力を強化するために、今回の展示品は大きくて力強いものにしました。一人の作業で完成させるのではなく、ボランティアチームの力を結集することで『衆心城を成す』のです!」と言った。

リサイクルボランティアは生涯現役

一九九〇年八月、台湾の慈済ボランティアは、「拍手する両手で環境保全」を始めた。一九九五年、マレーシア・クアラルンプールボランティアの鄧淑蓮(ドン・スウーリェン)さんは、慈済マラッカ連絡所の配付活動に参加した時、看板に「ポイ捨て禁止」と書いてあるのを目にした時に、人を集めて、リサイクル活動をすることにした。

「始めた当初は恥ずかしかったので、こっそりとやっていました。誰かが回收物を持ってくるわけではなく、私たちは夜の九時に店が閉店した後、門の前に置かれたゴミから、紙類、アルミや鉄の缶を探しました」。しかし、呼応する住民が次第に多くなり、彼女の小さい車では回収物が積みきれなくなったため、彼女は大型トラックの運転免許を取得した。ボランティアたちも決められた目立つ場所を緊急に捜すことを迫られ、大衆がそこに資源を持ち込むと同時に、資源の分別を学ぶよう呼びかけた。この三十年間で、セランゴール地区には十六の環境保全教育ステーションと九十五のリサイクルステーション、三百四十二の回収拠点ができた。

今回のグリーンアクション体験型展示会は、特別に二つの賞を設け、環境保全の推進に卓越した成果を出した団体を表彰している。「グリーンキャンパス賞」を受賞した益智中国語小学校は、二〇一九年から慈済ボランティアの呼びかけの下に、教師と親と子供の三者が環境保全運動を始め、校内では全面的に使い捨て食器を禁止した。

「最優秀人気賞」は慈済増江リサイクルステーションに授与された。十七年前に、全マレーシアで最大の華人が住んでいた増江新村に開設したリサイクルステーションであり、セランゴール慈済初めての「惜福屋」だが、今では高齢者向けの活動を多く行っている。二〇二四年から今年の七月まで、合計三十二回の視察団を受け入れ、訪問者数が延べ千七百人を超えた。

開催当日、もっとも感動な場面は、百十六人の年齢六十五歳から八十八歳までのリサイクルボランティアが、国際会議ホールのステージに立って、「皆で環境保全をする」という慈済手話曲を披露した。その活力に満ちた表現により、皆で環境保全をして、心と地球を救うことを呼び掛けた。

グリーンアクション体験型展示会が開催された当日、116人の高齢リサイクルボランティアが手話を披露した。梁静珍さん(右)と王峇世さん(左)は環境保全に10年余り取り組んできた。(撮影・蔡夢萍)

蟻の行列はあらゆる人を必要としている

グリーンアクション体験型展示会の開催は、二○二六年二月二十八日までである。展示エリアの入口にあるアーチは、二千匹の蟻を積み重ねたもので、一つひとつの蟻は、ボランティアが回收した包装用PPバンドで編んだもので、「蟻の行列」のチームワーク精神を象徴している。アーチをくぐると、見学ルートは「因」から「果」に向かい、そして、「仏法」へと導かれていく。

一つ目の「因」では、一万本を超える五百ミリリットルのペットボトルで作られた「尽きない欲望」トンネルに入り、ネットショッピングの品物が山積みされ、マネキンが数え切れないほどの服を着て、プラスチックごみがポイ捨てされている状況は、現代の人々の生活を映し出している。

過度の消費という「因」が四大不調という「果」をもたらしている。地震や水害による惨状、火災による熱、風災による強風とその破壊力という四大不調の体験である。十分間で、特色ある音響と照明の演出効果によって恐怖を感じると同時に、深く考えさせられるのだ。極端な気候による災害は益々酷くなっているが、それは人類が自然を過度に消耗した結果である。

最後は「仏法」が希望をもたらしてくれるエリアである。環境保全における十の合言葉を表す展示品は、ごみの山、緑地、海洋で構築され、来場者が資源を手に取って正しい回收ボックスに入れると、ごみの山が裂けて緑地と海洋が現れる仕組みである。

開催前のことだが、リサイクルボランティアが総動員で、大量のペットボトル、プラスチックボトル、アルミ缶、厚紙の回收を手伝った。熱心な民衆とメーカーは材料を寄付してくれたし、自分の作業場と器材を貸してくれた人もいた。志のある人が無私の奉仕をすることで、人々の参加を促し、多くの地域住民も展示物の創作に加わった。

開催までの過程を振り返ると、プチョンコミュニティ環境保全担当者の郭修成(グォ・シユウツン)さんも、「合和互協」の力を感じ取った。作成から美術関係まで、デザインから組み立てまで、みんながそれぞれの才能を発揮した。誰もが欠けてはならないパズルのピースなのだ。「善行にあなた一人が欠けてもいけない。一人で大きなことは成し遂げられない。私たちは拍手する手で環境保全をし、世界を明るくしよう!」。

来賓が1万本のペットボトルで作られた「尽きない欲望」トンネルに入り、消費行動による影響に見入っていた。(撮影・李偉建)

開催の前、ボランティアたちは皆で、知恵を絞り、力を合わせた。蟻の行列精神を以て、PP小蟻の展示物を作っていた。(撮影・鄧亦絢)

低炭素飲食エリアで、子供が両手で人参の模型に触ると、画面に營養素及びカロリーが示された。(撮影・蔡夢萍)

単なる展示会ではない 警鐘なのだ

大きな「白菜」と「肉」はとてもリアルで、多くの人が足を止め、ボランティアが、低炭素飲食が如何にして地球への負荷を減らすかという説明に聞き入った。

ヌグリ・スンビラン州群英語中国語小学校の梁敬迎(リャン・ジンヤン)副校長は、去年初めて生徒を率いて静思堂を訪れた時、慈済の物語に震憾し、感動した、と言った。今回、迷わずグリーンアクション体験型展示会を修学旅行のスケジュールに組み込んだ。地球温暖化の警告を見て、はっと気づき、證厳法師が常に言っている「間に合わない」という切迫感を感じ、環境保全教育は幼少期からすべきだ、と思った。

展示エリアの中央には巨大な「気候時計」が吊るされており、カウントダウンの秒針が刻々と進む音で、人類によって地球に残された時間は三年しかないことへの注意を喚起している。招かれた市議会役人のシャキナさんは気候時計の前で長く考え込み、ゆっくりとこう言った。「全ての生物と共に地球で生きている私たちは、怖くなって心配になるはずです。もし環境惡化が続けば、気温が摂氏一・五度上昇すると、人類は深刻な境遇に直面します。現在すでに異常な暑さを感じていますから、この展示会は、実は警鐘なのです」。

画面に「未来の子供からの手紙」が映し出された。そこには、二○五五年から来た子供の姿があり、人々が緑の地球を守り続けてくれたことに感謝していた。しかし、実を言うとその手紙は、「今こそ人類が地球のために実行に移す時だ」という期待を託したものである。というのは、今日の考えや行動が明日の世界を創造するのだから!

(慈済月刊七〇七期より)

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