善い願を共に実行する お力添えに感謝する

敬愛なる慈済ボランティアと会員、各業界の良き友人の皆様、こんにちは。謹んで新春のお祝いを申し上げます。昨年は皆様からの温かいご支援により、慈済慈善志業が成長と感動で満たされたことを心より感謝申し上げます。

新しい取り組みが認められた

慈済の栄光をすべて分かち合う――昨年の「アジア太平洋サステナビリティ・アクション・アワード」において、慈済の持続可能な開発目標達成に向けた取り組みが表彰されました。「慈済とPaGamOによる環境防災教育」、「エコ福祉用具」、「VO2菜食弁当でCO2削減」の三つの活動が金賞を獲得し、環境保護教育と寄り添いケア、食生活関係で、創意工夫とその成果が認められました。

慈済基金会は、「二○二○年〜二○二一年SDGsレポート」に、社会的、人文、寄り添いケアなど社会的協力への取り組みが示されています。また、コロナ禍の期間にワクチンの購入と寄贈で衆生を利したことで、SGS(検査、認証の会社)の第八回「ESGアワード:ダイバーシティ&インクルージョン賞」で唯一の受賞者となりました。

政府経済部の「購買力・社会イノベーション製品およびサービス推進」において、慈済青年公益実践プロジェクトが青年の社会イノベーションを大きく後押しし、公益事業を促進したことが、再びBuying部門の最優秀賞に選ばれました。

昨年度、教育部(文部省に相当)青年署の「青年海外ボランティア活動優秀チーム選抜」において、慈済国際青年会TIYAの「マンナハイの約束―シリア難民への中国語講座伴走プログラム」が、革新的な中国語講座プラットフォームをオンライン遠隔学習という形で、台湾とトルコ、シリアの学生らを結びつけたことを、初めてコンテストに応募したところ、「貢献成果と評価」の部門で特別優秀賞、そして「チームの創設と伝承」部門で優秀賞を獲得しました。

台湾を守りながら影響力を広げる

慈済は台湾に根ざし、長年恵まれない家庭を支援して、青少年教育、高齢者の安全な生活環境、防災教育に力を注ぎ、デジタル化した慈善システムによって強力なネットワークで台湾を守ってきました。地方自治体の各部門だけでなく、四十の民間企業とも契約を交わし、恵まれない家庭の子どもへの就学補助や心身障害者ケア、災害時の支援効率アップ、物資の輸送、防災教育などで協力することによって、公益における相乗効果を上げています。また、都市部と農村部合わせて一万六千軒以上の商店が既に「愛ある商店」計画に参加し、顧客が少額のお金を寄付して共に善行することを呼びかけています。

社会的投資収益率(SROI)に基づいて計算すると、各地の静思堂で台湾ドル一元を寄付した場合、8・5倍の慈善エネルギーが生まれ、環境保全志業へ投入した場合は6・3倍のポジティブな効果、エコ福祉用具活動の場合は81・18倍もの社会的影響力を生み出していることになり、支援を受ける側の経済的負担の軽減にも繋がっています。

二○五○年までのネット・ゼロ・エミッションを目指し、十七カ所の静思堂に太陽光パネルを取り付け、グリーンエネルギーの創出とスマートエネルギー貯蔵システム、エネルギーの正しい使い方に向かって邁進しています。また、台北市松山区には植物性飲食の複合施設「植境」がオープンしました。ここでは、若い世代に斬新な菜食を体験してもらうための活動が始まっています。その他にも、移動式環境保全教育車両を十五の県や市の小中学校に派遣したり、公的施設で九十回ほどの展示イベントを開催したりしており、既に延べ十万人以上が参加しました。

ホタルの淡い光が世界で灯る

二〇二三年世界宗教議会の閉会式で、證厳法師が要請に答えてオンラインで、世界が直面している問題についての懸念と感謝の気持ちを述べられました。

慈済は国連や世界のNGO組織と協力していますが、昨年の国際災害支援で援助した人数は延べ四十五万人以上を数え、台湾の米による支援で延べ七十九万人が恩恵を受け、戦争で避難した延べ五十八万人を支援しました。現地の長期的な教育支援と養成ボランティアの自立によって、蛍の淡い光が各地に広がるように、これこそグローバル・ローカリゼーション化した善の循環と言えるのではないでしょうか。

ネパールのルンビニやカピラヴァストゥ、インドのブッダガヤなどで、慈善・医療・教育・人文という「四面体支援」によって、「仏陀の故郷に恩返し」プロジェクトを推進してきました。ネパールで国際非政府組織(INGO)が設立されたことを機に、女性の職業訓練、貧困からの脱出、就学費の助成に焦点を当て、人々の生活を改善して人文教養を高めることに力を入れています。

九月には、米国ハーバード大学文理学部との共催で、「第九回グローバル共善学思会シンポジウム」が同大学で開催されました。世界各地から三十名以上の学者や専門家が参加して、「證厳法師の思想と実践に関する研究」をテーマにした研究発表がありました。世界最高峰と言われる大学で、慈済の開祖證厳法師の思想とリーダーシップによる行いが研究討論されたのです。

青年ボランティアが役割を引き継ぐ

昨年、台湾全土の延べ二十五万人が参加し、高雄、彰化、台北で上演回数二十三回に及んだ経蔵劇「無量義・法髓頌」は芸術と仏教を融合したもので、慈済志業が世の中で仏陀の教えを実践していることを表していると共に、自らの清らかな本性と法師に対する「必ずやり遂げます」という途切れない決意を表しています。千人近い若者が経蔵劇に参加して、一挙手一投足で仏法を表し、観衆と深く共鳴したことで、大きな希望を感じました。

青年たちの引き継ぎに、研修キャンプ側は手応えを感じており、慈済国際青年協会(TIYA)が多国籍の人材を育成して、COP28やクライメート・ウィーク・ニューヨーク、国連経済社会理事会青年フォーラムなどの国際会議に出席していることもその表れです。

アメリカ海洋大気庁(NOAA)の研究統計によると、二○二三年七月六日、世界の気温が再び高温記録を刷新したとのことです。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した報告書によれば、多くの科学者は、人類の行動が気候温暖化をもたらしていると考えています。

深刻化する気候非常事態宣言に向き合い、誰もが人類の持続可能という使命を共に背負っているのです。慈済基金会はガバナンスの強化、領域を超えたデジタル化、エンパワーメントの伝承、防災教育と菜食の促進、持続可能なネットゼロエミッションの実現に向けての取り組みを、皆様のご支援の下で着実に実践してまいります。

本年も、お力添えをよろしくお願い申し上げます。皆様にとって良い年になりますよう祝福を祈念して、私からの挨拶とさせていただきます。

(慈済月刊六八七期より)

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